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彼岸花 Last part

授業から1週間後。それから隼人からは全く連絡がなくなっていた。もちろん、隼人の両親からの連絡はない。何かトラブルがあれば連絡してくるはずだからその辺は安心している。しかし、連絡が来ないのも少し寂しい思いもある。


さくらがいなくなっても自分の授業は継続して行われている。先日の授業が保護者に好評だったらしく、これからも引き続きお願いをされた。さくらが自分に新しい居場所を作ってくれた。いつも通りに授業の準備をしていると、


「早くしないと間に合わないよ。」


聞き覚えのあると久しぶりに聞いた生意気な口調が後ろから聞こえた。


「隼人か。久しぶりじゃないか。」


内心心配でならなかったがそれを全面に出すとカッコ悪いので少しスマした感じで答えた。


「心配してたんじゃないの?花屋に寄ったら愛さんがいってたよ。」


「あいつ余計なことを。ああ、そうだよ。心配してたさ。」


「そっか。」


隼人の目は笑顔だった。


「で、今日は俺にようかな?」


隼人の表情が変わる。姿勢を正して自分に向けて頭を下げる。


「お願いです。僕に勉強を教えてください。」


少し驚いたがさっきの表情からどういった経緯でお願いしたのかはある程度理解した。


「俺にか?」


「ダメかな?」

「いやダメではないけど、もっといい人材を知ってるからそいつの方がいいかなって。勉強といってもいろんな分野があるだろ。俺は基本的に社会科しか教えることができないし、英語なんて雰囲気で答えてきたから人に教えることなんてできないぞ。俺にって言うこだわりがなければそいつのこと紹介してやってもいい。ただし条件付きでね。」


「その条件って?」


「今は言えないかな。どうだ、この話乗るか?」


「わかった。信用する。お願いします。紹介してください。」


「そっか。わかった。今度の土曜日は空いてるか?」


「何があっても必ず開けておく。」


「ならできればどちらかの親御さんときてくれ。集合場所は花屋でいいや。そこに11時に迎えにいくから。」


「わかった。よろしくお願いします。」


なにがあったのか、さくらの手紙には何が書いてあったのかは聞かない。隼人の中で何か変わったのが目に見えてわかる。それが確認できただけで嬉しかった。



数日後。隼人を迎えにいくために真心の運転で花屋に向かう。


「ごめんな。せっかく休みだったのに。」


「いいの。隼人くんにもあってみたかったし。それに寛の運転で他の人を乗せるのは不安で仕方ないから。」


「返す言葉もありません。」


花屋に着くと隼人と隼人の母親があっていた。


「すいません。お待たせしました。」


「いいえ。うちの子のわがままを聞いてくださりありがとうございます。」


「自分は何もしてませんよ。でも、これから会いに行く人間には詳しいことは話していないので隼人がどれだけ本気なのか証明する必要があります。もし、許可が出た場合お母さんに少しだけ相談したいことがあったのでお呼びしました。わざわざご足労ありがとうございます。」


「ほら早くしないと、ルイに伝えた時間に遅れるよ。」


車の中から真心が話しかけてくる。


「では、どうぞお乗りください。隼人もほら。」


隼人は少し緊張しているような面持ちだった。


車内では珍しく真心から会話がスタートした。


「はじめまして。佐々木真心と言います。一応名刺を。」


真心は自分の胸ポケットから名刺を出し隼人のお母さんに渡した。


「別に取引先ではないんだからいいだろ。かしこまった挨拶は。」


「必要なことです。まずは自分の身分を示さないと。」


2人とも苦笑いをしていたが、隼人の表情はかなり暗かった。


「隼人。そんなに緊張しなくて大丈夫だぞ。これから会いに行くのは俺の弟だから。義理のな。」


車を走らせること20分。会社についた。休日なので誰も出勤はしていない。真心が鍵を開け、中にはいる。そして2人を会議室に通す。


「では、ルイのこと読んでくるので真心は何か飲むものをお願い。」


「了解。」


自分は会社内にある自分の部屋に向かった。


「ルイ。お客さん来たから、着替えてるよな。」


「まあ一応。それなりの格好はしていると思うよ。」


「よし。なら行くか。」


会議室にルイを連れていく。真心はまだ来ていないらしい。


「はじめまして。佐々木ルイといいます。」


2人は立ち上がりそれぞれ自己紹介する。


「自己紹介はここまでにして、本題に入ろうか?隼人自分から説明して。」


「兄さん、人がいるとあまり話せないかもしれないから2人っきりにしてくれないかな?」


「わかった。お母さんでは少しうちの服でもみませんか?何か気に入ったものがあればプレゼントします。」


「いいえ結構です。」


「そんなこと言わずにさあさあ。」


隼人の母親が部屋から出る。続いて自分も。途中で真心とあったが会議室に入れないので一緒に隼人の母親の服選びを手伝ってもらった。


なんやかんやで1時間はたった。随分と長いこと2人で話しているな。気になった自分は会議室をこっそり覗くと、2人は仲良く話しているようだった。


「兄さん、見えてるから。隠れきれてないよ。」


「そうかばれちゃったか。2人はまだ服見てるから、ルイどうするか決めたか?」


「ああ。受けるよこの仕事。兄さんより自分の方が適任ぽいし。」


「よし。決まりだな。これから隼人のことよろしくな、ルイ。」


「任せて。こいつのこと医者にでも教師にでもなれるようにしてやるからさ。」


詳しくは知らない。多分だがさくらのお願いだろう。


「じゃあ。2人のこと呼んでくるから。」


会議室を抜け2人呼びに行く。やけに盛り上がっていて、結局隼人の母親は3着の服をもらっていくみたいだ。

再び5人で会議室に集まる。


「ルイの了承も得られました。じゃあ週末に隼人はここにくるようにな。で、お願いしたいと言うことなんですけど。長期休みの間隼人に手伝ってもらいたくて。よろしいでしょうか?」


「隼人くんはこの条件飲んでくれました。長期休みの忙しい時に人手が増えるのは正直こちらとしても嬉しいのでよろしくお願いします。」


「そうですね。隼人がいいと言うなら。わかりました。こちらこそよろしくお願いします。」


「ありがとうございます。」


こうして隼人がうちの手伝いをしてくれることになった。



2日後の月曜日。結さんと開店準備をしていると、


「あれ新しい花仕入れたんですか?しかもこの花って。」


「そう、彼岸花。縁起は悪い花かもしれないけど、お願いされてね。」


「誰がです?」


「隼人くんがね、さくらが好きだった花をお墓参りの時に持っていきたいからって。ここで買った花の方が絶対さくらが喜ぶからって。」


「そうですか。なら今度、自分が行く時も持って行こうかな。」


「やめた方がいいと思うよ。」


「どうしてです?」


「彼岸花の花言葉は『思うのはあなた1人』だったり『また会う日を楽しみに』って意味があるから。それは2人だけのものにしてあげたくない?」


「そうですね。」


自分と結さんは笑い合った。


「でも、ここにおくのはあまりよくないかもね。隼人くんが来たら出すことにしようか。」


「それの方がクレームは少なそうですし、その方がいいかもしれませんね。」


その時たまたま前に止まっていた車のラジオから季節外れのさくらの情報が流れてきた。ラジオでは異常気象のこと温暖化のことを気にしていたが、自分はそれよりも何か伝えにきてくれたのかなと思った。


「寛、サボってないで早く準備して。」


「はいはい。今行くから。」


読んでいただきありがとうございました。

どうだったでしょうか?

これで彼岸花編本編は終了となります。

続いて、本編では描かなかった、さくらとの話やさくらが隼人に送った手紙などを更新したいと思います。

来週にはどちらかが更新できると思うのでもう少し、隼人とさくらの物語にお付き合いください。

寛の物語はまだまだ続きます。

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