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一から始める日本創生  作者: 塚山 泰乃(旧名:なまけもの)
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強襲

 反乱勢は沼を挟んで南北の二つの集団に分かれていた。沼の東側にあった村々は既に襲われた後らしく、あちこちに家屋が燃やされた跡が見える。

 俺たちは先に南の集団を攻めることにした。

 とにかく速度が優先である。撃破した後、北の集団に襲い掛かる方針だ。


「偵察隊より報告! 敵がこちらに気付いた模様!」

かまうか! 集団に向けて遠投とおなげ用意!」


 ブヤの命令に各自麻布と石を取り出す。

 南の集団が俺たちに向かって態勢を整えてる間に、できるだけ接近する。そして、あと百mくらいに近づいた所で俺たちは横隊に陣形を変え、石を投げ始める。

 いきなり背後から現れた俺たちに驚いた敵は困惑し、それでも応戦の構えを見せたが、そこにサイコキネシスで誘導された石がそそいだ。

 皆が練習したかいもあって、石は十分に飛び、大半が相手に直撃する。

 やはり七十個あまりの石一つ一つを制御するのはまだまだなんがあるか。もっと数をこなせばいけそうな気がする。


「うおお、当たった!」

「今日は調子が良いな!」

「次だ、らえ! ……良しっ!」


 うう、喜んでくれるのは嬉しいけど、何か複雑ふくざつな気分。

 俺がこの部隊にいない間だけ命中率ががくんと下がるから、心配なんだよね。俺がいなくても大丈夫なくらい鍛えるべきだな。

 兵たちは嬉々として次から次へと石を投げる。

 敵は混乱状態だ。

 こちらへ向けて対応しようとした者たちはほとんどが倒され、向いていない者たちへも被害が続出している。


「石を投げつくした! 誰か他に持っている奴いないか!?」

「俺、もう無い!」

「俺もこれで仕舞しまいだっ!」


 兵たちが自己申告し、偵察隊が観測結果を言う。


「申し上げます! 反乱勢は半分以上が地に倒れました!」

「良し、全体、突撃に移れ!」


 ブヤの言葉に俺たち小隊長が号令をかける。


「突撃!」

「突撃しろ!」

「突撃ぃい!」

『おおおおおっ!』


 全員、槍に持ち替え駆け出す。俺だけは弓矢で攻撃しながら前進する。

 人数は百人にも満たないが、敵はそう受け取らなかったらしい。全員ではないが、あわてふためいて、てんでばらばらの方角へと逃げ出している。

 北側は沼だが、逃げ出した者たちはそれに構わず水の中へ跳び込んでいく。

 俺はそちらを無視して、南側へ逃げた者たちを優先的に矢で射る。水の中は移動速度が鈍るから後回しにしてもいいが、南側は川を渡られてしまうと追いかけるのが難しくなる。

 三本同時に放たれた矢はそれぞれ相手の頭に突き立った。

 南側に逃れようとした者たちは、先頭にいた者から次々と射殺されるのを見て足を止めた。逃げられないと悟ったらしい。ある者は半狂乱となってこちら側に突進を始め、ある者は武器を捨ててその場にしゃがんでうずくまる。

 南側はもう良いだろう。

 俺は半分以下になった矢を温存おんぞんすることに決め、槍に持ち替えた。

 既に兵たちは敵を蹂躙じゅうりんしにかかっていた。


「ひいいっ」

「降参します、降参します!」

「もう嫌だ! 俺は村に帰る!」


 俺たちと相対そうたいした敵はほぼ戦意せんい喪失そうしつしていた。

 逆を言えば、相対しなかった連中は地元の村人たちとほこを交えており、未だ戦意せんい旺盛おうせいだ。


「おい、お前ら、どこへ行く!? 戻れ、戻れえ!」


 先ほどから逃げる反乱勢に命令している男がいる。

 こいつがこの集団を統率とうそつしているのだろうか?

 ならばと弓に持ち替えて矢を一本つがえ、逃げられないように足を射抜いた。


「あの男を捕らえろ! 後で訊きたいことがある!」

「はっ!」


 戦いは一方的に進み、遂に村人たちと争う敵を挟み撃ちにした。


「大人しく降参しろ! 残っているのはお前たちだけだ!」


 モズの言葉に武器を捨て言う通りにする者が大半で、最後まで抵抗して討ち取られる者はごくわずかであった。


「落ちている石を回収しとけ! またすぐに使うぞ!」


 俺の発言に手の空いている兵は慌てて敵が倒れているそばに落ちている石を集め始める。

 飛び道具が絶大ぜつだい威力いりょくを発揮したが、それも弾があってこそだ。


「助けが来たのか?」

「けど、都とは逆の方からだぞ?」

「どういうことだ?」


 地元の村人たちがざわめいている。

 一応、敵意はないことをしめしておこうかな。

 弓を背負い直して彼らに近づく。


「やあ、皆、久しぶり」

「……あれ、カゼじゃないか?」

「そうだ、カゼだ」

「どうしたんだ、確か西の国へ行ったんじゃなかったのか?」


 良く知った顔が見れたのだろう、彼らは俺の所に集まってくる。その中にはヨシマに住んでいる人の顔も見えた。


「西の国に行く途中で、ミマツで反乱が起きたという知らせを受けて、戻って来たんだ」

「そうだったのかあ。ありがとうよ」

「というか、その顔の傷、どうしたんだ?」

「痛そうだな」


 皆に心配されて俺は顔の傷を撫でながら答える。


「向こうで手練てだれの賊がいてね、その時に付けられたんだ」

「へえ、お前ほどの者がねえ……」

「それで、どうなったんだ?」

「ぼろぼろになっちゃったけど、なんとか勝ったよ。ところで、ヨシマは無事?」


 俺の心配を余所よそに同郷の仲間たちはにかっと笑う。


「おお、平気平気」

「隣村に手伝いに行くくらい、余裕があるぞ」

「だろうね。……ナナサト村は?」


 仲の悪い隣村の様子を訊くと、男たちは苦笑いで答える。


「相変わらずだな」

「まあ、この忙しい時期にちょっかいかけて来ないのは楽で良いが」

「反乱勢ごとまとめて潰す機会だったんだがな」

「こらこら」


 少々ふざけた者もいたので注意する。


「実はさ、西の国へ行く途中でナナサト村の人間と仲が良くなったんだ。友達と言えるかどうか分からないんだけど、正直敵対したくないんだよね」

「何だ、情でもいたのか?」

「そういうわけでもないんだけど、この機会に村ごと仲良くやっていけないかな、と思って」

「んー、どうだろうな」

「そいつの村での立ち位置にもよると思うんだが、どうなんだ?」


 その問いに俺は答えにまった。

 そういえば、セリの事全然知らない。

 そんな俺を見て、男たちは苦笑した。


「お前、また相手の事情に深入りするから駄目だって思って、訊かなかったんだろ?」

「うっ」


 図星である。

 どうも普段から、相手の込み入った事情に触れるのは良くないと考えてるので、なるべくこちらから質問しないようにしているのだが。


「まあ、まだ若いんだ。後で知れば良いさ」


 その後、俺は男たちと二言三言交わして別れた。

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