第二の彼ぴっぴ
けんちゃんにすっかりはまって色ボケしてしまったゆりこさん。
しばらくたったある日のこと。
またまた突然のたまった。
「私、また彼ぴっぴができたのぉ~♡」
と。
「え?けんちゃんは?」
「ん~?けんちゃんはけんちゃんだよぉ。
でも、出会っちゃったのぉ。新しい彼はねぇ、誰にも言わないでね?
な・ん・と♡俳優さんなのよぉ~!丸春(週刊誌)が怖いぃいいい~♡」
久々の3人でのランチ。
そんな事を言うゆりこさんにフォークが止まる。
いや、待て待て、誰にも言わないでねぇ~ってこんなところで言うなよ。一応半個室みたいにはなってるけど、隣にもお客さん入ってますよ?
その声のトーンは隣に聞こえるトーンですよ?
「え?ちょ、え?」
茉由さんはおろおろするばかり。
「いくつくらいの人なんですか?」
この際二股(正確には旦那もいるから3股)なのは置いといて聞いてみる。
「26歳!」
「「はぁ!?」」
これには私と茉由さんの声がハモる。
「ど、どこで知り合ったんですか?」
という茉由さんの問いに
「うふふ。間違いメールが来てねぇ、間違ってますよって送ってあげたのがきっかけなの。」
「え?」
それって、あれですやん。
あの私たちが若かりし頃流行ったチェーンメールとか詐欺メールとか言われて注意喚起が行われてたあれですやん。
思わず茉由さんと目を合わせアイコンタクトをとる。
騙されてるな。今度は確実に騙されてるな。
「ちょ、ちょっとそれは危なくないですか?」
「なにが?」
「いや、ほら、全然知らない人からのメールとか、怖いっていうか...」
茉由さんがいうと、
「えー?すっごくいい子なんだよぉ?もぉー、疑いすぎだってぇ。そういうところだぞ!どんなところに出会いって転がってるかわからないんだからぁ。」
「いや、でも、あのっ」
言いかける茉由さんを遮るように
「これ、彼の写真っ♡
結構苦労してる子なんだぁ。今はね、ドラマのちょい役の仕事が来てるんだって。
マネージャーさんとも連絡とったし、大丈夫♡」
と彼の写真を見せてくる。
黒髪で爽やかな好青年のイケメンくんの姿がしっかり移っている。
「い、イケメンですね・・・。」
そういうしかない。だって本当にイケメンなんだもん。
「でしょぉ~?」
鼻高々にどやるゆりこさん。
「もぉ~二人ともっ恋っていいよぉ~。早く彼ぴっぴつくりなよぉ~。こーんなおばさんにもできるのにぃ。自分で出会いのチャンス、逃しちゃってるんでしょ?」
「あ、あははははぁ」
乾いた笑いでごまかす私たち。ちょっとカチンときちゃったんだが。
「顔も悪くないけどぉ、ちょっと沙耶ちゃんは頑固なところがあるしぃ、ルーズだからなぁ、理想が高すぎるんじゃないのかな?駄目だよ、身の丈にあった人を捕まえないとっ。」
「え?あ、そ、そうですねぇ~」
愛想笑いで返すけど、今ものすっごく‟身の丈にあった人”にひっかかったんだけど。
「茉由ちゃんもぉ、譲るところはちゃんと譲ってぇ話すときちょっときつくなっちゃうからぁだから男の人からしたら話しかけづらいんだよぉ。治さなきゃだめだぞっ!
あとねぇ好きって言ってくれる人がいるなら、顔とか関係なくぅ中身見て捕まえないとぉ」
茉由さんの顔が一瞬真顔になったんだが。