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ミモザ part26

結婚式当日。


天気にも恵まれて雲ひとつないあおい空。冬の寒さも名残惜しい感じでいまだに顔を隠してはくれない。一方で木々は新しい命を青々と芽吹かせていた。二人の結婚式は少し町外れにあった知り合いの牧師さんに頼んで、2家族と孤児院の先生、色々と手伝ってくれた恵さんだけを呼ぶことにした。その後に、披露宴会場として少し大きめなホールを借りて会社の社員が合流することになっている。もちろん披露宴の会場の装飾を担当してくれた結さんもそこで合流する。ここだけの話、知り合いの方に頼んだので経費は、普通に結婚式と披露宴を行うための費用の半分以下で抑えられた。


まずは、形式的な結婚式が始まった。両家が二つに分かれて座り、真ん中には赤いカーペットが。まずは新郎のルイが入ってくる。自分と父さんが作った、ルイ専用のタキシードは、シンプルに白と黒のもの。シンプルすぎるとうちの女性陣には最初は不評だったものの、着飾らないのが自分らしいというルイの意見でこれに決定した。実は細部までこだわりがあって、タキシードには珍しく、ジャージのように柔軟性のある布を使っていて、動きやすいようにしてある。これは父さんが結婚式の時に、母さんをお姫様抱っこしたときに腕が上がらずに、少しだけタキシードを破ってしまったことがあったからそうしたらしい。技術の進歩はすごいもので最新の技術の応用で作られたものだから、ジャージ素材といって高級感がなくなるわけではなかった。


ルイが定位位置につくと、教会の重い扉が後光を差しながら開いた。眩しくて最初はよく見えなかった。そこには桃井さんの腕に手を回してゆっくりと入ってくるドレス姿のひかるがいた。自分もルイもこの時初めて、父さんと女性陣で作ったドレスを見た。綺麗な黄色のドレスだった。後日聞いたが、父さん曰くモチーフがあったらしい。父さんの好きな歌手の方がミモザの歌を歌っていたらしく、季節もちょうど開花時期と会うため、ミモザの花をモチーフにして、黄色いドレスが完成したらしい。これは女性陣には好評で、ひかるの名前とあっている良いという評価だったらしい。ひかるもすごく気に入っていて、仕事のたびに試着をお願いしていたらしい。おかげで、採寸もその都度できたし、細かい微調整もひかるの意見を取り入れながらできたので、父さん曰く自分の作品の中で最高傑作らしい。父さんが良く言っていた、服はその人が着て初めて完成する、という言葉通り、ひかるのため、ひかる以外がきてはいけないと言わんばかりのドレスだった。


黄色のドレスに包まれ、黄色が買ったベールをかぶっているひかるが少しずつルイのもとに近づく。花嫁を先導するようにフラワーガールが黄色い花弁をバージンロードにまいていく。ひかるの後ろにはベールガールとベールボーイ一人ずつがしっかりと長いベールを持ってひかるのお手伝いをしていた。今日、協力してくれている子供たちは全て孤児院から来てくれてた子供たちだ。孤児院の先生からのお願いで何かできることはないかとのことだったので、お願いした。この日のためにかなり練習してくれたみたいで、緊張しながらもしっかりと自分たちの仕事をこなしてくれていた。


ゆっくりとルイの元に向かうひかる。その姿はどこか悲しげで、妖艶な魅力を放っていた。その隣で、一緒に歩いている桃井さんは目をうるうるさせていた。バージンロード越しに見える奥さんはすでに目にハンカチを当て、溢れるものを拭いていた。


当事者の二人は、緊張からか表情が硬い。ひかるはベールでよく見えないのだが、ルイはあからさまに緊張していた。手に力が入り、プルプル震えていた。


ひかるが神父の前につき、桃井さんの腕から名残惜しそうに手を離す。奥さんがベールをあげた後、数段の階段を登り、ルイと向かい合った。


ゆっくりと顔を上げるひかる。綺麗に化粧をしたひかるの顔は見惚れるほどだったが、少しだけひかるの表情がおかしい。口に力が入り、なぜか笑いを堪えてる。


「ごめん。我慢できない。」


そう一言いうと、緊張という空気が流れていた式場を切り裂くようにひかるの笑い声がこだました。


「なんて顔してんの。緊張しすぎでしょ。」


「うるさいな。緊張するだろ普通。それに何笑ってんだよ。真剣な場面だろうが。」


「いや、ごめんごめん。緊張してるルイの顔が面白くて面白くて。我慢しなきゃいけないのはわかってたんだけど無理だったわ。」


自然と自分からはため息が出た。まあ、らしいちゃらしい。心なしか、ルイの表情から緊張が抜けていった。


「ひかる。笑い終えたら言ってくれ。そこから仕切り直すから。牧師さん、すいません。すこしだけ待っていただけますか?」


牧師さんも初めての体験みたいで少し戸惑っていたが、仕方ないなと言わんばかりに笑顔で頷いてくれた。




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