第4話 そこにはでかでかと……
こんにちは魂夢です。今日から毎日投稿始めます!
ただ投稿時間はランダムになっちゃいましたすいません……。
「どうも! 恋綺檄 美嘉です! 今日からよろしくお願いしまーす!」
空色の髪をゆさゆさしながら、彼女はそう口にした。
なぜ彼女がここに……? というかどうやって? いや、元々彼女はここに来る予定だったのか?
それなら、一応筋が通ってるが、そうにしても昨日俺に話しかけてきた意味はなんだ?
「お前の席はあいつの隣だ」
小原先生がそう指示すると、恋綺檄はニコニコしながら席に着く。
席に座り鞄置いてすぐ、彼女は笑顔のままこちらを見た。俺はその視線に耐えきれず、思わず目を逸らしてしまった……。
○
ホームルームが終わって、一限目二限目と続いていき、昼休みに入った。
それまでの恋綺檄はというと、特にあっちからコンタクトは無かった。
強いて言うなら、何度か見られてたくらいか。
「なぁ荻野、お前恋綺檄ってやつとなんかあったん?」
弁当を食いにやってきた鶴城が、そう尋ねる。
彼は机をくっつけて袋から弁当を取り出した。
「いや、昨日話しかけられたくらいで、特に何も」
鶴城は目を大げさに見開いた。
「話しかけられたくらいって、面識も無いのにだろ? そんなことあるか?」
いや俺もあり得ない話なのは理解してるが……。でもこれは紛れもない事実だし仕方無いんじゃないんすかね……?
俺は両肩を少し大げさに上げた。
「ま、何でも良いけどよ。なんかエッチな関係なんだったら俺にも教えろよぉ?」
やめろ、気持ち悪い。そんな関係なはずあるか。
昨日話しかけられたのになんでそんな関係に発展するんだ馬鹿馬鹿しい。
俺はため息をついて首を横に振り、弁当の蓋を開けた。
○
学校中に六限目の授業終了のチャイムが鳴り響く。
この音を聞くと心の底から落ち着くのはやっぱり学生の性って奴だろうか。
各々が騒がしくロッカーと机とを往復している。
その中にはもちろん俺も含まれていて、荷物をロッカーに押し込んでいた。
ロッカーの大きさと教材の量が合ってねぇよ。どんなに綺麗に入れても若干あふれるじゃねぇか。
「ねぇ、松葉君?」
あぁ……、ここでか。いつかと思ったが、よりにもよって忙しい今なのか。
「なんだ? 悪いが今ちょっと忙しいから後にしてくれるか?」
「うん、わかった。じゃあ放課後でどうかな?」
俺が頷くと、恋綺檄は自分の机に戻っていく。
なにがしたいんだまったく。俺の平穏な日常が崩れそうだ。俺は事なかれ主義だから基本的に問題は起こしたくないのだが……。
恋綺檄は見た感じ断っても食い下がってくるタイプっぽいしな、うまいこと避けるってのもそれはそれで努力しなきゃならん。
俺は努力が嫌いだから、やる努力よりやらない努力が多いのなら渋々だがやるを得ない。
常に少ない努力でできることを選択するのが俺のポリシーだ。
○
ホームルームが終わった俺はとりあえず、廊下で待つことにした。
今日は鶴城と帰る約束があるから、さっさと済まして欲しい。
だが、恋綺檄は転校生ということもあって一緒に帰ろうとか言ってくる女子の始末に追われているようだ。
まぁ俺は本でも読んで待っていようか。
「ごめんごめん。お待たせ」
なにが「お待たせ☆」だよ。キャピキャピすんな? 別にそんなキャピってなかったけど。
「遅ぇぞおい、呼び出しておいてそれはどうかと思うが?」
俺がそう問い詰めると、恋綺檄は半ベソをかきながら必死に謝った。
周りからの視線がきつい、美少女転校生がすごい勢いで謝ってるって状況は誤解を生みかねないな……。
「わかったわかった。それで、なんのようだ?」
「えっと、それはね~?」
彼女は鞄から一枚の紙を取り出して、俺に渡す。
めんどくさいな、口で言えばよくないか?
渡された紙は何の変哲も無いただの紙である。大きくもなければ小さくもないし、別に分厚い訳でもない。
ただし、紙の上段にはでかでかと「入部届」と書いてあった。