テキ
ドラゴンらしいやつがこっちに首を伸ばして吠えた。
がりがりとパーソナルフォートレスの本体バリアが削られる。距離減算があるなら下がって正解、だったはず。しかし今の俺には相性悪い相手かもしれない。なにせガーディアンのレーザーが効いている様子がないのだ。
見えたのは銀色のきれいな鱗を持つドラゴンだった。あの鱗が天然の反射板となっているようで、熱にも強いのだろう。ガーディアンの出力では反射されて貫通できないし、熱でダメにすることも出来ないようだ。
すなわちレーザー耐性が異常に高い。今のパーソナルフォートレスは高火力とは言えレーザー一択といっていい装備だ。ショットガンがあまり効いていない時点でサブマシンガン程度では通用しないだろうし。
「どうした、ヒジリさん?」
いち早く異変に気づいてくれたのはフライハイトだった。……チャットがつながってるんだから俺から声をかければ良かったのだ、と気付いたのはその後だ。ソロプレイになれきってるからなぁ。
「ああ、ちょっと先行して偵察してたんだが、やっかいな敵がいたようだ。キネティックじゃないと無理みたいだ」
「おっし、暇だったところだ。俺とサントノーレで支援に行くぜ? 構わないよな、フライハイト」
「おい、ウォーモンガー、顔合わせ中だろうが。まったく。任せた。こっちのフォローはやっておく。サントノーレも向かってくれ」
待機組だった二人がこちらの人類との挨拶もそこそこにこちらへの救援に来てくれるようだ。うーむ、単独行動し過ぎたか。パーティープレイの加減がよく分からない。
「竜の咆哮がやっかいだ。バリアを削られるし、なんか電子機器にも影響を与えている気がする。バリアのおかげで問題になるほどではないが。わずかに貫通して機器を狂わせている可能性がある。あまり近づくな」
「一応未知の敵だしな。ただの空飛ぶとかげじゃないかもしれないってわけか」
「分かった。狙撃してみる。姿は捉えた」
こちらも下がりつつ、サブマシンガンの弾丸をばらまく。威嚇にはなるだろう。
サントノーレの狙撃は初撃こそ外したものの、二撃目、三撃目は当たったはずだ。しかしどうも弾かれたようだ。あの射角で入った弾丸を弾くとか、MTAの世界の科学力ですらバリア以外では難しいと思うんだがな。なんか当たる直前に鱗の角度が変わったように見えた。
「それじゃ俺のミサイルも試してみるか」
そういってウォーモンガーが垂直ミサイルを発射した。いったん高く飛んで、上から垂直に近い角度で落ちてくるミサイルだ。ウォーモンガーが乗るMTAサンダルフォンのミサイル制御能力は高かったはず。
しかしそのミサイルすらも竜の咆哮のせいか、制御が狂い、地面で爆発してしまった。
「当たらねぇ。誘導は効いていたはずだ。けど見つけたぜ。俺のサンダルフォンでもいけないこともないが、一番適しているのはザボスだな。あと弱点といっていいかどうかだが、あの吠え声を出さないと対処できないから、向こうからの攻撃を封じれているな」
そういえばそうだ。敵意自体は凄まじいのに攻撃はない。こちらの威嚇にサントノーレの狙撃に、ミサイルへの対処と反撃している暇が無いのだろう。ドラゴンと言えばドラゴンブレスだから竜の咆哮をずっとさせ続ければ攻撃は出来ないよな。
「つーわけでザボスの先生よ。ちょっとネ・ムイに任せてこっちきてくれよ。俺はミサイル撃つのに忙しいんだ」
ウォーモンガーのサンダルフォンは翼に見える大型の多重ミサイルラックを装備しているし、すぐに補給できる位置にいるから打ち放題となっているのも大きい。俺とサントノーレも攻撃を続けている。
「バリアミサイル持ってきてたらそれで終わりだったと思うんだがな」




