四人
「やあ、ヒジリ。はじめましてだ。僕はフライハイトと名乗っている。【ミッションブレイク2】内なら話して良いとあなたも言われていないだろうか? そうだ、コラボイベントのことだ。ここの秘密主義はゲーマーとしては好ましいところだがな。今回は少々やりすぎな気もしないでもないが、のってやるさ。ということで、もらったリスト全員にこれを送っていた。ヒジリ、あなたは滑り込みだ。△△日◇◇時に僕のマイルームに集まるよう皆に声をかけている。リストの皆で情報を合わせてこのコラボイベントをより楽しみたいんだ。良い返事、は別にいいか。まだ早いがすでに開けておくので来てくれると嬉しい」
いかにもイケメンといった風な音声のみのメッセージかと思ったら文章もついているようだ。確認したら【ミッションブレイク2】でのマイルームの住所が書かれていた。実質これを貰わなければ公開されていない特定のマイルームに入ることは出来ないらしいからな。
指定されている日時はちょうどもうすぐだ。ということは数日前、最低でも昨日からこのイベントは始まっているということか。なんとかデスマーチが終わってくれて良かった。乗り遅れるところだった。
コーポレートに入ったことも他人のマイルームに入ったこともないので、少々緊張してきた。がこの道に乗れているのは少人数なようなのでソロ派だからと断るのはとてももったいないと思うし、ソロでもうすでにやり尽くしていて、新規のミッションしかやることなくなっていたからなぁ、いい機会かもしれない。
さっそく訪ねた。数瞬暗転し、気づいたら知らない部屋だった。ワープ方式なのね。まあ同じような扉が並んでてそこを延々歩き続けるよりは良いよな。
しかし、この部屋は大きいな。しかも二階や別室もあるようだ。俺は必要性を一切感じてなかったからデフォルトのままだったがここは課金ルームだな。家具類も見たことのないデザインのものばかりで何が何やら分からない。ただこの大部屋は作戦会議するための部屋だということは確信できる。何故ならモニタが埋まってる大きなテーブルがあるし、その上になんか立体映像が浮かんでるからな。
「やあ、早速来てくれたようだね」
二階から声から想像できる美青年が現れ、降りてきた。ここはVR空間だからわざわざブサイクに作る人はあんまりいないしな。
そんな彼からパーティへの参加要請が届いた、のですぐにOKした。
ここからはパーティオンリーの会話になる。
「おじゃまさせてもらった。PTありがとう」
「ああ。ヒジリ、たぶんもうすぐ皆が来る。座って待っていてくれ」
「フライハイト、だったか。いい趣味の部屋だ。素直に感心してるよ。俺の部屋はデフォルトのままだ」
「1のころはマイルームがなかったと聞くしね。もしかすると古参?」
「ああ、最古参だ」
「おお、すげぇ。初期からやってる人と初めて会ったぜ」
もう稼働年月も結構経つし初期はめちゃくちゃ料金、高かったからな。いばれることじゃないがすげぇと普通に言われてると嬉しいものだ。
「リストにあった三人が来てくれたようだ。来ていない残り五人のうち三人は欠席のメッセをもらった。二人からは無視された、残念だが」
三人がまるでテレポートしてきたかのような演出とともに現れた。現れた瞬間は動かず、しばらくしてから動き出した。今の世の中でもこのロードや同期チェックの時間だけはどうにもできないようだ。
パーティーへの参加通知が三つ届いた。
現れた三人はひと目見て分かる可愛い系の少女、俺のよりも年上で渋いおじさん、長髪の綺麗なお姉さんといったアバターだった。
「おはつですー。ネ・ムイよ」
可愛い系の少女は眠いといった。まさか名前、それ? 短い挨拶だが少し気になるな。
「サントノーレです。よろしくお願いします」
こっちは渋いおじさん、声も渋い。片目を眼帯で覆っている。うーむ、名前とアバターが合っていない。アバターで遊んでいるパターンだと思う。【中の人】の予想がつかないから、この人にはあんまり迂闊な事は言わないほうが良さそうだ。
「ウォーモンガーだ。あとで皆フレンド登録お願いします」
最後に金髪のウェーブかかった長髪のお姉さんだ。なんか直感でこれ中身男だ、と思った。もし当たっていたら見た目のセンスは素晴らしい。
「一足先に来ていた。滑り込みだったらしい、ヒジリだ」
怪しんでいたら【中の人】全員男判定に成りそうだ。そうだと楽なんだがなぁ。
「はじめましてー。僕は今回お声がけさせてもらったフライハイトです。どうぞ皆座ってください。あと自動配膳装置つけているので、おのおの好きな飲み物でも頼んでほしい。ここの代金は僕持ちだから安心して」




