得意
「さて、ウォーモンガーが戻ってくるまでは雑談タイムだ。誰か何かないか?」
フライハイトが仕切ってくれるのは本当に楽だ。仕事で仕切るのは仕事だからでなんとかなるもんだが、こういう場ではなかなかセンスがないと出来ないものだ。
「こうやってゲームの中でさえ問題があるのだから、いっそのことリアルで会って話してみたいと思うのだが、どうだろうか?」
そんなことを言い出したのは意外にもサントノーレだった。
「私はこのコラボイベントにはなにかあると感じている。だからこれから仲間になるだろう【中の人】とも会ってみたい、と思った。それにネット内で話してはいけないと言われたがオフでもダメとは聞いていない」
そういってサントノーレはにやっと笑った。
確かにな。それに、なにかある? まあ確かに変なところが多いイベントではあるが……。
「あら、面白そうね。わたしはいいんだけど、皆が全国に散らばっていたらどうするの?」
サントノーレの【オフ会】の提案にいち早く反応し賛同したのはネ・ムイだった。
「そうだな、個人情報になるからな」
やや反応に困ってる感じなのがフライハイトか。
……俺は、実際のところ乗り気である。まず関係性が薄いのがいい。下手にゲーム内で関係性が濃くなった時にリアルであったら、という話はよく聞くからだ。それにデスマーチがついこの間終わって、しばらくゆっくりしてくれ、と暗に有給を取るようにと言われていたところだから正直ちょうどいい。
「じゃあまずはどこで、いつ、を決めて、皆が行けそうならゴーってことでいいんじゃないか。別に俺はどこに住んでるか程度は言ってもいいけど」
俺はこの船に乗ってみたいので具体的な提案をしてみた。
「ならば私が長距離は動けそうにないので、場所を提案する。大阪だ。大阪に集まってもらいたい」
サントノーレが大阪だと言った。逆に近くなるやつもいるかも知れない選択だな。
「大阪か、大阪なら新幹線一本だし、なんなら飛行機ですぐだから俺はOKだ」
「わたしもいけそうねー。場所はOKよ」
「僕もアクセス的に近い。具体的には大阪のどこだ?」
「そうだな、梅田が一番分かりやすいだろう」
「梅田か。わかった。残りはウォーモンガーが大阪に来れそうなら続けよう」
「もし大阪にこれるなら、イベント抜きにしても親睦を広めておく意味で今から皆で、なにか協力ミッションをやってみるのもありだな」
フライハイトの提案を聞いて、サントノーレが体を乗り出して話してくるようになった。
「あまりそういうのをやったことがなくてな。私の専門は偵察なので。協力ミッションには興味がある」
へぇ、歴戦の勇者みたいなアバターしてるのに偵察だったのか。
「偵察は何気に難しいからな。それを専門って言えるのは正直すごいと思うぜ」
素直に賛辞を贈る。
「そ、そうか。ヒジリは何が得意なんだ?」
得意……? 自分が何が得意とか考えたことないな、そう言えば。
「答えになるかどうか分からないが、俺の愛機はパーソナルフォートレスだ。そいつをできる限り自分好みに改造している」
それに食いついてきたのがフライハイトだった。
「へぇ、そんなくそ重い機体を使いこなせるのか、大したもんだな」
そうなのか? 重さは正義だと思ってたが、俺が世間からずれているのか。まあ確かに重すぎて使いづらい部分があるのは確かだ。




