表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妄想彼氏  作者: 滝ノ瀬 紗津
1/5

ゆりこさんに彼氏ができた。

登場する人物はすべて架空の人物です。



「はい?!」



私、山神沙耶そして同僚山岸茉由は二人同時に声がでた。

いつも行くカフェの一角。

980円でちっちゃなデザートが付くランチを頼み、



「実はみんなに報告があるの。」



と前置きをした後、ゆりこさんが言ったのだ。



「私、彼ぴっぴができたのぉ♡」と。



林ゆりこ、61歳。既婚。


そう、ゆりこさんは既婚者。

旦那と子供(娘が2人)がいらっしゃるのだ。

なのに彼ぴっぴ(なんだよ彼ぴっぴって)が出来ただなんてのたまうのだから、声が同時にでたのは理解していただけることだと思う。

何度も言う。

なんだよ彼ぴっぴって!



「え?ど、どんな人なんですか?」



私、山神沙耶より先に復帰した茉由さんが聞いてくれた。



「えっとねぇ、この間、同級生と飲んでてぇ、カウンターでたまたま隣どおしになったときぃ意気投合したの。今ぁ35歳だってぇ。」




「え?35歳?」



「そぉ。IT企業に勤めててぇ、今度デートなのぉ」



「あ、あはははは」



もう、乾いた笑いしか出てきやがらない。

言っておきたいことがある。

ゆりこさんは石田ゆりこさんみたいな美人ではないし、大地真央さんみたいな美人でもない。

そこらへんにいる普通の加齢臭さえ漂うおばちゃんだ。

ショートヘアに三段腹の、身長は小さいが、小太りの普通の、も一度言う、普通のおばちゃんだ。


35歳の彼氏。


そ、そういうこともあるよね。

うん。

そうだよ、そういうことだってあるよ。



何とか納得し、写真でもあるかと聞いてみて見せられた携帯の画面。そこに写った彼ぴっぴを見て、再び私と山岸さんはフリーズすることになる。



「い、いけめんだ...。」



そう、そこに写っていたのはどう考えてもイケメン。黒髪短髪、え?どこの俳優さん?って言いたくなるくらいのイケメンだったのである。


普通のおばさんなのに。

もう一度いう。

普通のおばさんなのに。


なんでだよ!



会社の同僚、ゆりこさんに彼氏ができた。


これだけ聞くとよくある話だ。

だけど、ゆりこさんが61歳の普通のおばちゃんで、相手がイケメン俳優なみの男前な35歳だったらどうだろうか?

よくある話で片付けられるだろうか?

いや、まず詐欺を疑う。

騙されてやしねぇか疑う。

だって悔しいじゃないか!


私も茉由さんもフリーなのに。

フリーなのに!!!


私、自慢じゃないけど年齢より10歳は若く見えるよ?

スタイルだって153センチ48キロだよ?

おっぱいはビーだけど、お尻はぷりっぷりだよ?

顔は前の彼氏に中の下って言われたけど、結構頑張ってメイクしてるよ?

茉由さんなんて148センチ44キロだよ?

くりくりの二重でかわいいファニーフェイス系だよ?足はめっちゃ細くって華奢だし、どっこもたるんでないんだよ?

フェイスラインだって!


なのに、普通のおばちゃん、ゆりこさんに彼氏。

ゆ、ゆりこさんに彼氏ができて、どうして私たちはフリーなの!?

え?

性格が悪いから!?

くっそう!

確かに、こんなこと思ってる時点でちょっと性格悪いかもって自分でも思うけど、でも!でも!客観的に見て!

負けてないんだよぉ!!!!!






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ