ギガース
「よし、火蓋を切るよ。ファーストアタック!」
俺のは即着弾なので気づかれたと判断してから撃つつもりだ。
「さすがに硬いね、一発ではとてもバリアを抜けなかったよ」
ネ・ムイの狙撃はギガースの主砲の回転部らへんに当たったように見えたが、残念ながらバリアで打ち消されたようだ。しかしこれでだいぶとバリアは削ったはずだ。
それを確認してから俺も攻撃を開始する。ウォーモンガーはミサイルを大量に放ち、フライハイトは無反動砲か? を撃っている。
「一気に押し切るぞ! どうせバリアの数値とんでもないだろうしな」
ウォーモンガーは割り切ったようで、もう女性らしい口調はやめたようだ。声は今まで通り女性の声なのに、こうも口調が違うだけで男性の声に聞こえてくるものなのだな。
「賛成だ。僕も積極的に前に出る。攻撃もらうようなのはここにはいないみたいだしな」
これはゲームでかつロボな遠未来の話なので狙撃と言っても、遠くから撃つもの、程度の意味合いしかない。スコープを覗く必要もないし、弾道計算なんかもすべて専門の機械がやってくれる。そんな世界での狙撃で重要なのは、動く相手の先を読んでの偏差と攻撃位置の選定だ。
相手が人間のPvPならカウンタースナイプを考慮に入れないといけないけど、相手がもともとAIなのでそれすら考慮はいらない。そういった面で評価するとネ・ムイは優秀だ。俺もここからにする、ってところからだし、ドローンを明後日の方向へ連れて行ってくれているサントノーレも優秀だ。
それに俺は即着弾のレーザーライフルだから、ギガースに当てれているが、弾速を考慮して偏差撃ちをしながら的確にバリアさえなければ急所に当てているのもすごい。ちなみに急所はバリアに対しても効果がある。守りにくいから急所なのだ、という理屈らしい。バリアでにも急所に当てればより大きなダメージが出る。
何度か攻撃しながら射撃位置を少しずつ動かしいく。敵の攻撃がミサイルならだいたいガーディアンが守ってくれるが、あれの主砲はどうにもならん。
俺のパーソナルフォートレスのバリアなら耐えれるかもしれないけど、狙撃用装備に多くの積載量とパワーを回しているネ・ムイのフォックスハウンドじゃ、どうカスタムしてもバリアは持たないし、アーマーなんか主砲に対してはあってないがごとくだろうしな。
「こんなに楽になるものなんだな。昔のミッションって。対空砲が多い割には狙いが甘いから避けやすいし、ミサイルも簡単にジャミングが入る」
ウォーモンガーがぺらぺらしゃべりながら的確に攻撃していっている。マルチでやるとこういう技能もいるのかもしれない。俺はしゃべりながら戦闘は、なかなか難しくて一言言うだけだ。
「昔はこっちの機体もヘボかったからな」
「ウォーモンガー、対空はいいが間違っても主砲は食らうなよ。今全門あんたの方に向いてるぞ」
「おっと、あれはしゃれになってないな。MTAといっても所詮人間だ。バリアがあっても、な」
ちょっと調子に乗っていたと思えるウォーモンガーをフライハイトがたしなめる。今日会ったばかりの相手を不愉快にさせずたしなめられるとは、やっぱり彼はリーダー向きだな。
ギガースの主砲は今の主力戦車と同じ120mm滑空砲だ。なんでこんな旧兵器使ってるんだろう?とか思うけどこのゲーム世界でお馴染みの電磁投射砲には膨大な電力、すなわちジェネレータパワーがいる。そのエネルギーはバリアに使うものと同じだからだろう。ギガースは攻撃より防御の方が重点ってわけだ。実際にとても硬いし。
120mm滑空砲なのは、メタな考えになるが、強い戦車砲が今の開発運営にはそれしか思い浮かばなかったのだと思う。いくら架空の世界だとしても単にmm数を大きくしたら強くなる、とは言えないしな。
実際バリアがないと主砲の直撃に耐えるのは困難で、至近弾ですら即死に近いんだから、それで十分な火力ってことかもしれない。戦車だからタンクなのだろう。……今回単独で来てるけどさ。
「そろそろ落ちるはずだ。ためときなよ」
黙って丁寧に攻撃を当てていたネ・ムイが忠告してくれる。もうなのか。思っていたより大分と早く落とせそうだ。
そんな風に考えながら立ち回っていたら、あっさりギガースのバリアが消え去った。確かに昔実装されたボスが今の火力に対応できるとも思えないし、当時ならバリアを搭載できるMTAはタイタンのごく一部だったろうから、当時の難易度は跳ね上がってたんだろうな。
ミサイルの火力も何気に上がってるしな。ウォーモンガーが操るウォーロードのミサイルは大きくバリアを削っていたし、ウォーロードのジャミングは確実にギガースのミサイルに影響を与えていた。
ギガースのミサイルはほぼすべてが垂直発射だったからジャミング受けやすいし迎撃もしやすいんだよな。戦車なんかには搭載しやすいんだろうけど。
ドローンはしばらくしてから再放出されていた。たぶんサントノーレが撃墜したタイミングでの再放出なので同時に飛ばせるドローン数が決まっているのだろう。
空からちくちく小型ビーム砲を撃ってくるので鬱陶しいかったが、パーソナルフォートレスのバリアは抜けないし、ガーディアンがいるおかげでこっちには近寄れないのでネ・ムイのフォックスハウンドには手を出せない。そうやってふらふらと飛んでいるうちにフライハイトのザボスがライフルで全部処理してくれた。
「とどめといこうか」
フライハイトが仕切ってくれる。




