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一から始める日本創生  作者: 塚山 泰乃(旧名:なまけもの)
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捜査

 殺人事件へと切り替わり、村中(むらじゅう)が騒然となる。

 祖母によると、神隠しは神様が人を供物として所望(しょもう)し、跡形もなく消えたのならともかく、人を殺める者は人によって裁かれなければならないらしい。

 死体発見から三日後、使いに行かせた村の者が役人を(ともな)って帰ってきた。

 主だった村の人たちが集められ、逐一聴取されたと聞いた。警察の役目を(にな)っているそうで、犯人が分かれば罪に応じた罰が下されるとのこと。

 集会に参加した祖母と父の話によると、サヨちゃんが行方不明となった日の村の皆の行動を調べて回ったが、タニシ取りをしていた女衆(おんなしゅう)と家族以外、彼女に近づく者はいなかったそうである。

 また、ここ最近の彼女と問題を起こした人物もいないそうで、怨恨(えんこん)もなし。

 水の事故ではないかと言う者も当初はいたが、首に絞められたような跡が残っていたことから、その声も無くなった。

 一通り調査をして、この村には犯人はいないようだと判断された。


 役人が次に調査したのは、事件発生場所が位置的に東南の隣村に近いため、彼、あるいは彼らの関与が疑われた。

 彼女ではなく、彼。

 明らかに乱暴された跡があったという話も村の者から聞いた。確認したのは村の長老と産婆(さんば)だという。

 しかし、この捜査も空振りに終わる。

 隣村の女衆も沼地にやって来て、(よし)を刈っていたが、サヨちゃんがいた場所とは違うそうだ。村の女衆と接触したこともないという。

 事件のあった日、俺のいる村と隣村によそ者は来なかったので、外部の犯行も無し。

 では一体誰が。皆が(よわ)りはじめたころ、俺はふと思い付いた疑問を父に聞いてみることにした。


「おかあ、サヨちゃんがいなくなったとき、『神隠しにあったんじゃないか』なんて言ったのは誰なの?」

「彼女と一緒にいた女衆だよ?」

「どうして神隠しって分かったの?」

「それは……」


 母は困った顔で言いよどむ。


「何か見たんじゃないの?」

「……長老のところへ行ってくる」


 側でそれを聞いていた父がおもむろに立ち上がると、脇目も降らずに出ていった。

 長老の家で仮住まいしている役人のところへ行ったのだ。

 それから(ほど)なくして彼女らが集められ、神隠し発言について問い詰められたという。彼女たちは返答を渋っていたが、(たた)りが起きると口々に言い出した。

 役人は「何故祟りなのか」と重ねて問うと、「不吉な影を見た」だの「全身毛むくじゃらのお化けを見た」だの「五人いた」という返事があり、「これ以上は言えない」という(がん)とした態度だったそうだ。

 長老に確認をとったが、生まれてから九十年この村で生きてきたが、そんな化け物は知らないということだった。

 ちなみに、西暦二千年代初頭の日本の考古学の発掘調査で高齢者と推定される人骨が埋葬されているのが発見されているので、この年になっても生きているのは不自然ではない。

 転生前、父親に日露戦争前の日本の全国調査の一環で、田舎の農村の年代別の人口があったけど、病気にかかったら医者にもかかれず、お祈りするしかない時代に90歳以上の方が数人生きていたのが印象に残っている。

 もちろん、その年齢に達するまでに数えきれないほどの死を積み重ねているので、普通は珍しがられて、生き字引じびきということでありがたがられる。

 とにかく、これで分かったのは、サヨちゃんがそのお化けとやらと関係してるということだ。


 で。


「あのう、何でボクがここにいるの?」

「ふむ、君の父から話を聞かせてもらった。(にわか)には信じられぬが、何かまた良い知恵を思い付くのかと考えてな。しばらく私といてもらうことにした」

「分かった、おじさん」


 事件が解決するなら喜んで力になろう。


「これ! そんな態度は駄目だ。すみません、うちの息子が」

「良い。幼子にそこまでの節度を求めていない。それと、私の名はゴサクだ」

「分かった、ゴサク」


 わしわしと頭を()でられる。


「それで、早速知恵を借りたい。あのとき何が起きたのか。祟りを怖がる女衆が素直に話してくれる方法を考えてくれないか」

「良いけど、ゴサクは考えないの?」

「私は他にやることがあってね」

「そう」


 しばらく考えてみた結果をゴサクに伝える。


「ちょっと可哀想だが面白い、やってみよう」


 ゴサクに指示された一部の部下たちは村を出ていった。

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