ミモザ part24
事務的な雑務は基本的に自分が全てやった。関係各所への報告や招待状の発送、結婚式までの期間、2人で話す機会を多く持ってもらうためにひかるのスケジュールを空けたり、結さんに無理をいってルイの仕事を自分が受け持ったりもした。自分がルイにできることなんてこんなことぐらい。むしろ足りないとも思っている。
結婚式の準備が着々と進む中、両家での話し合いの席が設けられた。本来なら、うちの両親とひかるの両親だけでもいいのだが、父さんの勧めで自分も参加することになった。
「お久しぶりです。桃井さん。」
「久しぶりだね。いつもひかるが世話になっているよ。」
「いいえ。それはこっちのセリフです。専属でカメラマンをしてくれているので本当に助かってます。」
もともとうちにいた桃井さんは今フリーで色々なところで写真を撮っている。家にいないことも多いのだとか。奥さんはその仕事のアシスタントをしていて、旦那さんについていくことが多い。いつも自分たちはひかるに寂しい思いをさせてしまっているんじゃないかと自分のところに相談に来る。
「いつかは、と思っていたけど、こんなに早く来るとは思わなかったよ。でも、これでひかるは寂しい思いをしなくて済むかな。」
娘の結婚で傷つかない父親はよっぽど仲が悪い以外いないと思う。それが娘には寂しい思いをさせてしまっているという自覚があるのならない尚更なのかもしれない。
「ひかるは結婚まで相当悩んでたんですよ。」
「え?」
実は桃井さんには結婚にまで至る経緯は話していなかった。
「ひかるには止められてたんですけどね。これはここだけの話にしてください。自分も最初は驚きました。ひかるなら即決だろうなって。でも、そうはならなかった。珍しく自分と恵さんに泣きながら相談してきました。不安でいっぱいだったこともあって、相談したのはいいものの、自分が意見を求めても答えてくれませんでした。そこからはぐちゃぐちゃでしたよ。ルイは珍しく仕事をミスるし、それを自分に黙っていたことがバレて何故か真心と喧嘩になるし。」
少し愚痴っぽくなってしまった。
「まあ色々ありまして、今こうしておめでとうがいえる状況になってます。それに、2人からルイが婿に入るってことで話がまとまったみたいですよ。桃井さん達に親族がいないみたいだから自分がいったほうがいいかなって。あくまで自分の想像ですけど、ひかるは不安の中に2人のことを思っていたんじゃないかなって。引き取ってくれた恩もある。2人に自分以外の子供がいない。2人を悲しませてしまうかもしれないっていう不安もあったのかなって。最初は、ルイと離れたくないということで自分にお願いしてきたけど、だんだん2人との時間が大切なものになっていったんじゃないですか?ひかるはちゃんと2人の愛情を感じてますよ。」
「そうか。ならよかったな。」
桃井さんは上を向いてわかりやすく涙を堪えているみたいだった。
「今度ルイと話してみてくださいよ。自分よりもルイの方がひかるに近くにいてよく見てますから。」
「そうだな。息子が増えたみたいなもんだからゆっくりそういう機会を設けようかな。」
桃井さんは顔を明るくした。娘が嫁に行くというよりも、新しく息子が増えることに喜びを感じたのかなと思う。




