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マイルーム  作者: 雨世界
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13

 帰りの電車の中で、ずっと無視していた電話にいろははでた。

「はい、もしもし」

 そう言ってから、いろはは電話の向こう側にいる相手と、とても長いお話をした。「ごめん」とか「今、どこにいるの?」とか、そんなことをいろはの夫はいろはに言った。

「まだ怒ってる?」といろはの夫は言った。

「ううん。もう怒ってないよ」

 と窓の外の流れていく風景を見ながら、いろはは言った。

 家のまえに着くと、そこには夫がいた。

「おかえり」

 ととても安心した顔をして、夫は言った。

「ただいま」

 とそんな夫に抱きつきながら、いろはは言った。

「……黙って家を出て行ってごめんなさい」

 絶対に謝らない。

 絶対に泣かない。

 そう決めていたのに、いろはは泣きながら、夫に謝った。

「僕のほうこそごめんなさい」

 と優しい声で、いろはのことぎゅっと優しく抱きしめながら、夫は言った。

 それから仲直りをした二人は暖かくて明るい小さな家の中に二人で一緒に入って行った。

 産休をとって小学校の先生の仕事を休んでいたいろはの赤ちゃんが生まれたのは、それからすぐのことだった。そのことをあゆみに話すと、あゆみは本当に嬉しそうな声で「おめでとうございます。いろは先生」といろはにそう言ってくれた。

 今度のお休みにいろはの赤ちゃんを見にきてくれるらしい。

 その日が、今から楽しみで仕方ない、とそんなことを病院のベットの上でいろはは思った。


 ありがとう。お母さん。


 マイルーム 終わり

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