アバター
さて、昼食も済ませ、準備万端でアップデート時間を皆で雑談しながら待つ。今は弓子ちゃんの学校生活を聞いているところだ。
オペレーターさんから食事後三十分はやめておいたほうがいいと聞いていたので、一時間余裕を開けてあるし、誰も二日酔いは残っておらず、快眠できたようで、皆体調もいいぐらいだ。
あと五分だというところで筐体へ案内された。準備に五分もかからないが、まあ中で少し待つのもありだと思う。さっそくインしてフライハイトのマイルームに集まる。
フライハイトとネ・ムイは今までと変わらない姿だ。
フライハイトは中の人とあまり変わらない、幾分がっしりしているか? たぶん理想の自分の姿なのだろう。
ネ・ムイは中の人の子供時代だろうか? といった風な面影の美少女だ。弓子ちゃんと同い年ぐらいに見える。
変化があったのは俺を含めて残りの三人だ。
ウォーモンガーは今までの美女ではなく、中の人を大げさに歪めた見た目になっている。やや吊目だったのがかなりの吊目になっているし、そこまでではなかったのに明らかに太っている。漫画家が自分の似顔絵をわざと格好悪く描くようなものなのだろう。
サントノーレは以前に言っていた通り、中の人と見た目が変わらない少女となっている。歴戦の傭兵みたいなおっさんの姿になれているから違和感はあるが、現実そのままなのですぐになれるだろう。
そして問題の俺だ。他の人同様今変わる必要もないんだが、慣れていたほうがいいと思って、イベント用の少女キャラで来ている。ずいぶん小さくなっているので視点が違うし、体の感覚が押し込まれていてるような感じで窮屈に感じないこともない。ただまあこれらはすぐに慣れるだろう。
「おー、ヒジリさん、言ってた通り、かわいくなっちまったなぁ」
「確かに無料配布だったアバターそのままだね。耳飾りが違うぐらいかな?」
ウォーモンガーは声まで下卑た感じになっているな。サントノーレの声は現実のものそのまんまだな。
「ウォーモンガーも偏ったアバター使うものだな」
「あの美女の面影さっぱりないよね。ある意味すごいよ」
「うっせうっせ。ウォーモンガーって名前なんだからこんな感じだろ? こっちだと組むの嫌がられたことあったから人と組む時はあっちを使ってるだけだ」
なるほど。確かに名前とあってるのはこっちの見た目だし、こんな見た目でウォーモンガーと名乗ってる人と組みたくない、というのも分かる気がする。アバターありだとこういう問題も出てくるんだなぁ、と自分に降り掛かっている不幸はあまり考えないようにして考察してた。
「やあ、すでに皆集まっているようだね」
ん? 聞いたことがあるけど誰だったか思い出せない声が聞こえた? 皆も聞こえたようできょろきょろしている。
「わしじゃよ、聖王長だ。まだマイルームが開放されていたから直接来させてもらったよ」
「しまった、マイルームの閉鎖忘れてた」
見た目は俺やサントノーレ、ネ・ムイよりも若干年上、といった少女に見えたが、一人称がわしだから中身はそうではない運営の人と思われる。
「まあまあ、そのおかげで直接会えたのだ。さてさっそくじゃが新しいミッションをそなたたちに頼みたい。いいかな?」
「ああ、もちろんそのためにいろいろと準備してきたんだ」
俺達を代表してフライハイトが返答してくれる。




