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一から始める日本創生  作者: 塚山 泰乃(旧名:なまけもの)
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加勢

 ヤタニ村へ行く途中、一晩野営してから村に近づくことになったが、森の向こうから灰色のけむりが幾つも立ち上っているのが見えた。


「奴ら、村へ侵入しんにゅうしてやがるぞ!」


 遅かったか? いや、まだ陥落かんらくしたわけじゃないと信じたい。

 はやる気持ちを抑えつつ、皆と歩調ほちょうを合わせて進む。

 森を抜けるとヤタニ村が見えた。村の一部が燃えているようだ。

 間に合うか?

 収穫しゅうかくがほぼ終わった田んぼの中の道を通り、村の入り口近くまであと三百mといった所で向こうから鎧を着た兵が二人駆けてくるのが見えた。

 二人は俺たちに近づくと声を上げる。


「止まれ、止まれ!」

貴方あなたたちは何者か!」

「ヤタニ村を助けに来た! 伝令を出しておいたはずだが!」


 一番先頭にいた偵察隊のセリが返事をすると、二人は呼吸を整えながら安堵した表情で言う。


「おお、では伝令の話は本当だったのか!」

「こちらです、来て下さい!」

「村の様子はどうなんだ!?」


 案内しようとする二人にセリが問いかける。


「危ないところですが、まだ落ちていません! 手を貸して下さい!」

「分かった! 皆、行くぞ! 突撃ぃぃいいい!」


 セリが案内役を追い抜いて、というか偵察隊員たちすら置き去りにして駆け出す。


「おい、ちょっと待て!」

「置いていくな!」

「あの馬鹿、何考えてんだ?」


 皆があきれる中、俺は苦笑した。


一刻いっこくも早く村人たちを助けたいんでしょ。熱いなあ」


 何かまぶしいものを見た気がする。

 良いよね、精神的に若いって。向こう見ずで、無鉄砲で、臆病さが無くて。俺じゃあ無理かなあ。

 セリの後をえっちらおっちら追いかけて、柵で囲まれた村の入り口を通り抜けると、炎上している家屋があちらこちらにあった。

 その周囲で争っている者たちがいる。その向こうで逃げ遅れたのだろう、倒れ伏す村人たちの姿が見えた。

 どちらが反乱勢だかヤタニ村の人なんだか、着ている服装で判断する他ないが、どちらも似たような武装をしているので分かりづらい、というのが正直な感想だ。

 どちらに加勢すれば良いのか少し迷っていると、集団で駆けつけてきた俺たちを見て、一方が声を上げた。


新手あらてだ! 野郎ども、食料は目の前だ! ん張れよ!」


 はい、敵認定てきにんてい

 区別する時間を端折はしょってくれて助かった。

 俺たちはそれぞれの反乱勢、野盗やとう呼びで良いか? そいつらに斬りかかる。

 説得と言う手段はもはや無い。これだけの人の命を奪い、家屋に放火した罪だけで、平時でも死罪にあたいするからだ。


「加勢するぞ!」


 そう叫びながら、俺の突いた槍は狙いあやまたず野盗の喉を貫く。

 そいつの後ろにいた四人も防御する間もなく、立て続けに喉を突き刺されて崩れ落ちた。


「助かった」


 俺の後ろでついさっきまで剣劇を繰り広げていたヤタニの兵が息をつく。


「少し休んでいて下さい。俺たちが押し返すので!」

「あ、ああ。……子供?」


 うわ、ちょっと気にしていることを言うな。

 そんな下らないことを思いながら、野盗の包囲の一部分に穴を開け、その周囲で交戦中の味方を援護するべく、横合いから野盗に突きを入れて穴を広げる。


「こ、こいつっ、やたらとつええぞ!?」


 俺の手伝いで手の空いた兵がまた隣の兵に加勢して、と繰り返して、小さな穴は大きな穴へと拡大していった。


「やべえ! 退け、退けえ!」


 目端めはしく野盗がいたのだろう、背中を向けて逃げ出すと、それを追うように他の野盗も逃げ始めた。


「ち、畜生っ」

「覚えてろよ!」


 下っ端だろうか、月並みな捨て台詞ぜりふを吐いて逃げる。

 そんな奴らにセリが芝居しばいがかった口調で話し出す。


「やいやい! 覚えておけ! 俺たちはミマツの国の中でも最強の部隊だ! 俺らがいる限りここを落とさせねえぞ!」


 それを見ていた部下が呆れた声で俺に話しかける。


「あー、いいんですかい? 逃がしちまって。それと、あんなこと言ってやすが」

「とりあえず、反乱勢に俺たちの存在を知らせるための言動げんどうなんだから、大目に見てやって。……後は、奴らが俺たちにどう対応するかちょっと様子見だな」


 俺は苦笑しながらそう答えた。


「賊は退いたぞ! 今のうちに負傷者を集めて手当てを! 手すきの者は破られた門の修復を急げ!」


 この村の隊長格だろう兵が部下に指示を出している。

 俺たちは後から到着したモズに呼ばれて集合する。


「で、敵の様子はどうだった?」

「手ごたえを感じませんでした。何と言うか、弱すぎて拍子抜ひょうしぬけしました」

「いや、カゼから見たらそうなんだろうけどよ、俺からしたらそこそこ強かったと思うぞ?」


 モズの問いかけに俺は素直に感想を述べたのだが、セリに突っ込みを入れられた。

 ううん、判断基準がヨシマ村の面々と比べてだから、そうなるのかな。外部の若者たちの訓練にも付き合わないといけないのかもしれない。


「あと、ここにいた反乱勢の数がやけに少なかったのですが、何か考えられますか?」

「今、この村に着いたばかりで良く分からないんだけど、様子見か捨てごまか、どちらなんだろうね」


 俺の疑問にモズが予想を述べ、セリが彼に報告する。


「モズ隊長、一応、奴らに俺たちがここにいることを盛大に言ってやったぜ」

上出来じょうできだ。とにかく目的地に着いたから、一旦、反乱勢がどう出るのか様子を見るとしようか」


 モズはそう言うと、全員に指示を出す。


「歩き疲れたんじゃないかな? カゼ隊とセリ隊は休憩きゅうけいするように。そのかん、タナソ隊とコウ隊が交代で警備けいび迎撃げいげきに当たることにして、休憩が終わったら今度はカゼとセリたちが警備を、タナソとコウたちが休憩すること。僕はヤタニ村の村長と会ってくる。僕がいない間はブヤが指揮を執るように」

『はっ』


 モズの言葉に俺たちはありがたくしたがうことにした。

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