ミモザ part11
気まずい雰囲気は何も変わってはいない。自分たちのことよりもまずは2人の問題を解決するのを優先した。それは自分たちなら心配ないという自信からきたものだと思う。喧嘩中とはいえ、自分たちには愛がいる。愛は自分たちをつなげる架け橋みたいな存在だ。でも、この2人の架け橋になれるのは自分たちしかいないだろう。自分たちがしっかりしていないと2人の関係が壊れてしまうかもと思った。
「聞いてたと思うけど、ひかるが俺に話してくれたことはしっかり話した。今度はひかるから直接伝えなきゃいけないと思う。」
「うん。わかってる。」
ひかるは顔を上げて、話始める。
「ルイ?寛と話して、恵さんに相談して私たちにとって何が最善なのかって。正直、まだ早いのかなって思ってる。もうすこし、時間を置いて、ルイが大学卒業してからが1番かなって。お互い働いているとはいえ、まだ未成年だしね。私たちを受け入れてくれた親や兄弟にまで色々と迷惑がかかる。」
もともと孤児だったこともあり、親には迷惑をかけたくないのだろうか?自分も同じような経験があるから分からなくもない。家族としては気を使われるのは嬉しくはない。
「その時は、ちゃんとルイの話を聞くことができなかった。心配が先に頭の中をよぎったから。あの時ちゃんと話し合うべきだった。ごめんなさい。」
ひかるは頭を下げる。
「だからさ、今からでいいから少しずつ話し合いしよ。私は拒否するつもりはないよ。さっき寛が言っていたみたいに私はルイしかいないと思っているから。」
多分この調子だと、自分たち2人はいらない。2人きりで話させたほうがいいと思い、自分は真心にアイコンタクトをとった。
「ここからは2人で話したほうがいいと思う。俺たちは席を外すね。俺たちには後で話してくれればいいから。」
自分と真心は席を外す。ルイが話さなかったのがすこし気がかりだが、自分たちがいると話しづらいこともあったのだろう。
自室を出てすぐに
「寛?」
真心が自分に話しかけてきた。
「何?」
真心は深々と頭を下げて
「ごめんなさい。」
という。自分は真心の肩を持ち、頭を上げさせる。
「いいさ。お互い様でしょ。俺も悪いところがあった。俺の方こそごめん。ルイが俺に相談しない理由もよく考えれば分かってたし、それを分かった上で真心にきつく当たってしまったかもしれない。」
あまり周りに聞かれていいものではないので、話を一旦中断して隣にある真心の部屋に入った。相変わらず整理整頓されていて綺麗。1人の方が集中できるからと言ってここは真心1人だけの部屋になっている。1人には少し広い感じがするが、誰も文句は言わない。1人部屋には似つかわしくない大きなソファーとテーブルが置いてある。その上には間食をしないのにお菓子が置いてある。お昼休憩になるとよくここに人が集まって談笑しているらしい。そのソファーに腰を下ろして話の続きをする。




