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大滝家

夕食前まで皆でミッションブレイク2を堪能し、すぐに夕食をいただけることになっていた。


あるあるだけど、カプセルから出るといつの間にかお腹が減っているのがいつも不思議に感じてしまう。しばらく俺はゲーム内のキャラクター、ヒジリとしての感覚で動いていたし、そのゲーム内のアバターで満腹になっていても、実際の体への影響はなく、記憶された満足感だけしか残らないからな。


けど逆にこれでダイエットを行うというブームもきそうな感じはある。ダイエット目的だけでブリッジを使用するのは少々割高だと思うけど、一切のカロリーを実際の体には入れずに、味や満腹感などを味わうことが出来るのは大きい、らしい。だからといって食事を抜いてしまうのは危険だけど、まあ使い方次第だよな。


確か【ファーストギアス】ではその類の利用をお勧めして利用者を増やしたはずだ。俺もゲーム内でしかあえて高カロリーなものはなるべく取らないようにしているしな。おっさんとて気をつけているのだよ。



それはそれとして大滝家から振る舞われた夕食は素晴らしいものであった。弓子ちゃんのご両親とも一緒に食事を取ったのだが、非常に出来た方々でたいへん恐縮した。だって俺の実年齢、弓子ちゃんよりずっとご両親の方が近いからな。


それにお父上の方、最近ぶいぶい言わせている組織の副総帥の人だ。上流過ぎて俺はほとんど把握できていないが、ブリッジを経営していて【ミッションブレイク】シリーズや【ファーストギアス】の開発運営している会社も傘下にあったはず。……だからなんとか顔が合致して理解した。確か名字も大滝だったと思うし。……まさかこんなところでそんな結びつきが出てくるとは夢にも思っていなかったから、予想も何もしていなかった。ただの大金持ちなんだろう、と。


さすがに向こうの方が年上でなんとか助かったが、それでも娘さんと遊んでいるのは、なんとなくバツが悪い。が、向こうはそんなこと一切気にしていない様子で取り扱ってくれるので、本当に助かる。



食事中こんなことを副総帥から言われた。


「大変申し訳無いが、皆さんのことは調べさせてもらいました。私には立場上敵も多くてね。娘にへんな虫がまとわりつくと困るからね、いや本当に言い草がひどいね。しかしそのおかげで皆さんにはなんの裏もなく、むしろ好ましい人物であることも分かっております」


そこでいったん話を切って、ワインを飲んだ。たぶんこれは俺達のために時間を作ってくれたのだと思う。


「どうか娘と今後も仲良くしてやってください。弓子には同級生の友達もいるにはいますが、家の都合であまり自由ではなく、また兄や姉もおりませんので。私も恥ずかしながら直接にゲームを教えたりはできませんので、どうか一つ」


そういって大滝さんはわざわざ立ち上がって綺麗な姿勢で俺達に頭を下げた。



俺達は食事を一時中断し、ナイフやフォークをいったん置いて、話を拝聴していたけど、一斉に皆も俺も頭を下げて「いえいえ、こちらこそ」みたいなことを言っていた。俺は親に親代わりとして遊んでやってくれと頼まれたに等しいし、大学生たちも兄や姉みたいに振る舞ってくれと言われては恐縮するしかない。


「お父さんはいつも堅苦しいんだから。皆さん気にしないで、今まで通りでお願いします」


弓子ちゃんも強い。今回はたまたまリアルで知り合ったが、元はネットで集まった同じゲームが好きな奴らなんだ。特別扱いをする気は元からない。もちろん相手が小学生だということは認識しつつ、になるが。

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