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翌土曜日 駅前

幸「おはようございます。」

悠生「えっ・・・っておい!!ごめん気付かなかった。」

幸「うふっ。」

悠生「ごめん、またせちゃったかな?」

幸「いえ、20分位しか待ってませんから大丈夫です。」

悠生「ごめん、あとでコーヒーでも奢るわ。」

幸「ありがとうございます。」

悠生「じゃあ行こうか」

幸「はい。」



悠生「どうしたの?別人みたい。」

幸「そうですか?」

悠生「うん、とってもキレイ。」

幸「やだっ悠さんたらっ。」

悠生「びっくりしちゃたよ。プチ整形したの?」

幸「してません。」ムカッ

悠生「してないのかあ、そうかそうか・・・」

幸(悠さんって・・・けっこうデリカシー無いなあ・・・)



街路樹のケヤキが日陰をつくり、涼しさを演出している。

しかし、アスファルトの照り返しで、じっとりと汗が出る。

墓苑が近いためか、墓石屋や花屋が目立つ。


20代前半ぐらいの女性が歩道にホースで水を撒いている。

その店の前だけ、涼しい空間が存在していた。

悠生「この花屋さん寄っていこうか。」

幸「そうですね。」

女性店員「いらっしゃいませ。」


悠生「徳冶郎さんってどんな花が好きかなあ?」

幸「う~ん、向日葵なんか良いんじゃないですか?」

悠生「うん、向日葵とか好きそうだよな。あと、香花でいいかな。」

幸「そうですね、香花は日持ちするし。」

悠生「これください。」

女性店員「ありがとうございます。1890円になります。」

悠生「はい、丁度ね。」

女性店員「ありがとうございました、またお越しくださいませ。」


悠生「あの信号機を左だったよな?」

幸「そうだったと思いますよ。」


市街地の中に広々とした墓苑が広がっている。

悠生「ここだけ別世界だよな。」

幸「そうですよね、都会のオアシスって感じですよね。」

悠生「広いから迷わない様に気を付けなきゃ。」

緩やかな上り坂を登っていく。

悠生「幸、この花持ってて。」

幸「えっ?」

悠生「そこの水道でバケツと桶に水入れて行くから。」

幸「了解です。」


岡井家墓所到着

悠生「徳冶郎さん、ご無沙汰していました。」

幸「出来の悪い後輩が2人来ましたよ。」

悠生「俺お墓掃除するから、花を頼むな。」

幸「了解です。」


悠生「よし、きれいになった。」

幸「花はこんな感じでいいですかね。まだ大丈夫な花もありましたから、切り戻しして残しました。」

悠生「うまいね。俺そうゆうの苦手だから、いつも左右非対称になっちゃう。」(苦笑)

幸「こう見えても、わたくし女ですのよ。」

悠生「男には見えないから大丈夫だよ。」

幸「まあ、うれしい。」


年輩女性「楽しそうね。」

悠生、幸「こんにちは。」

年輩女性「こんにちは。まあかわいらしい向日葵。ありがとうございます。」

悠生「あの、たしか・・・」

年輩女性「徳冶郎の妻の良江です。」

悠生「ご葬儀の時にご挨拶させていただきました」

良江「仁藤さんと佐倉さんでしたよね。」

悠生「はい、そうです。」

幸「出来の悪い後輩2人です。」

悠生「コラッ。」

良江「主人の葬儀の際は、大変お世話になりました。」

悠生「徳冶郎さんには、生前とてもお世話になりました。」


良江「徳冶郎が生前よく言っていました。今いる同じ部署の2人は、きっと将来会社の中心になる2人だって。」

幸「そんな事言ってたんですね。いつも叱られてたから迷惑かけていたのかなって・・・」

良江「ごめんなさいね。あの人ぶっきらぼうな表現しかできない人だから。」

幸「いえ、奥様の言葉を聞いて救われた思いです。」

悠生「私たちは徳冶郎さんから色々な事を教わり、学ぶ事が出来ました。学んだ事は、私の人生で大きな財産です。」

幸「私もです。・・・ごめんなさい、泣かないって決めてたのに・・・」


良江「主人は、あなた方と出会えて、とても幸せだったと思います。いつも、あなた方に教えるのが愉しくて、生きがいだって言っていましたもの。」

悠生「・・・そうでしたか・・・すいません・・・僕も泣かないようにって思ってたのに・・・」

良江「あなたのために泣いてくださる後輩が2人もいるなんて、やっぱりあなたは幸せ者ね。」



悠生「では、私たちはこれで。」

良江「はい、きっと主人も喜んでいます。ありがとうございました。」

悠生「いえ、では。」



来た時と同じケヤキの街路樹の道を通り、駅へと向かう。

悠生「俺、奢るから何か食べて帰ろうか。」

幸「悠さん、胸かりていいですか・・・」

悠生「えっ!」

幸が悠生の胸で泣きくずれる。

悠生「今日だけだぞ。いっぱい泣いとけ。」

幸「ずびばぜん・・・」



駅前のファミリーレストランへ到着

悠生「好きなの頼みな。」

幸「じゃあ、サーロインステーキとクリームスパゲティとシーザーサラダを。」

悠生「お~!たくさん頼むね。」

幸「泣いたらお腹空いちゃいました。」


幸「私は胸をかしてくれる優しくてかっこいい先輩の下で働けて幸せだな。」

悠生「デザートも頼んじゃいなさい。」

幸「あざっす。じゃあチョコレートパフェ追加で。」


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