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一から始める日本創生  作者: 塚山 泰乃(旧名:なまけもの)
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反省会

お待たせいたしました。それしか言えない。

 サワジたちを処刑し明日村を出る支度を済ませ、分隊長以上で夕食をとる俺たちは河原での戦いを振り返ることにした。

 俗に言う反省会である。


「というわけで、今回の山賊の生け捕りの件について話し合いたいと思う。遠慮なんていいからどしどし意見を出してほしい」

「何かあるか?」


 モズが音頭をとり、ブヤが俺たちに尋ねる。

 言いたいことは色々あるが、それは皆も分かっているだろうからひとつだけ挙げることにする。


「まずは良かった点。材料さえ(そろ)っていれば出来のいい罠が仕掛けられる人材を得たことですね」

「じゃあ俺からも。新兵たちが初の実戦を経験したことで、戦の空気を味わったことかな」


 俺の感想にナテが続く。

 いつまでも新兵のままではいざという時、役に立たないからな。


「後は迎え撃つ側が罠を仕掛けたこと。今まで俺たち攻める側だったから、普段狩りでしか使ったことない罠がどれだけ怖いか理解した奴も多いんじゃねえかな」

「あたしたちは兵たちの傷の手当てが(のろ)かった事。今後は訓練してもっと迅速(じんそく)な手当ができるようになると思う」


 セリとモミの職業からの視点での感想になるほどと頷く俺たち。

 遠投げが便利で一方的な遠距離攻撃の常套(じょうとう)手段になりつつあるからな。さすがにそればかり頼りきるのは良くないと痛感した一件だった。遠投げが封じられた際の対処法を考えておく必要がある。

 特に女たちは血を見ることと手当てに慣れてはいても、一度に多くの人が傷つき倒れたときの対応に(あわ)てふためいてたから、冷静さを失わない事が課題だろう。

 皆からの良かった探しが無くなったところでモズが逆の意見を(つの)る。


「次に悪かった点を挙げてくれないか?」


 多分、これが一番の問題なんじゃないかな。


「山に入る前、班の編成に時間をかけすぎて盗賊が逃げた可能性があること」


 俺の発言にモズがため息を吐きながら頭をかく。


「少数に分かれて行動することを想定していなかったからね。そのことについては謝るよ」

「今後は(あらかじ)め、……いや、今回の山狩りの編成で固定した方が良いか。人が減った班は山賊から加えた奴らで補うことにしようか」


 ブヤが大雑把(おおざっぱ)に方針を決める。

 今はそれで良いんじゃないかな。問題が起きればその都度修正していけば良い。


「罠発見を(おこた)ったこと」

「それについては悪かった」


 ムゼキが指摘して、セリが頭を下げる。

 気づかなかった、可能性を想定してなかったのも問題だけど、やり込められた本職が自覚してるだけましだろう。


「敵の背後に回り込まなかったこと」

「あ、それについては事後報告になるけど、背後の森の中にも罠を張ってたってタキが言ってた」


 トマリの指摘にセリが事実を言ったことで皆がしかめ(つら)になる。


「うあ、駄目か」

「えげつない……」

「回り込んでも犠牲者が出てた可能性があるのか……」


 皆が(うめ)く中、カヤオがぽつりと(つぶや)く。


「サワジを仲間に引き込んでいれば、良い働きをしたんじゃないか?」

「村人たちにいらん恨みを買うわ、処刑して正解」

「非情さを持ち合わせていなければ、良い指揮官だったんだけどねえ」

「あ?」

「……ごめんなさい」


 彼の案はモミに即刻(そっこく)否定された上、続けて言ったコウの感想に彼女が真顔で睨むと彼は頭を下げて謝罪した。

 そりゃ、捕らえた女性たちにあんな事をしでかしたら誰だって怒るよ。


「ええと、話を戻すけど、他に悪い点は遠投げという俺たちの得意とする技を使わなかったこと」

「完全に判断を誤ったね。手ごろな石が沢山ある河原だったんだから、好き放題できただろうな」


 タナソの指摘にモズは素直に予想を述べた。


「まあ、そうなった場合、山賊たちは洞穴に引きこもって籠城の構えを見せていただろう」

「罠を解除した後、洞穴の中へじりじりと攻め入る俺達……」


 ブヤとタナソの言葉を聞いて想像する。暗い洞穴の中、狭い地形で振り回せず突くことしかできない槍。

 戦国時代の長槍とは違い、短くても槍だ。取り回しが難しい。


「うん、閉所での戦いだから地の利が行かせない、やっぱり死者が出ちゃう可能性があるな」

「そう都合良くはいかないね」


 ナテの結論に俺がため息を吐いて感想を言う。


「古参兵とか育て上げた新兵を失ってまで山賊を加える必要はあったかな?」

「……反論のしようが無いね」


 マレマの指摘に小さくなるモズ。


「…………他に意見は無いか? とりあえず、これくらいか」

「覚悟はしていたけど、みんな辛辣(しんらつ)だ……」


 ブヤが締めたが、モズは目に見えて落ち込んでいるので、俺は(はげ)ますことにした。


「良い事だと思うよ? 上に対してみんなが何も言えなくなったら、それこそ終わりの始まりだと思う」

「……何の改善もされないまま、同じ失敗を繰り返す、ということかい?」

「そうそう。今回はこれだけの損害で済んだけど、ほぼ全員生き残れなかったなんてことも想定しておかなくちゃならないんじゃないかな」

「そこまで考えたくないなあ」


 俺とモズがそんな会話をしていると、イシカが首を傾げる。


「そこまで酷い状況だと、周りを敵に囲まれていて、脱出が非常に難しいと思うような場合か?」

「そうなんだよ。今は僕たちの住んでる国々だから有利だけど、敵が多い海の向こうに行ったら、そうなることも考えなくちゃならないと思う」


 俺の考えにコウとムゼキが反論してくる。


「敵を追い出す事だけじゃ駄目だと?」

「そもそも何で海の向こうへ行かないといけないんだ」

「敵が生まれる国そのものをなんとかしないと、この先延々と僕らの国々にやって来るんじゃない?」


 俺の予想に頭を抱える小、分隊長たち。


「……勘弁してくれよ」

「いつになったら故郷に帰れるんだ?」

「死ぬまで、って言うのは冗談だけど、僕たちが年を取ってそろそろ次の若い者に任せようかって言いだす頃までじゃないかなあ」


 カヤオとマレマのぼやきに俺が正直に言うと、コウとタナソが不満を口にする。


「それって結婚もできないんじゃないか?」

「嫌だな、そんな生活」


 その言葉に俺は首を傾げた。


「モミが率いてる女たちに声掛けしてなかった?」


 コウとタナソはそれぞれ中隊の女たちを誘って、二人きりで付き合ってるところをときたま見かけていた。


「してるぞ」

「朗報だ、俺たちに彼女ができた!」

「それはおめでとう」


 自慢げに話すコウとタナソにモズが祝福する。


「でも、それが何で結婚できないことになるんだ?」

「静かに暮らしたい!」

「騒がしいのは御免(ごめん)(こうむ)る!」


 セリの疑問に強調して答える二人。


「いや、別に結婚するのは戦場でもできるだろう?」

「今は山賊討伐も終わって時間もあるし、やるならやっておけば?」

「今は大事な任務中だからな。結婚するのは構わんが避妊はしっかりしておけよ」


 何を言っているんだと眉をひそめるトウヤに、今のところは結婚に興味のなさそうなセリ、ブヤは完全に他人事だと言わんばかりに言う。


「良い考えだ、今すぐやろう!」

「図々しいが祝ってくれないか!?」


 二人の叫びに俺たちは苦笑いする。


「とりあえず、皆で祝いの宴会でもしない?」

「そう、それ!」

「さすがカゼ、話が分かる!」


 困った顔でモズを見ると、彼は苦笑して言う。


「よし、ちょっと村長から酒を融通(ゆうずう)してもらいに行ってくる」

「モズ中隊長、お願いします!」


 コウとタナソが背を向けたモズに腰から九十度曲げて礼をする。


「俺、彼女連れて来る!」

「俺も!」


 礼をした二人はそう言うと別のたき火を囲んでいる集団、目当ての女性がいる所へと突撃して行った。


「あの年齢で嫁がいないというのは、そこまで必死になることなの?」

「そりゃそうでしょ。時々ずれたこと言うのね」


 俺が不思議がって呟くと、それを聞いたモミが当たり前の事のように言う。

 前世を引きずっているせいか、こちらの文化にまだ慣れていない。前世の男性の結婚は二十代半ばが普通だったような気がする。遅くて三十代後半も当たり前だった。


「……ついでに、あたしたちもする?」

「僕、まだ十二才。そろそろ十三にはなるけど、早すぎる……」

「え? あたしたちの国でそのくらいの年の結婚は普通でしょ」


 そう言われて思い返す。

 確かに俺と同い年の子供たちが結婚するのは珍しくなかった。

 それを俺が受け入れるかは別だが。


「ナシちゃんから聞いたわよ。もう経験済みなんだって?」


 その言葉でぴしりと固まる。


「いや、は? どうして、それを……」

「伝令使って、貴方の村長とのやり取りで、ね」


 村長ぁぁぁあああああ、貴方何やってるんですかぁああああ!

 その場で頭を抱える俺をモミが笑顔でつつく光景があった。

おまけがもう一話あるのですが、いつ投稿できるか不明です。申し訳ございません。

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