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case.6/〜白雪姫〜

少しだけ屍姦など倫理的表現が厳しい表現が出てきます。ご注意ください

case.6 ~白雪姫~


「うぅ・・・」



「なんでこんなことに」


ここは深い森の中

小さな小人いえいえ、小さなおっさんたちが泣いています それも7人も。

皆大きな箱に群がり、中を覗き込み袖口を濡らしていました。



「それにしても、綺麗ぇな寝顔だべな」



「そうだな」



瞳を濡らしつつも、箱のなかにあるものに目を向けおっさんたちは笑みがこぼれます。




「もし、そこの小人よ」


そこを通りかかったのは、金色の髪が太陽に反射しキラキラと輝く青年であった。

青年は乗っていた馬から降り、小人たちのところまでやってきた。



「それは棺であろう? 誰か亡くなったのか?」



小人たちは突然現れた青年に驚き、首を目一杯に上へ向ける。

小人は130ほど、そして青年は190はあろうか。

身長差だけを見れば、小人と巨人である。



「えぇ、わたしたちの【姫】が毒のりんごを食べて死んでしまったのです」



「ほう、それは不幸に」



青年は訝しげに棺の中を覗こうとする。


「あまり見ないでやってくれ。 俺たちの白雪姫は生きているときが一番綺麗だったからな」



小人の一人が、死んだ白雪姫を思ってそう言った。



「それはすまない」


青年は覗き込むのをやめたが、少々不服そうだ。


「それと、この姫の亡骸は私が貰い受けよう」



「な、なんだって!?」


「バカ言ってんじゃねー!!」


青年の突拍子もない提案に小人たちは口ぐちに言う。

小人たちはこの提案にもちろん反対した。



「見たところ、小人おまえたちでは満足にこの姫を天に送るのは難しいであろう。

だが、私なら大きな町で大勢の人に祈られ、花を贈ることができる」



身なりのいい青年の言うことは正しい。

小人たちでは、十分に白雪姫を送れない、そう考えた小人たちは泣く泣く姫を青年に渡すことになった。




****


青年は馬にまたがり、前にうつ伏せになった白雪姫を乗せ走っていた。


「やったぞ! ついに・・・!」



青年の口から思わず笑みがこぼれる。


この青年、実はただの青年ではなくこの国の王様のこども…

そう王子!!


の一番の家来であるハンスという男であった。



王子は大の女嫌いであり、王様をはじめ城の人たちは困り果てていた。

このままでは、王子が結婚もできず、世継ぎも望めない。

そうなればこの国は瞬く間にほかの国に攻められてしまう、と。


王子を無理やり結婚させようと王様はあの手この手を尽くしたが、王子には逃げられるばかり。

そこで王様はまずは女に慣れることから始めようと、女の死体を探せとハンスに命じた。


ここで困ったのがハンス。


町に行けば王子と同じ年頃の娘が亡くなることは多くはないが少しはある。

だが教会で葬儀を行っているところに行って、王子の女嫌いを直したいから、お宅の娘さんの死体くださいなんて言・え・な・い!!


そんなことを言った日には王家に対するこの国の人の株は大暴落。

反乱にもなり兼ねない。

困り果てたハンスがとぼとぼと森の中を彷徨っていると、そこに運よく娘の死体が…というわけであった。


「これで、この国は安泰だなー。そういえば、白雪姫の顔を確認するのを忘れてたな。

まぁいいか。小人たちがあんなに綺麗、綺麗と褒めちぎっていたっ   うわわああ」



白雪姫の背中をよそ見していたハンスは、馬の手綱を誤って引いてしまい、

馬からハンスも白雪姫も落っこちてしまった。

それでも馬は立ち止まることなく、ハンスを置いて走り去ってしまった。


残されたハンスと死体(白雪姫)


「仕方ない。担いで帰るか…」


ハンスは起き上がり、転がっているうつ伏せの白雪姫を抱き起そうとすると



「ん、」



死んでいたはずの死体(白雪姫)から声が漏れた。


「え…」


「ごほごほ」



固まるハンスをよそに、死体(白雪姫)は激しい咳をしむせ始めた。

すると、白雪姫の口からリンゴの欠片がでてきた。



「助かりましたわ。 喉にリンゴが詰まって失神していたのですが、あなた様のおかげで…」



そう言った白雪姫にハンスは首をブンブンと横に必死で振る

もう彼に周りの景色なんて見えていなかった。


「いえいえ! 俺は、ただ葬式をと思っただけですから(チッ、折角見つけたのに生き返っちゃあ城に連れ帰るわけにもいかないし、ここは上手くごまかしてとんずらしよう)」



ハンスはそう考え、一歩後ずさりながら



「では、俺はこれで」



「お待ちください」



逃げようとするハンスの両腕をがっちりと掴む白雪姫。

どうやらハンスは逃げるチャンスを失ったようだ。



「これは運命です、さぁ私に目覚めの口づけを…」



「いやいや、あんたもう目覚めれるからね! キスの必要まったくないから」


そういってハンスは白雪姫の顔を見た。

ハンスはまたもや固まった。 それはもう岩のように。


一つ確認しておきますが、ここまでハンスは一度も白雪姫の顔を見ていません。



「さぁ!! 私に熱いキッスを!!!!」


ハンスは思った。



自分の目の前で目を瞑り、期待に唇を尖らせるこの女、


いや老婆は誰なんだと…





なぜこの小説には王子が出てこないでお話が終わるのでしょうか。



お粗末様でした

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