協力
「あ、いた。ちょっとシャリーに挨拶してきますね。念の為の支援、お願いします」
さっきこの方面のボス格だったのだろう、トロールの集団を倒したので魔物たちの勢いはだいぶと落ちてるから、余裕だな。一応ちゃんとタンクするし、下がっていくフォックスハウンドの方にスクリーンバリアをはったりしておく。
フォックスハウンドはピクシー型なので中の人を見せるのに、スーツを脱ぐ、もしくはコクピットを開く、などの作業はいらない。バイザーを上げるか、ヘルメットを取ればいいだけだ。だから敵陣の中でも比較的すばやく挨拶できる。俺がスクリーンバリアなどを駆使して守ってるし、会話時間ぐらいなら捻出できるだろう。
冒険者たちはそれぞれグループ単位で行動し、戦線を維持していた。一部ジャイアントやトロールに突破されかけていたけど、なんとかその穴は俺等が塞げたようだ。
俺にとってはこっちの戦線には八本足のとかげはほとんどいないのでその意味では楽だが、代わりにゴブリンやオークの分隊が数多くいる。その中には魔法を飛ばしてくるやつもいるし、さらに霊体が含まれていることもあったので、油断はできない。
魔法を撃ってくるやつは最優先で撃破し、霊体は神聖騎士、青い鎧ブルーキャバリアのハインリヒさんが倒しやすいように周りの敵を排除していく。
大火力を持つ魔法使いを抱えている冒険者たちもそういった戦いを真似てくれるようになって、だいぶと戦線には落ち着いた。冒険者ではなかなかすぐに対応できないジャイアントやマンイーター、トロールを俺が率先して倒していけばいいのだから。
じきにフォックスハウンドが戻ってきた。
「おまたせ。協力することを取り付けてきたわ。そっちのエマさんと同様、進んで森の中で合流するよう、冒険者仲間にも言ってくれるって」
あんな大魔法が使えるのだから、たぶん冒険者の中でもリーダー格なのだろう、シャリーは。
「分かった。じゃあ俺達はこのまま戻るとするか。とりあえずでかいやつを中心に倒してまわればいいだろう」
「うん、けどたぶんヒジリは中央に戻ってエマさんと一緒にいたほうがいいかも。私は大丈夫。なんかエンチャント?されて、攻撃も防御も上がってるからさ。ハインリヒさんが中央のバフだと考えればミッションの仕組みとして分かるでしょ?」
ああ、なるほど。そういうことか。
「分かった。じゃあここからは別行動だ。森の中の拠点で合流しよう」
「了解ー」
「ハインリヒさん、俺は中央に戻りますのでついてきてください」
「こちらはもういいのですか?」
「はい、なんでもエンチャントとかでもう一人も自力で霊体を倒せるようになったみたいですので」
「なるほど。では戻りましょうか。私どものミッションはエマ姫を守ることでしたので」
「そうだったのですか、それは申し訳ないことをしていた。これからはそのミッションを直接遂行できるようにエマさんと合流しましょう」
「ありがとうございます。ついていきますので先導お願いします」
戻る途中に森から出てくる大型の魔物は倒していきながらエマ隊に合流した。エマの周りには黒いキャバリアと神聖騎士の青いキャバリアが二体、すでに警護していた。
「ヒジリ様は戻ってこられたのですね。ありがたくも戦線を押し返し、森付近まで上がってまいりました。これから森へ突入しようと思っていたところですわ」
「了解、では一緒に行こうか」
ブルーキャバリアのハインリヒさんとブラックキャバリアのフォードさんが入れ替わって、フォードさんが俺の護衛につくことになったようだ。
ブラックキャバリアはタイタン型ほどではないけど他のと比べるとかなりの大型でパーソナルフォートレスみたいにずんぐりしている。構造的にはピクシー型のようなスーツだと思うのだが、これを着るにはかなりの体格がいると思う。
持っている武器は短めの刀と手槍? 変わった構成だ。予備の刀も手槍もたくさん持っているようなので、使い捨てなのかもしれない。レッドキャバリアやブルーキャバリアと同じようにホバーもついているようなので俺についてくることも出来るようだ。
「わたくし、フォードと申します。エマ様の親衛をさせていただいておりますが、エマ様の指示により、しばらくは貴方の配下となりましたので、なんなりと指令を送ってくださいませ」
かなり丁寧な口調だがすごくどすの利いた声だ。全身鎧なので中の人をうかがい知ることはできないけど、声から察するとかなりの武人でいかつい人のように思える。




