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目的の駅の名前は『二子山駅』と言った。
なんだか全然変わってないな。
そんなことを懐かしい風景を見ながら、いろはは思った。
人の数はとても少なかった。
電車の中にいた人はいろはを入れても三人だけだった。
二子山駅で電車を降りた人はいろは一人だけだった。(時間はちょうどお昼だった)
天気は晴れ。
空には青色が広がっていた。(雨になるかも? と思っていたので嬉しかった)
季節は夏。
蒸し暑い風を感じながら、そうか、今は夏なんだっけ、とそんなことをいろはは思い出した。
コンクリートのホームの上を歩いて、いろははそのまま駅を出て行こうとした。
でもそのとき、ふといろはは自分しかいないと思っていた二子山駅のホームの上に『もう一人の人』がいることに気がついた。
その人は女の子で、どこかで見たことのあるような、見覚えのある中学校の制服をきていた。
あの子、東中学校の生徒さんかな?
そんなことをいろはは思った。
見覚えのある制服を着ている女の子は駅のホームにあるベンチの上に一人で座っていた。
そこから女の子はずっとなにもないはずの青色の空を眺めていた。