心理学
可愛い系少女ネ・ムイはシャンディーガフを、渋いおじさんサントノーレはクリームソーダを、綺麗なお姉さんウォーモンガーは今コンシューマでアクセスしてるとのことで断った。
フライハイトはカルーアミルクだ。俺はココアを頼んだ。カロリーを気にせずに飲んだ気になれるのならココアだろう!という持論だ。ちなみに味は分かるがアルコールの影響はもちろん出ない。
だから俺の見取りでいけばこの世界で酒を頼むやつは普段から酒に慣れ親しんでいて酒が大好きなのではないだろうか。
そう考えると渋いおじさんであるサントノーレが頼んだクリームソーダは、俺と同じく仕様を理解してて、バカ高いカロリー飲料を味わえる選択とも言えるわけで、俺と同じおっさんなのかも? 素直に考えれば子供なのだが、この時間にアーケードに接続している子供もどうなの?だしな。
もちろんウォーモンガーは何も頼んでいないので分からないが、コンシューマで来ているというのはヒントになる。名前の通り戦うのが好きだから会議ごときでお金のかかるアーケードを使わなかった、と想像できる。もちろん今のところは想像だが、こういった人物像はアバターからはなかなか得られないが、こういうくせみたいなもので意外と【中の人】の人となりは知れるものだ。
なので今のところ一番得体のしれないのが呼びかけ人であるフライハイトなのがなんとも、といったところだ。名前がドイツ語で自由を意味するので、ただの大学生あたりのゲーマーだと思うが。
当然皆も俺を値踏みしてるだろうが、ココアでたどり着ける場所は少ないと思う。
「さて、ウォーモンガーには悪いがまずは乾杯といこう。そのあと僕から時計回り順で各々に起こったことを報告し合おう。では乾杯!」
ココアで乾杯した経験はさすがになかったな。そういった経験が出来るのもVRの醍醐味なんだろうな。俺はそういうのはほとんどしていないが。
「僕はコラボ先の【ファーストギアス】の世界に送り込まれたら、そこは戦場だった。人間の兵士がなぎ倒されて、俺の前に【鎮魂のエヴァン】と表示された敵が現れた。重量級のMTAよりも大きな、5mぐらいはあったんじゃないかな? AIの報告によると巨人族のネームドモンスターらしい」
「鎮魂か。もしかしてクラシック風のBGM流れなかった?」
「おお、やっぱり情報比べはするべきだな。そうだ。あれはクラシックのレクイエムで一番有名なところだと思う」
「ディエス・イレ?」
そう言ったのは意外にもサントノーレだった。
「ん? 分からんがBGMのコーラスはディエス・イレと繰り返していた部分もあったようにも聞こえたな」
ネ・ムイとウォーモンガーは話題についていけないようだ。俺もクラシックはあまり知らないが、このレクイエムのディエス・イレはよく知っていた。過去のゲームでもBGMとして使われていたから。
「で、ミッションをクリアして戻ってから調べたが、【ファーストギアス】には巨人族はいるみたいだが、【鎮魂のエヴァン】というネームドはいないようだ。すなわち【ミッションブレイク2】オリジナルってことだ。……よく分からないのがせっかくのコラボイベントだってのになんでオリジナルを使うんだ?ってこと」
その問いに答えられる者はここにはいないようだ。沈黙が続く。
「では次は私だな」
そういって冷え始めた場をなんとか繋ぎ止めてくれたのはサントノーレだった。
「私の場合も、同じ感じだ。いきなり戦場に放り込まれてボスと戦った。その際にクラシックがBGMとして流れた。私の場合、流れていたBGMはオペラの【魔弾の射手】だった。そして戦ったボスはミサオンMTAだった」




