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一から始める日本創生  作者: 塚山 泰乃(旧名:なまけもの)
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判決

「ゴサク、聞きたいことがある」

「何だい?」

「どうしてあいつらが犯人だと分かったの?」

「ここの村人たちから聴取しただろう? 証言で彼らが怪しいとふんだ」

「どこがおかしい? 顔か? 言葉か?」

「言葉の方だね。例えば、とある村人が何処其処(どこそこ)に行ったという」

「うん」

「それを誰が証明する?」

「証明……?」

「あの村人はどこに行ったのかを見た、と言う人さ」

「それなら分かる。あいつらを見たという人がいないんだ」

「そう、五人はそれぞれがどこにいたかを証言しても、周りにいた村人たちが説明できない」

「でも、何故すぐに捕まえなかったの?」

「それだけじゃ捕まえる理由にならないからさ。証拠が欲しかった。ほら」


ゴサクが示す先、少年たちの家の中から獣の毛皮らしきものが、彼の部下によって外に引っ張り出された。


「あれと彼女、アサによる証言だね」

「これで解決する?」

「裁判をすればね。……人の手で裁くってことさ」

「どうやるの? どうなるの?」


ゴサクは(ひげ)(いじ)りながら考える。


「この村で裁くよ。……そうだね、人一人を(あや)める。五人の成人とはいえ十代後半の少年、更正の余地を踏まえて、三十叩きが妥当かな」


前世で幼い頃、祖母とテレビで見た江戸の時代劇での拷問を思い出した。確か竹刀の先端をばらしたような物で犯罪者を叩いていた気がする。


「痛いの?」

「死ぬほど痛いし、そうでなければ罰にならない。それに」


俺の頭を撫でるゴサク。


「残された家族に(うら)まれる。まあ、彼らを自白させるのが先かな」


少年たちの自供によると、田舎(いなか)のつまらない生活に()きていたとき、たまたま通りかかった行商(ぎょうしょう)が持っていた毛皮を目にし、村人たちを驚かせるつもりで購入したという。

この時代では物々交換が基本なので、沼で()れた(なまず)をご馳走(ちそう)したそうだ。

なお、ゴサクは毛皮の購入先の行商に調査を行っており、アサを驚かせた毛皮も彼から手に入れた。


人数分を(そろ)えた彼らは迫力を持たせるために槍などで武装し、沼で(ひそ)んでいたという。そこを運悪く女衆がタニシ取りを始め、驚かせるついで、サヨちゃんを人質にとった。

女衆は(おど)して立ち去らせたものの、サヨちゃんをどう(あつか)うか話し合い、女に()えていた中心人物とその取り巻きが彼女を乱暴し、発覚を恐れたため殺害した。


「ゴサク、三十じゃ足りない」

「百叩きかなあ、これは」

「死んじゃう?」

「傷が悪化すればね」

「死んじゃえ」

「こらこら、誰も彼もそう思うかもしれないが、口にしてはいけない。今度は君が少年たちの家族から恨まれるぞ」


ゴサクは苦笑して俺を(さと)す。

彼らだって誰かに愛されて育てられたのは分かる。


「でも、それとこれとは別じゃないの?」

理屈(りくつ)では分かっても感情が許さないだろう。良く考えてから言いなさい」


翌日、村人たちが広場に集められ、少年たちの罪状(ざいじょう)を読み上げたゴサクは竹を持たせた部下に命じる。五人は半裸にされたうえ、無理矢理座らされ、身動きがとれないように腕を抱えられたあと、竹で叩かれ始めた。いち、にの掛け声とともに竹が背中に振り下ろされ、悲鳴が上がる。

サヨちゃんの遺族がそんな彼らを見て泣き出した。

加害者の家族は(うつむ)いたままだった。


一ヶ月後、背中の傷が悪化したのか、五人のうち三人が死んだ。

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