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妄想彼氏  作者: 滝ノ瀬 紗津
3/5

週に一度のランチday

「ねぇ、ゆりこさんから彼氏が離婚したいって言ってるって聞いたんだけど。」



待ちに待ったランチで茉由さんが言った。




「え?マジで?」




「まじまじ。大マジ。」




「あやすぃ~。」




「だよねぇ。」




いつも行く街の小さなイタリアン。

ランチにデザートもついてお得なここ。

日替わりのパスタをつつきつつ、仕事の愚痴を言い合って、ストレス解消して、週の後半を乗り切るのが私たち三人の楽しみだったんだけど。

そう、“3人”

いつもは、ゆりこさんもここに入る。

だけど、今日は




「彼ぴっぴとデートなのぉ♡間に合うかなぁ♡」




と言いつつすんごい速さでゆりこさんは退社した。




「どう思う?離婚。会ったの一回だけだよね?」




「そう聞いてる。」




「今日が二回目だよね?」




「そう聞いてる。」




私たち二人はう~んと考えこんでしまう。

離婚をちらつかせてくるなんて、怪しさ倍増なんだけど、なんだけどねぇ・・・。



「前に彼ぴっぴがいない沙耶さんには酷かぁ~って言われたんだよねぇ・・・。」



そう、それを言われると、騙されてませんか?って言いづらいってもんだよ。



「ひがみだって言われるよねぇ・・・。」



茉由さんの言葉にこくりとうなずくしかない。



「「でもねぇ・・・。」」



二人の声が重なった。

別に、ゆりこさんの事が嫌いなわけではないのよ。

なんやかんやあるけど。仕事しやがらねぇけど。嫌いなわけじゃ、ないの。

二人して重たく長~いため息をつく。


世の中にはいろんな人がいる。

それはわかっている。

だからゆりこさんを好きになる35歳がいないとも限らない。

そう思っているからこそ、ひょっとしたらひょっとするかもしれないという思いと、詐欺を心配する思いで板挟みになる私たち。




「お金が絡んできたら確実に詐欺なんだけど、そんな話聞いた?」



と聞くと、



「いや、まだそんな話は出てない。」



と茉由さんが答え、そこでまたうーんと二人して唸る。




「ねぇ、前もなんか工事のお兄さんに告白されたって言ってなかった?」



そう、ゆりこさんってば、以前も自宅の近くで工事していた工事現場のお兄さんに、「奥さんの事好きになってしまいました。」と告白されたことがあるのだ。

その時は信じたのよ。

だって、写真もなかったからさ、そんなこともあるかと思ったの。



「言ってた。言ってた。あと、公園で旦那以外の男性とデートしてるのをみたって柳瀬さんがいってた。」



「え?まじ?」



私、その話は初耳なんですけど。

しかも、遭遇情報提供者があの最年長柳瀬先輩。

旦那を立てる古風な女性。



「まじまじ。挨拶したけど、旦那には内緒ねって言ってたって。」




「う~わ。」




「旦那以外の人とデートって考えられないって言ってたよ。」




「そりゃそうだろね。嫌いだもん、そういうの柳瀬さん。」




髪ゴムやピアスなど、めちゃめちゃ風紀にも厳しい人だからね。




「これは、ひとまず様子見かなぁ~。」




「そだねぇ~。」



ちょっとだけ二人で天井を見上げながらデザートの最後の一口を口にいれて




「帰ろっか。」



と頷きあって私たち二人は店を後にした。


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