始まりは……
いつものように一人で学校から帰っていた時。
信号が変わるのを待っていた私の横から、1人の男の子が飛び出した。慌てた様子でその子を追いかける母親。鳴り響くクラクション。私は、男の子と彼を抱きしめる母親の前に飛び出して………
ーーーー…………ゃん
ーーーて……り…ちゃん
「起きて、凛ちゃん‼︎」
わっ⁉︎なんか今、耳元で叫ばれたんですけど⁉︎友達いない歴8年3ヶ月のこの私の耳元で⁉︎もしかして、友達になってくれる方が⁉︎
「うん、凛ちゃんが友達になってほしいなら友達になるから起き「本当ですか⁉︎友達になってくれるんですか⁉︎起きますからぜひぜひぜひぜひ友達にしてください‼︎‼︎」…うんわかったから落ち着こうか。はい、深呼吸〜、すー、はー、すー、はー…。大丈夫?」
「すー、はー、すー、はー…。はい、大丈夫です。あの………「あー、この背中の羽?気付いちゃった?これはね「私は迷惑かけちゃったから友達失格ですか?」…へっ?なんでさ。迷惑なんて何もしてないけど?」
なっ、なんと!この男の子はなんて寛大なんだ!見た感じ、10歳くらいで私より7歳ぐらい年下なのに、この広い心‼︎私に友達になっても良いと言ってくれて、さらに私が取り乱しても友達のままで良いと言ってくれるなんて‼︎もう、神様だね!マイ ゴッドだね!顔も神々しいくらい整ってるし!白い服を着て、背中の羽が輝いてるあたりがもう………ん?羽?
「はぁ、やっと気づいたか。言っとくけど、この羽は偽物じゃないからね。8対の羽はね、神である証なんだ。」
What?えっ、もしかしてリアル神様⁉︎
「そうそう、わかってくれた?」
「思考読んでる⁉︎えっ、本物?本当に神様っているの⁉︎」
「そりゃ、いるよ。神がいないと世界はできないからね。思考も読めるよ。神だからね。面白いよね、凛ちゃんの考えてること。口に出す言葉は無意識に選んでるのかな?」
今まで読んだことのある小説によく神様は相手の思考を読めるって書いてあったけど、本当だったんだ…。って、
「私のプライバシーは⁉︎」
「今更だね。
さて、天音 凛さん。17歳。あなたは20XX年9月25日17時39分26秒に17年3ヶ月23日の生涯を終えました。つまり、死にました。…驚かないの?」
「あー、うん。なんとなく死んだ時のこと覚えてるし、こんな感じで神様に会う小説よく読んでたからね。」
「そういえば、確かにそうだったね。じゃあ、君に転生してほしいって言ってもすぐに意味わかるかな?」
転生⁉︎
「ぜひ、お願いします!」
「そっか、良かった。
実はね、凛ちゃんが助けた男の子とお母さん、本当は死ぬはずだったんだ。だから、いろいろ予定が狂っちゃってね。凛ちゃんには、剣と魔法の世界『アンロジー』に行ってもらうことになった。」
テンプレだね。予定を狂わせてしまったことは申し訳ないけど。
「言っとくけどね、本当なら地球に転生するはずだったんだよ?でも、凛ちゃんはどうして魔法もない地球で産まれたのか不思議なくらい魂が大きいんだ。だから、仕方なくだよ。」
えっ?そんなに大きいの?
「うん。 これから行く世界でも同じ大きさの人はいないだろうね。」
嘘でしょ?
「嘘ついてどうするのさ。
まあ、『アンロジー』では魂の大きさで最終的な魔力量が変わるし、使い魔とかも魂が関係するからね。凛ちゃんが読んでいた小説でいうチートな人生になるんじゃないかな。」
…すごいね。ここは神様から能力プレゼントされたりするのかと思ってた。
「まさか、そんなことするわけ無いじゃん。一人だけなんか贔屓したら神界治安維持法に触れて処罰されちゃうよ。それに、僕は輪廻神。やろうと思えばできるけど、能力を与えるのは全能神の仕事だよ。」