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一から始める日本創生  作者: 塚山 泰乃(旧名:なまけもの)
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オシ

裏話です。

 誰かのために生きたい。

 そう思ったのはいつ頃からだったろうか。

 前世の日本で暮らしていた頃だったと思う。

 その頃はやる事なす事全てが上手くいかなくて、すさんでいた。

 自分は駄目だけど、せめて他の人だけはと考えた。

 それは間違いだった。

 だってそうだろう? おのれを何とかできないのに他人を救えはできないのだ。

 そんな結論に至るのに何十年もかかり、そこにたどり着いたときには、もう引き返すこともやり直すこともできなくなっていた。

 失意のうちに病に倒れ、闘病とうびょう生活をしながら体力はおとろえていき、若い時は一日寝ているだけで回復した風邪にかかってあっさりと他界した。

 そこで神に出会った。

 もう一度やり直したいかと問われ、即座に頷いた。

 何かチートを与えようかと訊かれたので、誰にも負けない速さと何者をも跳ね返す盾が欲しいと告げた。

 どのような世界が良いかと問われ、誰も選択したがらない魔法のない、便利のない時代をと頼んだ。

 神が選んだのは縄文時代の日本。まだまだ自然に人の手が入っておらず、自力で何とかしなければならない時代。

 素晴らしいと感じた。

 神から与えられた力を使って今度こそ人々の役に立って見せる。

 だがしかし、この力は異端すぎた。ちょっと能力を使いながら走り出しただけで百mを通過してしまったのである。また、障害物に当たりそうになったときは見えない盾が衝突した物体を粉々に破壊したり跳ね飛ばしたりした。

 これでは人々から恐れられてしまう。

 どうしたものかと悩んでいた日々を送っていたとき、食料不足で反乱の話がどこからともなく持ち上がった。その中心人物がミナトと呼ばれる者らしい。

 もしかしたら、俺は彼の力となれるかもしれない。

 俺は彼が住む村まで会いに行き、昼間だと門番に門前払いされたため、皆が寝静まった夜に会った。

 彼は病気で早死はやじにした親の跡を継いで若くして村長になった人物で、もともと反乱を計画するような人ではなく、そこらにいるお人好ひとよしな人間であり、人々が困窮するのをうれい、立ち上がろうかと悩んでいた青年だった。

 その人間性を俺は気に入った。

 反乱を起こすのを躊躇ためらう理由に規模が小さすぎてすぐに鎮圧されそうなことを告げられた。

 だから俺は力を見せて、おのれを売り込んだ。

 反乱を起こしたいと考えている人間はそこかしこにいる。俺はその人たちと連絡を取り合って一斉いっせい蜂起ほうきすべきだと語り、彼はそれを了承りょうしょうした。

 それからは、人目に付かない夜間に村から村へ走り回る日常を送ることになった。

 最初は胡散うさんくさい目で見られたものの、俺の盾の力を見せると途端に信じるようになった。

 連絡を密にし、あちこちから竹簡ちっかんがミナトの下に届くようになると、彼は反乱を起こすのは間違っていないと自信をつけた。

 誤算だったのはこの国、ミマツが西の国への救援で貴重な戦力を出さざるを得なかったことだ。俺は反対したが、ミナトは困っている人がいるのだからと手元にいた優秀な戦力を出してしまったことだった。

 こんなことで大丈夫かと頭を悩ませたが、計画は変えられない。秋の農作物の収穫直後に反乱を起こすことにした。

 最初は各村の反乱勢の足並みをそろえるのに苦労した。各地の食料をため込んでいそうな村を襲ったり配下に加えたりして勢力を拡大していった。

 ミマツの国を乗っ取ることができるんじゃないかと思い上がった時もあったが、そう上手く事は運ばなかった。

 まず王の軍勢が強かったことだ。

 都の北側の有力な反乱勢力と激突し、今も争っている。

 ヤタニ村に王の軍勢がどこからか現れたと言うのでその村への攻勢は止まった。

 のちに軍勢はおらず、こけおどしでしかなかったと知ったため、攻め落としたそうだが。

 ヤブイワを攻めていたミナト率いる反乱勢が壊滅かいめつしたこと。

 ミナトへ連絡しようと向かっていた最中、森から火の手が上がり大火災になった。その中で人間松明と化した者たちが踊り狂う様を見て、引き返さざるを得なくなった。

 それ以降、ミナトの足取りはつかめていない。

 ヤマカミ村を攻めていたはずの反乱勢がいつの間にかいなくなっていて困惑した。

 ヨシマ周辺の村を攻めているが抵抗が激しい。

 何か異常なことが起きている。

 そう考えてみたものの原因が分からない。

 ヨシマが一向に落ちないので救援を求めて、都の南の反乱勢と連絡を取り合ったが、彼らはこのままクシビキ村方面へ攻めると言って断られた。

 ミナトと連絡が取れなくなったことでいらついていたのだろう、都の南の村々の代表者たちの何人かを盾の力で吹き飛ばして力づくで従わせた。

 頭数が足りなかったので根こそぎ動員をかけた。そうしないと勝てないと思ったのだ。

 ヨシマの前にあるナナサト村が邪魔だったので、盾の力で従わせた。うわさによるとヨシマと仲が悪いそうなので、戦力に加えようとしたが、村長が反乱勢を素通しするが協力してくれなかったので、ヨシマを攻め落とした後、この村を略奪の対象にしようと思った。

 奴らをヨシマにぶつけたがなかなか攻め落とせない。それどころか故郷に帰ろうとする始末。

 俺は怒ってヨシマ村へ全力で駆けた。

 邪魔な使えない者たちを跳ね飛ばし、環濠を跳び越え、柵をぶち破りヨシマ村内に突入した。

 俺は普段は裏方へ回り、ミナトを支えようとしていたが、彼と連絡がとれなくなって心のたがが外れたらしい。

 やぐらを倒し、人を跳ね飛ばし、俺を見てるだけの反乱勢にヨシマを攻めるよう命令し、反抗した奴らを吹き飛ばした。

 どさくさに紛れて石をぶつけようとした奴をき殺そうと襲い掛かったが、ふざけた動きでかわされた。

 応援に来た奴らも目障めざわりだったので跳ね飛ばそうとした。

 そこで突然服が燃え上がり、何故か首が傾き、バランスを崩して、腹にまるで鉄球で殴られたような痛みと衝撃が走り、無様ぶざまに地面を転がった。

 体中が痛い。訳が分からない。何が起きた。

 良く分からないが何かに対処しなければ。

 こんなふざけたことをした奴は誰だ。こんなことをした……。

 頭に何か強い衝撃しょうげきを受けたような気がする。視界が真っ暗になった。

 意識が薄れていく。

 ……そもそも、俺は、何をしたかったのだろう。

 俺は……。

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