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2 大天使降臨



 転生した悪役令嬢たちに問う!


――諸君は、なぜ問題点の元から絶たなかったのだろうと。


婚約者との関係を強化する、親との関係を改善する、追放されてもいいように手に職をつける。

それも、良いだろう。


前世ではいつも不思議に思っていた。


 なぜ、ヒロインを元から絶たないのかと。


 わたしの立ち位置は、攻略者のひとりである王子の婚約者である。

ヒロインが王子ルートに入ると、ヒロインであるマーガレットに執拗な嫌がらせをし、最後にはそれがバレて婚約破棄され、魔物のあふれる森へ魔力を封じられ武器も持たず放置されてしまうのだ。


ハッキリ言って死亡確定である。


王子ルート以外なら安全かというとそれも違う。

教師ルートでは不道徳だとヒロインをいじめ教師にこっそり毒殺される。

魔法使いルートでは、ヒロインが魔物に襲われるシーンで巻き添えになって死ぬ。

騎士ルートでは、隣国との戦争が起こり人質として攫われた末、救出が間に合わず戦死する。

義弟ルートでは、じゃまな義姉として加虐趣味のある侯爵に嫁がされ衰弱して死亡する。


ゲームの制作者から憎まれてるんだろうか?と言うくらいの死亡ぶりである。

もしかすると制作者の元カノに似てるんじゃないか?と、疑うレベルだ。


婚約者との関係を改善したり家族と仲良くするなどという生ぬるい手を使っている場合では無いのだ。


『 られる前にれ 』 である。


ハッキリ言って、私は自分が一番かわいい。

殺らなければ殺られるのだ。これは立派な正当防衛である。


世の中は弱肉強食なのだ。






 そう決心した私は、我が家の暗部を使いヒロインを探せた。

ヒロイン7歳。彼女はこの年、母親に死なれて孤児院に引き取られる。

彼女は実は伯爵がメイドに産ませた子供で、その後伯爵が引き取り学園へ通わせてゲーム開始となる。




 それに平行して、打てる手は全部打つ! フラグは全て叩くことにした。

生存確率を1つでも上げるのだ。

石橋を叩いて叩いてたたき壊すぜ!


前世は、ちゃきちゃきの現代女性だったから、婚約破棄なんてどうでも良い。

終わった恋のひとつやふたつ、気にすんな。

次に行けば良いのだ。ゴーツーネクストだ。



皇太子妃なんて一見華やかだが大変な仕事。

めんどくさい皇太子妃を返上できるなんてむしろウェルカム!




もう一度言おう。


私は自分が一番かわいい。


できれば貴族のまま楽して暮らしたい。

王子など結婚しなくて良い。

行かず後家で、領地で蟄居大歓迎だ。








 結論から言うと、王子と婚約はしなかった。


元々ゲームでも、王子様に一目惚れしたローズが父親にねだって、王子が傷物にしたこと(物理:池ポチャで後頭部負傷)を盾に無理やり婚約を迫ったのだ。


もちろん王子も、池から藻を頭にかぶって血まみれで上がってきて足首を掴んだ女を嫁にはしたくなかったようだ。


ホラーだ。トラウマものだ。


嫌われるのも無理は無い。ちびっこなら夜泣きするレベルだ。



もちろん、何が起こってもいいように魔法だけはしっかり学ぶ。


光魔法が使えるなら、けが人の治療、火傷、切り傷、骨折なんでもこいで、治療師として職に困らないのだが、私は悪役らしく闇魔法しか使えない。

ヒロインはハイスペックで全属性が使える。ちっ、うらやましくなんかないやい。


家から追放され市井で生計を立てる場合は、しょうがないので闇魔法で怪しい占い師でもして稼ぐ所存だ。

あ、のろいもできますわ。

闇魔法上級を扱えるくらい上達すれば、精神支配系や隷属魔法も使えるから、金持ちの商人を欺して左うちわで暮らすという手もある。









 そうこうしているうちに、私の前に暗部が孤児院に引き取られる前のヒロインを連れてきた。


探せと言っていたが連れてこいとは言ってないよね?

探した後、サクッとや~っておしまい!の予定だったのに……





 ぽやぽやした金髪に、紫水晶アメジストのような瞳、ふっくらとした愛らしい唇、薔薇色のほっぺ。透き通る様な白い肌。

知らないところに連れてこられて不安に揺れていた小さな女の子が、私を見つめると目をキラキラさせてニッコリと微笑んだ。







――みなさーん、事件です。大天使、降臨ですっ!!!!!!




 






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