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運命の鎖

 シチューを食べ終えた女の子に、メガロディアを仕留めた時に見つけた果物をデザートとして出してみた。味見してみたらなかなかの甘さで、少し種が多くて食いずらかったが美味かった。

 気に入ってしまったので結構の量を持って帰ってきたんだが、正直採りすぎたとは思っている。だが、種に四苦八苦しながらも嬉しそうに食べている女の子の姿を見れば、採ってきた事自体は間違っていなかったと思う。これだけ食べれるんだから、胃が弱ってるってこともないだろう。

 その間に俺は半分残っていたメガロディアの肉を丸焼きにすることにした。シチューは俺も食べたんだが、やっぱりがっつりと肉を食いたい。

 家から持ってきた調味料で味を付けつつ、炭を使ってじっくりと焼き上げる。肉から落ちる脂が火に勢いをつけるから途中何度も焦げそうになったが、なんとか仕上げる事ができた。

 シチューと違って料理って感じはしないが、野性味溢れててこれはこれで好きだ。串に刺してそのまま噛り付いたんだが……美味い!柔らかいし脂がのってるしで手が止まらない。気が付けばあっという間に完食していた。結構な量があったと思うんだが、俺もまだまだ成長期かね……。

 食ってる間に思い出したんだが、メガロディアを捕まえたワイバーンはどうしてるんだろうな。もし俺が倒したワイバーンが相方なら帰りを待ってるかも……やばい、罪悪感がわいてきた。

 ただ、どれだけ考えてもこの子は見捨てるなんて選択肢はないな。後味が悪すぎる。そういえばまだ名前すら知らないんだった。もう少しで食べ終わりそうだし聞いてみるかな。

 なんて思ってたら次の果物に手を伸ばしはじめた。確かに美味いもんな。俺も口の中をスッキリさせたいし食おう。

 種を避けながら食うせいか、しばらく互いに無言になってしまったが、ようやく満足したのか女の子は手を止めた。


「ご馳走様でした。 とても美味しかったです」


「口にあったようで何よりだ」


「その……少し食べ過ぎてしまいました。 申し訳ありません」


「食べてもらってこその料理だ。 残された方が辛いし、気にするな」


「はい……ありがとうございます。 そういえば私ったらワイバーンから助けていただいたお礼もまだでしたね。 命を救っていただきありがとうございます」


「見捨てたら後味が悪かったから助けただけだ、気にしなくて良いぞ」


「それでも私が生きているのはあなたのおかげです」


 気にするなと言ったのに女の子は頭を深々と下げてきた。見た目幼い感じだが喋り方もしっかりしてるし、奴隷になる前はしっかり教育を受けてたんだろうな。それか見た目よりも年齢が上とか?どっちでも良いか。

 俺はお礼を言われるような上等な人間じゃない。自分が善人じゃないのは自覚しているし、今回この子を助けたのも俺の気持ちの問題であって、誰から構わず助けるわけじゃない。俺の手の届く範囲で、悪人でなければ助けるって程度だ。

 俺にはこんなに真っ直ぐな考えは持てない。少し……ほんの少しだけこの子が眩しく見えた。

 なんにせよ、ようやく話ができるようになったんでお互いに自己紹介をした。女の子の名前はアルマ。冒険者って言ってたが……奴隷だってことを言いたくはないんだろうな。

 まぁ当たり前か。奴隷が一人でいるなんて本来あり得ないんだ。何かしらの理由で逃げてきたんだろう、話題に出して困るのはアルマの方だ。

 とはいえ、隠したいなら首元を見えないようにしないと一発でバレると思うんだよな。俺も場の空気を悪くしたくはないが、今後の為にも言っておくか。


「アルマは冒険者なんだよな。 どんな依頼を受けるんだ?」


「基本的に採集依頼です。 薬草を集めるだけでも結構な稼ぎにはなりますし、それで資金を集めながら旅をしています。 本当は討伐依頼で一気に稼ぎたいんですが全く戦えないので……」


「ワイバーンにあっさり捕まったみたいだから予想はしてたが、やっぱ戦えないのか」


「はい。 魔法は使えますが補助的なものばかりなので役に立たないんです」


「だとしたらちゃんと護衛を雇うべきじゃないか? 冒険者の中には護衛が得意な奴もいるんだろ?」


「少しでも節約しようと思いまして……」


「で、死にかけたと」


「うぅ……そうです」


 あくまでも会話の中から切り出す!直球で話題に出す勇気がなかったとも言えるがな。ただ普通に冒険者として活動してるって雰囲気がする。嘘をついてる感じもしないし……どういうことだ?

 奴隷は冒険者として登録はできないはずだ……こうなったら直接指摘するか。


「ちょっと良いか?」


「はい、なんでしょう」


「率直に言うが……アルマが冒険者として活動を続けたいなら首の奴隷紋は見えないようにした方が良いぞ」


「……え?」


 言ったぞ、俺は言ってやったぞ!ただこの後奴隷紋について指摘したことを心から後悔するとは思いもしなかった。


「これが……見える? あなたが……私のあるじ様?」


 俺があるじ様?なんだそれ。なんか急にアルマが真顔になった。おまけに奴隷紋が蠢いてる。


「ようやく見つけました……あるじ様、絶対に離しませんよ」


 あれ?俺いつのまに鎖で縛られた?

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