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一から始める日本創生  作者: 塚山 泰乃(旧名:なまけもの)
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出陣式

 王の住居に入るときに預けてあった槍を受けとると、サヘエたちのいる外へ向かおうとすると王に止められた。


「待て、その槍で西に行くつもりか?」

「これですか?」


 穂先は黒曜(こくよう)石を加工したものを取り付けてある手製の槍だ。ただの石だと思ってはいけない。黒曜石は前世で鉄に勝るとも劣らない貫通力を持っていると聞いたことがあるからだ。


「お前ほどの腕の持ち主だと銅の槍が良いと思うが」

「……せっかく自前で用意したのに使わずじまいというのもどうですかね」

「そう言うのであればとやかく言わん」


 そういえば、武術大会に参加して優勝していたら、賞品として(もら)おうと考えていたことがあった。


「その代わり、青銅の剣があれば欲しいのですが」

「青銅は貴重だから祭器(さいき)にしか使ってないぞ。銅の剣ならあるが」

「なら、それを頂けませんか」

「良いだろう。……この少年に合う手頃なものを持ってくるように」


 王は側に控えていた兵に剣を持ってくるよう命令する。兵は軽く礼をすると俺たちから離れていく。


「できれば歓迎の宴を開きたいところではあるのだが、時期がそうもいかなくてな」

「故郷の皆を待たせるわけにはいきませんので、気にしないで下さい」

「助かる」


 戻ってきた兵に剣と(さや)(おび)を受け取った。鉄ではないとはいえ、金属製なので少々重いそれを鞘に収め、腰に巻いた帯に差す。


「それではまた、出発のときに会いましょう」

「ありがとうございました」


 王やゴサクたちに礼をして都の外に出る。日が大分(だいぶ)傾いていた。暗くなる前にサヘエたちを探さなければと思っていると、門の外にサヘエが待っていてくれた。


「来たか」

「お待たせしました。皆はどこに?」

「こっちだ」


 故郷の仲間たちは適当な空き地で野営の準備をしていた。


「お、戻ってきたな」

「どうだった、中の様子は?」


 口々に声をかけられる。活気のある市場(いちば)を見たとか、王様に会ったなどと説明する。


「言葉が通じないのか。そりゃ大変だな」

「通訳がいてくれるなら安心だ」

「王子様も来てくれるんだって? この旅も安泰(あんたい)ってもんだ」

「なかなかに強いってんなら俺も手合わせしたいねえ」


 夕食ではそんな会話で盛り上がった。


 三日後、都の外周にかなりの人数が集まった。ざっと二百はいるだろうか。前世の軍隊で言えば中隊規模になる。皆、精悍(せいかん)な顔ぶれだ。

 俺を見るたび、からかわれるどころか心配される光景は慣れたが(いささ)辟易(へきえき)してきた。

 そこに門番がやって来た。王がお出ましになるという。いよいよ出陣(しゅつじん)式らしい。


「皆、よく来てくれた。礼を言う。知っての通り、西の国から救援要請が届いた。海の向こうの国は戦で麻のごとく乱れており、難を逃れた流民が海を渡り、西の国に流れ着いている。そこでは、行き場を失った流民が食糧を求めて野盗に身をやつしていると聞く。中には住民の衣服を剥ぎ取り、住居まで奪う有り様だと」


 皆は黙って王の話に耳を傾ける。


「我々は同胞(どうほう)を救うために西に向かう。俺はここを離れることができないので代わりに息子、王子の一人を(つか)いに出す。以後、王子をこの部隊の長として(あお)ぐように」


 王の脇からナガルが進み出た。


「流民はどのように対処するかだが、追い出すのは簡単だ。だが、彼らは海の向こうに住んでいた人間だ。戻りたがらない者が大勢いるだろう。その中には我々にない進んだ技術を持っている者がいるかもしれない。その場合には衣食住を与え、代わりに技術を教えてもらうつもりだ」


 皆がざわつく。

 王が手を挙げて制する。


「もし、何の技術も持たず、狩りをせず、農耕をせず、ただ人から奪うだけの者たちは殺しても構わない。いや、追い出すとまたどこかで何かを奪うだろう」


 王が一呼吸おいて言った。


「だから、決して逃がさず、殺せ。……以上だ」

皆様読者様にお知らせがあります。

作品の完成度を上げるため、資料を読み込みたいのでしばらく投稿をひかえます。

申し訳ありません。

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