フラグ
「そっちに神聖騎士の三人、行った? 解決した?」
ネ・ムイから通信だ。まあ分離パーティチャットみたいなものだ。離れすぎているサントノーレやウォーモンガーには聞こえない。
「青い鎧だよな。すぐにオークレイスを倒してくれたよ。おかげで助かった」
「こちらネ・ムイと合流。けどヒジリが来るのが一番のようだ。エマさんという方がこちらにいるようだ」
「シャリーはいないね。ドッズという人もここじゃないみたい」
「分かった。こっち方面は軍隊用語の全滅ぐらいはさせたと思うし、多少は余裕ができただろうし、そっちに行く」
二人と合流した際にパーソナルフォートレスから降りる。ザボスに簡易修理を行ってもらうためと、エマと会うためだ。
普段よりパーソナルフォートレスが大きく見える。実際には俺が小さくなってるんだが。今は女性の姿だし、どうも設定年齢は12才らしい。そりゃ普通であれば小さいよな。おっさんの俺は平均以上はあったからな。
自分から発せられるキンキン声もなれないが、これはもう仕方ない。MTAに乗ってる時は匿名音声でごまかせるんだけどな。
ごつくて黒いキャバリア二体に連れられて赤いキャバリアが来た。エマだ。確か第三王女とか言ってたし、片膝をついて待つ。
赤いキャバリアだけが俺の近くに来て面貌を上げる。エマだ。
「今だ戦闘中ゆえ、面貌だけで失礼します、装甲勇者様。お大事はなかったですか?」
かがんでいる俺に手を出してくれるエマ。その手を持ち、立ち上がる。
「ええ、おかげさまで助かりました。あの青いキャバリアは? 神聖騎士だと聞きましたが」
「はい、我が国の国教、聖王教の誇る精鋭ですわ。神聖魔術が使えるので霊体にはめっぽう強いはずですから。思った通りお役に立てたようでなによりです」
「戦況は?」
「はっきりと悪いですわ。戦士団の方はまともに戦えているみたいですが、中央の私達はまだ会敵前でした。冒険者側はかなりまずいみたいですので、これから応援に向かおうかと。装甲勇者様がたのおかげでこちらはだいぶと楽になりましたので」
「分かりました。ならば俺達が冒険者側に向かいましょう。エマたちはこのまま中央と戦士団の応援をして、そのまま森まで進んでいただけませんか。俺達の仲間があと二人いるし、簡易拠点もあるので」
ちょっと考えてから。脳内で分離パーティーに話しかける。ゲームだと普通なんだが、ここまでリアルになると単なる超能力みたいになってるな。
「冒険者と知り合いなのはどっちだっけ? 確かシャリーが冒険者だよな」
「私だよ」
「僕は戦士団のドッズと知り合いだ」
ふむ。ならば。
「じゃあフライハイトはエマに従ってドッズの応援に行ってくれないか。なんかその方がいい気がした」
「なるほど、ザボスの戦力は大した事ないし、それよりもフラグ立ての方が重要、ってことだね。分かった、そうするよ」
そう言うとザボスがパーソナルフォートレスから離れた。
「簡易修理、終わったよ。アーマーはそれなりに回復したはずだ。バリアは時間が経って回復しているはずだし。あと念の為、再起動しておいた」
「アーマー以外出撃前と同様、ということだな。ありがたい。助かった」
その間エマは味方に指示を出し続けていた。黒い鎧の一体がザボスを誘導してくれるようだ。あと大勢の灰色のキャバリアが後方から上がってきている。機動力は低いがこの戦力を温存できたのは良い感じだ。
「では我らは装甲勇者様が突破してくれた敵主力を平らげ、森に侵攻します。そこにおられる装甲勇者様のお仲間と拠点で合流すればよろしいのですね」
「俺にエマへ命令する権限はないと思うけど、であってくれたら助かるよ」
「問題ありません。エマは装甲勇者様を信じておりますから。イヤリングもずっとつけてくれていてくれたようですし」
あーうん、まあいじるところなかったからいじってないだけだけど、それが良かったのなら良かった。それに後ろに下がって救援に来たのも正解だったようだ。この有り様だとエマもやばかったかもしれないしな。
「クライスラーには戦士団の応援へ行ってもらいました。フォードは私を守ってください。私はなるべく指揮を優先しますので」
そう言ってエマは面貌を上げ、黒いキャバリアを引き連れ、前進していった。




