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一から始める日本創生  作者: 塚山 泰乃(旧名:なまけもの)
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経緯

 町に到着し、休む間もなく埋葬の手伝いをする仲間たちに任せ、ナガル王子を先頭にヨヘイと俺、年長者のサヘエ他、各村などの有力者数人が環濠を渡り中に入る。

 当初、俺は埋葬まいそうの手伝いをしようとしたが、ナガルについてくるよう命令された。


「こちらです、ついてきて下さい。この町の代表者と面会してほしいのです」

「分かった」


 ナガルの服装からこの中で一番身分が高いと判断したのだろう、案内役の兵士が彼に声をかけて歩き出す。

 ……交渉の場では便利だけど、戦場だと真っ先に狙われやすそうな姿だよな。後で着替えるよう進言しておくか。

 俺は兵士の言葉を聞いて、なまりはあるものの会話に問題ないと判断した。

 向こうからすれば俺たちの方が田舎者になるのだろうか。などと考えつつ町の様子をうかがう。

 町の中は槍を中心に、武器を持った兵士がそこかしこにいたが、怪我をしたのか包帯を巻いた者が目立つ。

 町の中心に近づくと焼かれた家がちらほら見える。


「今現在の状況はどうなってるんだ?」

「……かんばしくありません。兵の半数が怪我をし、戦えるのが怪我人含めて六割くらいです」

「この町、結構な規模だから兵士も多くいるはずだろう。防衛は楽じゃなかったのか?」

「私たちにも西の国から救援の要請が来て、手練てだれの者たちが出払ってしまいまして」


 サヘエが案内役に声をかけるとそんな答えが返ってきた。

 今度は俺が話しかける。


「じゃあ、さっきの環濠にあった死体は?」

「ここまで奴らが来るわけがないと皆が思っていたところに、海から船でやってきまして。商船だと思っていたら、中から出てきたのが……」

「どのくらいの数の船で来たの?」

「十隻以上はありましたね」


 その返答にサヘエ他数人が話し出す。


「船か」

「厄介だな」

「いざとなれば逃げられちまうぞ」

「どうにかして奴らを船から引き離す必要があるな」

「なあ、まだその船、この町にいるのか?」

「います。略奪した食料でうたげを開いて、女たちをなぐさみ者に……」


 案内役が周囲と比べて少し大きな建物の前で足を止め、歩哨に立っていた兵士二名に声をかける。


「東の国から救援が来た。代表者と顔合わせがしたい。通してくれるか?」

「分かった、通って良し」


 少し薄暗い住居の中を移動し、囲炉裏の前で少し上等な服を着ている老人が座っているところまで案内された。


「失礼します。東にある国から救援が来ました。主だった者たちを案内しました」

「ご苦労、脇にひかえておれ」

「はっ」

「ワシはこの港町、カダの町長をしているサミタと申す。そちらの代表はどなたかの?」

「これは失礼を。東のミマツの国の王ナギの第五王子のナガルと申します」

「ほう、かなり遠くからいらしたようじゃのう。まあ、皆様お座りになって下さい」


 俺たちはサミタを対面に囲炉裏を挟んで、ナガルを前にして座る。


「我が国をご存じでしたか?」

「外国からこの港に陸揚げされた商品の一部が、ナガル殿の国に運ばれているからの」

「なるほど」


 サミタが咳払せきばらいすると居ずまいを正す。


「……さて、遠路はるばるお越し下さった皆様に、歓迎の宴を開きたいところなのじゃが、見ての通り切迫せっぱくした事態に陥っておる。四日前、奴らが商船をよそおって港に上陸、周囲にいた者たちに襲い掛かってきおった。運悪くこの町の兵も西の国へ出払っておってな、あまり訓練していない者たちだけで抵抗したんじゃが、押されて町半分を奴らに盗られてしもうた。取り返そうにも、皆怖気づいてどうしようもない。ワシがもっと若ければなあ……」

「分かりました。我々は奴らを打ち払うために来ました。微力びりょくながら加勢いたしましょう」

「おお、すまぬ。かたじけない」


 サミタが腰を折って頭を下げる。


「ついては、敵の情報を知りたい。奴らの数と武装はどのようなものなのか教えて欲しい」

「数は二百ほどじゃろうか? 武器は弓、槍、剣、盾があったと聞いておる。あと、奴ら人を殺すのにためらいがない。殺し慣れておるな、あれは」

「そうですか。敵は現在もこの町にいるとそこの者から聞いておりますが?」


 サミタが控えていた兵に顔を向けると、兵がうなずく。


「その通り。食い物と酒と女を手に入れて飲めや歌えやと騒いでおるよ」

「……随分と余裕ですね」

「こちらの戦う力と士気を見抜かれておる」

「あるいは、酒と女に目がくらんだ兵の不満を抑えるためにあえてやっているのか」

「どちらにしろ、舐められておるの。……とは言え、宴を開いてる周囲で警戒のためか見張りがおるようじゃが」

「敵もそこまで愚かではない、と」

「……ところで、ナガル殿たちは幾人でここを訪れたのですかな?」

「二百です、きちんと戦の訓練を受けた者たちで構成されております」

「それは心強い。ならば奴らを追い払うのも容易でしょうな」

「いえ、追い払うことはいたしません。皆殺しにします」


 サミタが目を見開く。


「ふむ。攻めるのはナガル殿たちが主になる故、采配さいはいゆだねるが、そちらの被害も大きくなりはせぬか?」

「ご心配痛み入りますが、我が国の精鋭たちですので大丈夫。待っていて下さい」


 とは言うものの、国中から集めたは良いが、連携のための訓練は行ってないんだよね。いざという時、バラバラに行動しそうで困るかもしれない。


「……重ね重ねお頼み申す」


 サミタと控えていた兵が深くお辞儀した。


「さて、どのようにして町を取り返すかについてですが、まずはそちらの兵の代表者を集めて頂きたい。共同で事に当たりたいのです。数が多ければ多いほどやりやすくなります」

「先ほども申したが、あまり力にはなれんぞ?」

「いえ、単なる壁となって奴らの逃げ道をふさいでくれれば良いのです。他は我々がやります」

「分かった。ミズキ、主だった者を呼んで参れ」

「はっ」


 脇に控えていたミズキという兵が外へ出て行った。

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