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第99話 着地
「…………あ?」
すえた匂いで、目が覚めた。
遠く遠く、青空。
いつも、空を飛ぶダイムクルドで暮らしているからか……。たまに地上に降りると、ひどく空が遠く思える。
……地上……?
地上に、いたんだっけ?
頭の中に、ひどいもやがかかっている……。
直前のことが、上手く思い出せない。
俺は……どこで、何をしていたんだっけ……?
それにしても、臭かった。
空はこんなに綺麗なのに、匂いはこんなにも対照的だ。
身動ぎすると、背中の下で、ガサリと何かが崩れる。
自分がゴミ山に埋もれていることに、そのときようやく気が付いた。
何が……あった?
乱脈な夢の途中で、ふと我を取り戻したときのような、浮遊感。
自我の輪郭が溶けて、この青い青い空に、今にも吸い込まれてしまいそうな――
そのとき、青空を遮るように、女の子の顔が現れた。
「お兄さん、こんなところで何してるの?」