ミモザ part12
腰を下ろしてからかなり時間がたった。一度切ってしまった話を再び始めるためのきっかけがなかった。お互い顔は伏せてはないが向き合いながらお互いの出方を見ている感じだ。変な緊張感が2人を包んでいた。
「グゥー・・・。」
静寂の中に恥ずかしい音だけが響いた。音の主は驚いた感じでお腹を抑える。
「今日の夕飯は何にしようか?何か食べたいものでもある?」
自分は笑みを浮かべたまま、真心に尋ねる。正直、お互いにもう謝ったので話す内容に困っていた。お腹の虫に感謝しなきゃいけないかな。自分は真心の隣に座った。
「膝借りていい?」
自分が問いかけると、真心は自分の膝を2回叩く。許可がおりたみたいだ。自分は真心の膝に頭を乗せる。真心側に顔を向け、服にシワがつかない程度に顔を密着させる。ゆっくり吐いて、ゆっくり吸って。恋しかった匂いを堪能する。
「寛そろそろいかないと。」
真心に促され、渋々離れる。体を起こすと真心の服には濡れた跡があった。
「大丈夫?もう少しいてもいいんだよ?」
この期間、自分でも気づかないくらい相当思い詰めていたのだと思った。考えることも、背負うものもここ数日であやふやだったものを何個も確認した。
「大丈夫。ここで真心の仕事の邪魔したらさっき言っていた自分の言葉に嘘つくことになるから。でも、帰ったらお願いしていいかな?」
真心は口には出さなかったが小さくうなずいてくれた。




