雑談
「これはこれは、シリンダー殿では御座いませんか!」
門の前に到着すると、暇そうな・・・、もとい、懸命に不審者が入らないように見張りをしている門番がシリンダーに話しかけてきた。
「ああ。ピカルか・・・」
門番ルーカは、自分の名前を覚えてくれていたことが嬉しかったのかニカッと笑顔を見せた。
ちなみにもう一人の門番、ドロリッチは無口で滅多に話しかけてこないし、ピカルが雑談してる時も無関心である。
「シリンダー殿、お出掛けで御座いますか?」
「ああ、ちょっとな・・・」
「左様ですか・・・」
出掛ける理由を門番は聞かない。何故なら、出掛ける理由に『極秘任務』があるからだ。
特に団長クラスが出掛けると尚更だ。
「今日は、一番隊の団長様も、二番隊の団長様もお出掛けで、城内の警備が手薄になってしまいますなぁ・・・」
「っと言っても、門番が優秀なお陰で城内は平和で皆、暇しているがな・・・」
「ガッハハハ・・・。そんなことを言ってくれるとは嬉しいねぇ・・・」
ピカルは、両手を腰にあてて大きな声で笑った。無口なドロリッチも満更ではないように頬を赤くする。
「おっと、長話しをして団長様の邪魔をしたらいけませんね。では、ご武運を祈っています!」
大声でそう言ったあと、ピカルは綺麗な敬礼をシリンダーに見せた。その横ではドロリッチも敬礼をしている。
「ああ。長話は帰ってからゆっくりしようとしよう・・・」
敬礼している二人にシリンダーは、敬礼で返して旅に出た。
◇◇◇◇◇
門番からシリンダーの姿がゴマ粒くらいの大きさに見える時、もう一人門を出る者がいた。
「おや?テンビン殿で御座いませんか?テンビン殿もお出掛けですか?」
ピカルは、小さな子供に見せるような満面な笑顔を見せ、頭を撫でようとした。
バチン!!
ピカルの頭を撫でようとした手を、テンビンは思いっきりビンタをしてなぎ払った。
「うるさいわね!なに!?あんた!私よりも弱いくせに子供扱いするわけ!?」
「・・・・・」
テンビンの予想外の反応と台詞に、ピカルはそのまま固まってしまった。
テンビンはピカルを睨み付けたあと、どこか遠くを殺意があるように睨み付ける。
「・・・えっ!?」
ピカルはテンビンが睨み付けている方向をゆっくりと首を動かして見た。
テンビンの視線の先、そう、そこにはゴマ粒くらいの大きさに見えるくらい遠くを歩いているシリンダーの姿があった。
「テ、テンビン様・・・。なにを・・・!?」
ピカルは、何か嫌な予感がして青ざめた表情で視点をテンビンに戻すが、あまりにも恐ろしさの為かピカルの声は小さく、テンビンには聴こえたかどうかの大きさであった。
その声は聴こえなかったのか、または聴こえていたが無視したのかは分からないが、テンビンはピカルには目もくれずゆっくりと歩きだした。




