辺境部族の反乱
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ドラゴンチャイルドLEN
第五話 セブンエンペラー
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「反乱?」
シンクさんから借りた映像資料の一巻目を見終わって、ディスクをケースにしまおうとしていると、慌てた様子で蔵書室にやって来た館の執事のひとからそんな報告を受けた。
「近くの川が荒れてるのかな?」
「それは氾濫な。どっかの部族がおまえを認めないって反旗を翻したんだよ」
私の膝の上に座ってる幼少カーディに訂正された。
「反乱を起こしたのは白虎族、邪妖族、黒煙瓦斯体族……いずれも地方に名だたる武闘派部族でございます。彼らはいずれも四代目であるヒカリヒメを魔王に認めないと表明しております」
「ええ……」
私、何かダメでしたか……?
いや、確かに魔王になってから何もしてないけど!
映画みてゴロゴロしてるだけでしたけど!
あ、ちなみに一巻の感想。
レンくんが可愛かったです。
「まあ当然だろうね。いくらルーチェが先代魔王を倒したと言っても、各部族が力づくで従わされたわけじゃない。特に白虎族と邪妖族ってのは将を輩出していた部族だろ?」
「黒衣の妖将様の仰る通りです」
「これまでは先代魔王と竜将ドンリィェンがおまえの下に残っていたから面目も立ったけど、二人ともビシャスワルトからいなくなってしまった。地方の部族に言わせればどこの誰かもよくわからない小娘に従う義理はないってところだろう」
先代魔王のソラトさんとドンリィェンさん。
このふたりはシンクさんに連れられてヘブンリワルトに行ってしまいました。
今回の映像資料はゆっくり一日一話ずつ見てるので五日も前のことだ。
「ならルーちゃんが新しい魔王に相応しいって教えてあげればいいじゃない。ビシャスワルトでは強さがすべてなんでしょ?」
ナータがソファで寛ぎながら緊張感なく強硬的なことを言う。
「でも、せっかく平和になったのにまた争いを始めるのはよくないと思う……」
「反乱を放置すれば他の部族にも伝播するぞ。そうすりゃ再びの魔界大戦の始まりだ」
うっ。
それはもっと嫌かも。
「先代魔王ソラトはビシャスワルトを纏めるまで数百年を要した。それを考えたら反乱の芽は早いうちに潰しておいた方がいいと思うぞ?」
※
ということで反乱してる部族を説得。
場合によっては鎮圧することになったんですが……
「っていうかさ、今さらだけどルーちゃんってまったく魔王らしくないわよね」
ナータが致命的な指摘をしてきた。
「確かに見た目は普通の人間の女だからね。前の魔王と比べると舐められても仕方ない」
「カーディまで……じゃあどうすればいいの?」
「改造しよう」
改造とな。
「おまえ、姿かたちを自在に変えることはできるんだろ?」
「そんなことできな……あ、できる」
「へえ、ルーちゃん変身の輝術とかも使えるの?」
変身っていうかね。
じゃあ、ちょっとやってみましょう。
まずは閃熱を体中から出して消滅します。
じゅっ。
そしたら復活の要領で体を再構築します。
その時に意図的に違った形で身体を再生します。
ついでに無限石のペンダントで衣服もちゃんとイメージして。
……
…………
へんしん!
「じゃーん、できました!」
試しにナータそっくりの姿になってみたよ。
氷反鏡で確認。
まあ美人。
「あ、あんたもう何でもアリなのね……」
何故かナータは引きつった顔で私を見てる。
「これで前の魔王さんに変身すればいいのかな?」
「それじゃ意味ないだろ。ベースは元のおまえのまま、見た目の迫力を出してみろ」
ほうほう、見た目の迫力ね。
とりあえず元の私の姿に戻った。
そこからいろいろやってみましょう。
「やっぱり角とかあった方がいいわよね」
「肌はもうちょっと浅黒い方が強そうかもな」
「衣装はパッと見は襤褸布に見えるけど適度に宝石を配置して威厳を出して」
「心持ちもう少し年齢を上げた方がいいか。二十五、六歳をイメージして再構築してみろ」
ナータとカーディが注文を付けて、私はその通りに変身する。
なんだか等身大の着せ替え人形になった気分だよ。
「赤坂みたいな真っ赤な六枚翼とかどうかしら」
「尻尾も生やしてみたらどうだ」
「ピンクの髪はやっぱりどうしてもかわいく見えちゃうわよね」
「魔王化すれば先だけ残して銀髪になるから大丈夫だろ」
「服装は襤褸布よりも露出度の高いビキニアーマーの方がいいかしら」
「いいと思う。露出した肌には刺青で模様でも作るか」
「それは流石に……いや、後で元に戻せるならいいかしら」
「よくねーよ」
みょーん。
「怖い! ルーちゃんの目が久しぶりに超怖い!」
「二人はいつまで私の体で遊んでるのかな?」
「ごめん! ふざけ過ぎた!」
はあ、やれやれ……
まあ反省してくれたならいいけど。
いざとなったら元通りに戻せるのは確かだしね。
「あれ、カーディは?」
「ん?」
どっか行っちゃったのかと思ってナータと一緒に辺りを見回してみる。
すると部屋の隅っこでテーブルから顔を半分出して震えてる黒衣の妖将ちゃんがいた。
「ど、どしたの?」
「なにいまの、超こわかった……」
最強のケイオスが怯えてるのかわいい。
何に対して怖がってるのかはわかりませんけど。
「と、とりあえずこれでオッケーね。これなら反乱もすぐ鎮圧できるでしょ」
何がオッケーなのかもわからないけど。
※
私たちは館の二階に移動して窓を大きく開いた。
そしてそこから司令桃蝶弾ちゃんを三匹飛ばす。
「え、現地まで行かないの?」
「だって面倒くさいし……」
あの子たちに任せておけば後は勝手にやってくれるんだよ。
とりあえず「反乱はやめてね」って映像を撮ってあの子たちに記録した。
現地で上映した記録映像を見て反攻の意思をなくすならそれで良し。
そうじゃない場合は誰も死なない程度に攻撃して鎮圧するように命令してある。
白虎族一二八人、邪妖族六十五人、黒煙瓦斯体族四十四人。
その中で指示を出しているリーダーを狙って攻撃するように。
白虎族と邪妖族のえらいひとは閃熱白蝶弾を両手両足に、黒煙瓦斯体族は爆炎黒蝶弾を頭上でドカン。
あ、もちろんころしちゃったりしない様に気を付けるけどね。
私はこの世界のみんなの優しい王さまですから!
「赴くどころか魔王化の必要すらないか。ルーチェとソラトじゃ文字通り魔王としての格が違うな」
カーディがドアの陰に隠れてぼそぼそ呟いている。
こっちに来ればいいのにね。
「それを理解せずに反乱を起こした部族がバカだってだけの話でしょ」
「仕方ないとはいえ、そういうことだな。けど思い知るだろう」
「ヒカリちゃーん、ナータちゃーん、カーディちゃーん。ごはんできたよー」
あ、プリママが呼んでる。
というわけで反乱への対処も終わったので、夕食のお時間です。
その夜、司令桃蝶弾ちゃんを通じて、反乱鎮圧の結果が直接私の頭の中に入ってきました。
黒煙瓦斯体族は察したらしく素直に降伏勧告を受け入れてくれた。
他の部族のひとたちにはちょっと痛い目を見てもらうことになったみたい。
白虎族はしつこく何度もリーダーを変えては戦闘を煽ったから、ちょっと被害が大きくなっちゃったって。
それでも最後には諦めた。
怪我が治りしだい服従の証として族長さんが人質として館に来るから許し欲しいって言ってきた。
人質は別にいらないから信じてるよって音声映像と、怪我が酷そうな人がいたら治療してあげるようにって司令桃蝶弾ちゃんに命令を乗せて送っておく。
反乱未遂騒動はこれで解決。
さあ、明日は映像資料の第二巻を見よっと。
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第六話 オールドフレンド
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