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一から始める日本創生  作者: 塚山 泰乃(旧名:なまけもの)
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三者三様

 訓練場は王の執務室から近い場所にあった。


「ナギ様、訓練のときの掛け声で五月蝿くないですか?」

「いや、気にしたことはないが?」


 執務に差し障りがあるのではないかと心配したが杞憂だったようだ。案外、王様は脳筋なのかもしれない。


「それよりも早くやろう」


 ナガルに急かされ、互いに鎧を身につけると、訓練用の槍を構えて対峙(たいじ)した。


「それでは、始め!」


 開始と同時にナガルは俺の顔面目掛けて鋭い突きを放ってきた。体をずらしてかわす。寸止め無しだった。今のは訓練された一般の兵士では避けきれなかったぞ。相当修行しているな。

 反撃の突きを加減して彼の腹に見舞ってやる。彼は体を斜め前方にずらしてかわすと、そのまま槍で腹狙いで横殴りしてきた。槍の柄で受け、石突で彼の顔面に打撃を喰らわせようとすると一歩後方に退いてかわす。


「やりますね」

「ぬかせ。本気を出してないだろう、お前」


 称賛(しょうさん)したのに怒られた。


「では、ちょっと本気を出しますね」


 言って一呼吸おいてから顔面に突き込む。彼は柄で受けてかわそうとするが避けきれず、穂先が(ほお)(かす)めた。反撃に向こうも突きを放とうとする。


「遅い」


 既に引いていた槍で二回目の突きを放った。姿勢が崩れかけた状態での回避は間に合わず、彼の喉元にぴたりと穂先が止まる。


「勝負あり!」


 王の合図に槍を下ろす。彼は目を閉じると大きく息を吐いて槍を下ろした。


「今のでも本気じゃないのか?」


 彼の信じられないという驚愕に苦笑する。


「ええ、でも一撃で決めるつもりだったんですよ。強いですね」

「時間がとれれば鍛練をしているのに、この結果か。末恐ろしいな……」


 強いと誉めたのは嘘じゃない。ヨシマの村の男たちでも彼の域まで達しているのはそういない。その若さならまだまだ伸びるだろう。

 彼の呻くような声に問いかける。


「もう一度やりますか?」

「やる。というか本気が見たい」

「……分かりました」


 互いに槍を構え直す。


「始め!」


 王の号令に動き出したのは王子からだった。

 彼のすくい上げるような突きをかわし、石突で横打撃からの縦回転で穂先を振り下ろす。俺の攻撃を二度も防いだが姿勢が崩れる。彼は堪らず後方へ大きく下がるが逃がさない。滑るように前進しながら突きを放つ。


「っ!」


 攻撃を受け損ねて、彼はもんどりうって倒れた。


「そこまで!」


 王の言葉に槍を肩にかけながら王子に近づく。


「……大丈夫ですか?」

「平気だ」


 彼は腹をおさえながらむくりと起き上がる。

 意外と頑丈にできているようだ。


「まだやりますか?」

「いや、十分だ。俺の身が持たん」


 やっぱり痛かったらしい。(あざ)ができてなければいいけど。


「どうだ、俺の息子は?」

「……私の育った村にいたナガル王子と同年代の人たちに比べて強いですね」

「そうか」


 腕組みをしながら問いかけてきた王に正直に答えることにした。お世辞を言ってもためにならないだろう。


「大人たちを相手にしてもそうそう負けることはないでしょう」

「うむ」

「ですが、二人以上同時だと途端に厳しくなるでしょう」

「……」

「失礼ですが、多対一の訓練はしていますか?」

「あー、どうなんだ、そこの所?」


 多分、王は執務で忙しいので、部下からの報告のみで息子の様子はあまり見ていないのだろう。


「したことないな……」


 王子が首を横に振ったことで方針は決まった。

 彼が旅に同行する以上、総大将は確定だろう。ならば些細(ささい)なことで失われるわけにはいかない。


「西の国へ行っている間はなるべく単独にならないよう、部下と付かず離れずを心がけて下さい」

「分かった」

「逸って一人だけで前に出てもいけません」

「ああ」

「不満そうな態度ですが、そこは辛抱(しんぼう)してもらえませんか。貴方を支える部下の心労を考えて下さい」

「……善処しよう」


 不安だ。まあ、今はこれで良しとしておこう。


「それで、ヨヘイの方はどのくらいの強さなんですか?」

「できません」

「ん?」

「武器を扱ったことがありません」


 いや、胸を張って自慢することではないだろう。


「私の息子は勉学に励む一方、武術はからきしでして」

「それはまた……。貴方は基本後方で待機ですね」


 ゴサクの補足説明で納得した。

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