第8話 彼は本格的な部活を始める
こんにちは魂夢です。Twitterには載せたんですが麗良ちゃんと美嘉ちゃんのイラストどうやって載せるん……?
俺は部活に入ったことがないからわからなかったが、サッカー部とか野球部とかがよく言う「部活行きたくねぇわ~」とは、今の俺の気持ちとたぶん同じなんだろうな。
でもあいつらは好き好んで部活入った癖になんで部活行きたがらねぇの? おかしくない?
俺なんて無理矢理入らされたんだぞ……。
「松葉ー。今日部活行く?」
声をかけてきたのは、神を自称し初対面で俺に告ってきて、しかもまさかの同じ部活に所属している恋綺檄 美嘉だ。
「え、んぁあ。そりゃ行くけど」
行かないと問答無用で夏休みの赤点補習に連れ出されるしな……、俺赤点じゃないのに。
恋綺檄はパァっと笑顔になる。そんなに俺を部活に連れ出したいのかよ。なになに社畜なの? 俺いつから社畜になったの?
「よかった! それじゃあ後でね」
恋綺檄は言うだけ行って去って行く。俺はその背中を見ていた。
○
部活棟までの道は、長く険しい。まぁ言うほど長くも険しくもないが。
それでも今から部活に行くのであれば、必然的に足取りは重くなってくる。
俺はたいして寒くもないのにポケットに手を突っ込んで、なるべくゆっくり歩く。
「うぇ、お?」
角を曲がったすぐのところにぼっち部の部室は存在する。
が、ぼっち部の扉の前には見知らぬ男子を見つけてしまって、思わず声が出てしまった。
「な、なにしてんの?」
とりあえず声をかけてみる。ネクタイの色を見てみると、緑だ。どうやら俺と同じ一年らしい。
たぶん違うクラス、だと信じたい。同じクラスなのに顔覚えてないの知られたら、めんどくさくなりそうだ。
「あ、いや。この部活の扶桑花さんにちょっと用があって……」
なんだ、扶桑花にようがあったのか。あいつはなんだかんだ有名人だからな、多方面から色々とあるんだろう。
「入ったらどうだ?」
「は、はい。そうします」
何をそんなにおびえている? 俺はそんなに怖くないよ?
たしかに目つきは悪いし、自分で言うのもなんだが身長も高め。俺が百七十五センチだからこいつは百六十ちょっとじゃないだろうか。
怖いからって、あんまびびんないで欲しい。本当は心優しいんだぜ? 人間ハ友達、餌ジャナイ。
「あら田中君、どうかしたの?」
扶桑花の友達であろうこの人は田中と言うらしい。よし覚えたぞ! 田尻君! ごめん間違えた。
「ボ、ボクに、ゲームを教えてください!!」
へ? ゲーム??
○
「へー! 麗良ちゃんってゲーム得意なんだー!」
後に合流した恋綺檄と共に田中 滝の話を聞いてみると、どうやら友達とゲームをしたいのだが、弱くて足を引っ張らないよう訓練を付けてくれということらしい。
「扶桑花がゲームをやるなんてな……。なんかゲームとは対極にいると思ってたぞ」
「人を見かけで判断しないでもらえる? 私だってゲームくらいするわ」
なんか木の下とかで本読んでそうな雰囲気を纏ってるからな扶桑花は……。
「で、なんのゲームを友達とやりたいの?」
「えっと、APEXって名前のやつです」
アルティメットプラズマエクストラ、略してAPEX。フォートナイツと並んで有名なFPSゲームだ。
「あぁそれなら、私得意よ」
言って、良い笑顔見せる扶桑花。初めてこいつの笑顔を見たが、不覚にもすごく美しいと思ってしまった。
もうずっと笑顔だったらいいのに……。
○
まてまておかしい。おかしいおかしいぞ。ぼっち部ってゲームとかやっていいの?
「えっと? ここのコードを、ここに挿してっと」
ノリノリでテレビにプレイステージ、略してプレステを接続する小原先生。一体どこから持ってきたのか……。
「よし、接続できた。これからも部活動に励みたまえよ」
ぼっちを集めて脱ぼっちをするのがこの部活の目的なら、わざわざ田中を助けてやるのは部活動に含まれない気がするが……、まぁ別にゲームするだけだしなんでもいいわ。
「では松葉君、やるわよ」
へ? なんで俺?
「もしかしてFPSをやったことは無いのかしら」
「ずいぶん前にスペースウォーズのFPSをやってたが、なんで俺?」
俺が言うと、後ろの恋綺檄が両手をブンブンし始める。
「だってあたしゲーム下手なんだもん! あたしだってやりたいよ!」
まぁ下手くそだったら教えらんねぇわな。
「わーったわーった。やりゃいんだろやりゃあ」
田中の視線があまりにも痛かったから、思わずOKしたが、大丈夫だろうか?