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平原での出会い

 爺さんは昔世界中を旅していたらしい。キレイな景色を見たり美味いもの食ったり、楽しそうな思い出をよく話してくれた。逆に過酷な土地で死にかけたこともあるらしいんだが、話してる時の顔は笑ってた。

 普段ぶっきらぼうな爺さんが笑ってたんだ、興味を持つなってのが無理な話だろ。ただ金の大事さもしつこいぐらい言ってたのも覚えてる。金で何か失敗でもしたんだろうが詳しくは教えてくれなかった。

 同じ失敗をしたくはない。使いもしないのに山の幸を売って貯めた金はあるがすぐに底をつくだろう。だから俺でも稼げそうな冒険者になろうと思ってる。

 これも爺さんに聞いた話だが、冒険者は魔物を討伐したり薬草を採集して稼いでるらしい。これってよく考えたら普段から俺がやってたことと同じなんだよな。

 魔物はしょっちゅう狩ってたし、山菜と一緒に薬草も摂ってたから毒草との身分けもつく。俺が食うか売って金にするかの違いだけだ。土地が違うと魔物の強さが違ってくるだろうが、爺さんに剣術習ってたから腕には自信があるんだ。

 ……あれは習ったって言えるのか不安だけどな。

 型なんて上等なものはないし、爺さんの動きを真似してただけだ。アドバイスを受けたこともないし、よくこれで生きてたよ。今は森にいる魔物なら近づいてズバンで終わりだ。いや、近づかなくても斬撃飛ばすだけでやれる。

 どうでも良い自己分析になってしまった。

 しばらく平原を歩いていると、草を食っている魔物が見えてきた。メガロディア、でかいだけの鹿に見えるがれっきとした魔物だ。ただ気性は穏やかで自分から人を襲うことはないらしい。

 実際俺に気付いても少しこっちを見ただけだ。森にも同じような鹿の魔物はいたが出会ったら即襲ってきていた。それを考えると楽で良い。

 ただ、こういうだだっ広い所にはワイバーンが出るらしいから注意はしておくかな。小型のドラゴンで食欲旺盛、空から獲物を物色して襲い巣に持ち帰ってから食うらしい。俺は実際に戦ったことはないから知らないがかなりの強敵だとか。

 空に少し意識を向けつつまたしばらくは歩きっぱなしだったがようやく街道が見えてきた。このまま道に沿って進めば町が見えてくるはずだ。そこに冒険者ギルドの支部があるらしい。ただ、そろそろ日も暮れてきたし今日は野宿にしよう。

 なんて思ってたら空に何かの気配を感じたので見上げてみるとワイバーンが旋回していた。それも二匹。

 敵対はしていないようだ。夫婦で一緒に獲物を物色しているといった感じか。近くには丸々太ったメガロディアがいるし、俺の真上を飛んでいるわけでもないから襲われはしないだろ。

 そもそも森の魔物よりも弱そうな気配しか感じないし襲われても問題なさそうだ。

 思いっきり他人事のような目線でワイバーンを見ていたら、一匹のワイバーンが突然墜落するかのように勢いよく下降し始めた。翼を上手く使っているのだろう、かなりの速度だ。


「獲物が決まったか」


 平原とはいえ多少の起伏があるので気配でしかわからないが狙われたのはメガロディアのようだ。可愛そうだがワイバーンも生きる為にやってることだ、俺がどうこうしていい問題じゃない。なんて考えていたらさっき下降していったワイバーンが飛んで行った。足には案の定メガロディアが捕まっていた。

 もう一匹はまだ上にいるが、俺の進行方向上のかなり先を旋回していた。今度は距離が離れすぎていて狙っている獲物の気配は全く掴めない。

 嫌な予感がする。

 街道は多くの人が通るために土が踏み固められ草はあまり生えていない。だから草食のメガロディアは基本的に街道には姿を見せない。なのにワイバーンは街道の上空にいる。

 狙われたのは人かもしれない。

 魔物がうじゃうじゃいる世の中だ、町の外に出る時は護衛をつけているだろうが金がなければ雇うことすらできない。もし護衛のいない人が狙われたら……。

 こういう時の予感はよく当たるもので、ワイバーンが下降した後に人の悲鳴が聞こえてきた。遠くのせいかかなり聞き取りづらかったが間違いない。


「さすがにこれは見過ごせないな」


 幸いワイバーンの高度は俺の射程範囲内だ。どうやら高く飛ぶのは獲物の物色の時だけのようで、獲物を捕まえている今の高度は低い。おまけに巣が町とは反対にあるのか、さっきのワイバーンと同じように俺のいる方向に飛んできた。

 少しずつはっきり見えてきたが、捕まったのは女の子のようだ。襲われたショックからか気絶している。変に暴れるよりは怪我がないだろうし不幸中の幸いかもな。

 ワイバーンが俺の頭上に来る少し前に剣は抜いておく。接近して攻撃するとあの子を受け止めれなくなる。というわけでとれる手段は一つだ。


「寝覚めが悪くなりそうなんでな。 悪くは思わないでくれよ」


 俺は剣技、烈風剣を放った。

 鋭利に研ぎ澄まされた斬撃を飛ばす剣技だ。風を巻き起こしてるように見えるからその名前がついたらしい。その斬撃はワイバーンの首をあっさりとはねてしまった。やっぱり森の魔物よりも弱いな。

 ワイバーンと一緒に落ちてくる女の子をできる限り優しく確保し、そこで気づいた。

 この子、奴隷だ。

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