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一から始める日本創生  作者: 塚山 泰乃(旧名:なまけもの)
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同行者

あらすじの方を書き直したいと思う今日この頃。

 茶を入れ直して三人で語り合う。


「あとな、通訳も連れて行ってもらう」

「流民との交渉ですね」


 日本の外から来ているから必要なのだろう。うまく交渉できれば良いな。


「それもありますが、西の国の民との話し合いもありますから」

「西の国でも通訳が必要なんですか?」


 ゴサクの補足に疑問符を浮かべる。


「必要だとも。基本的に文字なら分かるが、言葉はあまり通じないぞ」

「『はい』という肯定が『いいえ』という否定を意味する言葉かもしれませんよ?」

「そこまでですか……」


 方言(ほうげん)という地方を指すものだろうか。

 いや、そもそもこの国が関東地方に位置するから、今現在は海外の進んだ技術をやり取りしている西の国が先進国になるのだろうか。

 そんな話をしていると、誰かがやって来た。見れば二人。年の頃は一人が十代半ば、もう一人が十代後半くらいの若者だ。二人とも片膝をついて(かしこ)まる。


「何でしょうか、王よ」

「ナガル、今は格式張った話じゃないから固い態度はよせ」


 年上の少年が発した言葉に王が苦笑する。


「では父上」

「おう、それで良い。以前話していた奴を紹介する。こいつだ、カゼと言う」

「ヨヘイといいます。今回の遠征で通訳をつとめさせて頂きます。以後宜しくお願いします」

「ナガルという。以後宜しく」


 二人の挨拶(あいさつ)にこちらも頭を下げる。


「……父上、話には聞いていたのですが、少し幼すぎませんか?」


 ナガルの発言に、今回の派遣で大丈夫なのかという態度がありありと浮き出ている。まあ、気持ちは分からなくもない。

 ヨヘイは顔に出さないので分からない。だけど目が疑っているように見える。


「俺も正直そう思うが、部下が訓練の様子をこの目で見たと力説するものでな」

「でしたら、一度、カゼ殿と立ち会ってみてはどうでしょうか?」


 王の言葉にゴサクが話を振った。


「私がナガル殿と?」

「そうです」

「良い機会だ。一度、互いの実力を比べてみろ」


 王の煽りを受けてナガルがすっくと立ち上がる。


「いいでしょう。では早速(さっそく)

「ああ、待て待て。話し合いが済んでからにしろ。とりあえず輪に加われ」


 王は(はや)るナガルを留めた。

 ゴサクの対面に位置する場所に二人が座る。


「それで、ヨヘイさんという通訳を連れていくという話でしたが」

「若いが、こう見えて西の国の行商との取引をこなしているぞ」

「そうなんですか。助かります」


 何事も経験がものを言うから年上を想像していたが、ほぼ同年代というのは接しやすい。


「ということは、ナガル殿は?」

「見聞を広めるため、旅をしてきてもらう。端的に言えば、この際、西の国と交流を深めたい」

「王子としての立場で行けば、向こうも邪険(じゃけん)には扱えないでしょう」


 よく考えれば、現地に着いたら散々こき使われて終わり、なんていうこともありえる。それなりの身分の者がいれば外交問題にもなりにくいのだろう。

 そういえば、この国はどんな形をしているのだろうか。


「あの、申し上げにくいのですが、この国はどこにあって、西の国がどこにあるか分かるものってありますか?」


 俺の言葉に王が席を立ち、棚から(たた)まれた布を取り出すと皆の中心でそれを広げた。


「これは?」

「地図という」


 二千年代初頭の日本地図と比べ、大雑把(おおざっぱ)な作りをしていた。九州や四国はほぼ楕円形(だえんけい)だ。北海道は函館から北が真っ白だ。恐らく未踏(みとう)地帯なんだろう。


「ここが西の国です」


 ゴサクが北九州辺りを指して言った。


「そして我が国はこの辺りです」


 関東地方、特に武蔵国(むさしのくに)の北側の部分を指先で円を描く。さすがに地元なだけあって、少し細かく描写されている。


「ちなみに流民が来て騒動が起きている地域は……この辺一帯です」


 ゴサクが指したのは九州北部沿岸から中国地方北部沿岸、鳥取県の辺りまでだった。


「……広すぎますね」

「基本的にはナガル一行は東海道を西進し、琵琶湖を北上、山陰道を沿岸部に沿って西進しつつ、被害のあった地域を通過しながら、西の国に向かってもらうことになる。無論、行く先々で狼藉(ろうぜき)を働く流民がいた場合、その都度鎮圧してもらう」


 俺の素直な感想に、王が頷きつつ西の国へ行くまでの道程(みちのり)を解説した。


「良い忘れたが、持っていく食糧が底をついた場合、現地で調達してもらうことになる」

「略奪は御免ですよ」

「それはどうしようもなくなったときの最終手段としてとっておけ」


 流民の略奪と同じことしたら住民感情が悪化しかねない。できれば避けておきたいところだ。


「基本、野山で狩りをし、獲物を食いつなぎながらの移動となります。これにより、持っていく食糧の消耗を抑えることができます」

「狩りに馴れているものも連れてきているので心配することはないでしょう」


 大体の方針がまとまったところでお開きになった。


「さて、そろそろ訓練場へ行くか」

「分かりました」


 ナガル王子が席を立ち、俺も彼に続く。背後を見ると、王やゴサク、ヨヘイまでついてきた。見学するつもりらしい。

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