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金曜日の朝
幸「おはようございます。」
悠生「おはよう。」
幸「悠さん、今日1時間ぐらい早くあがりたいんですけど。」
悠生「うん、わかった。デートか?」
幸「ええ、まあ。」
悠生「おう、そうか。」
幸「まあ、嘘なんですけどね。」
悠生「どっちだよ。」
幸「ちょっと所用がありまして・・・」
悠生「わかったよ。明日は徳冶郎さんの所に行くつもりだから、あんまり飲み過ぎるなよ。」
幸「はい。じゃあ今日はペース上げて頑張ります。」
悠生「おう、俺もペース上げるかな。」
午後7時
幸「じゃあ、すいません。少し早いですけど、お先に失礼します。」
悠生「はい、おつかれさま。明日は朝9時に駅で待ち合わせで。」
幸「了解しました。おつかれさまです。」
会社を出て商店街を歩いて行く
幸「たぶんこの辺りなんだけどな。この名刺わかりにくいな。インターネットで調べてくればよかった。」
商店街を奥へ進んで行く。
幸「あっ、あの化粧品屋の店員さんキレイだなあ。私が男だったら間違いなく惚れてるなあ。」
商店街をぬける。
幸「おっ、あのクルクル回ってるの床屋さんだよなあ。あそこかな?」
店内に入ってみる。
年輩の店員「いらっしゃいませ。」
整髪料の爽やかな香りが店内を包んでいる。
幸「すいません、予約した佐倉と言いますが・・・」
光志「おうっ、いらっしゃい。親父、先に顔剃リ頼むわ。」
奥から光志が顔を出す。まだ、他のお客さんの髪を切っているようだ。
年輩の店員「こちらへどうぞ。」
幸「あっ、はい。」
年輩の店員「光志がお世話になってます。光志の父の広志です。」
幸「どうも、佐倉幸と言います。」
光志の父「季節感のある、いいお名前ですね。」
幸「漢字は違うんですけどね。」
光志「うちの親父、毛剃りはプロ中のプロだから、寝ててもいいよ。」
幸「あっ、はい。」
光志の父「じゃあ先に剃っちゃうから、じっとしててね。」
幸「はい。」
光志の父「はい、おつかれさま。」
幸「あっどうも。」
店の奥から光志が現れた。
光志「お客様、今日はどのようになさいますか?」
幸「え~と・・・その・・・」
光志「仁藤悠生様好みのヘアースタイルで、おまかせという事でよろしいですか?」
幸「あっ、はい。」
シャキシャキ
軽快に光志が髪を切っていく。
光志「緊張しなくていいよ。」
幸「う・・・うん。」
女性「ただいまあ。あっ、いらっしゃい。」
幸「あっ!!キレイな店員さん!!!」
女性「やだ、お客さんったら。」
幸「あはっ・・・」
光志「俺の姉貴。」
幸「そうなんだ、私が男なら間違いなく惚れてるな。」
光志「そうかなあ?まあ悠生も姉貴に惚れてるけど。」
幸「なぬ!う~ん。」
光志「ライバル視しなくていいよ。姉貴は、もう結婚してるから。」
幸「なんだ、そうなのか。」
光志「本当に悠の事が好きなんだね。」
幸「えっ、まあ・・・」
光志「嬉しいよ。あいつ今まで苦労してきた奴だから、幸せにしてやってくれな。」
幸「話が飛び過ぎだから。」
光志「大丈夫、幸ちゃんはダイヤの原石だから。」
幸「そうかなあ?」
光志「疲れてるんだろ、寝てていいよ。」
幸「えっ、でも。」
光志「いいから寝てな。」
幸「うん・・・」
トントン
光志「お客様、終わりましたよ。」
幸「あっいけない本当に寝てしまった・・・なんじゃこりゃあ!!!!」
光志「気にいらなかったかなあ?」
幸「いやいやいや、光ちゃん凄いわ。自分じゃないみたいだよ。なんてお礼を言ったらいいのか。」
光志「喜んでもらえて嬉しいよ。」
幸「大満足です。正直ビビりました。」
光志「で、さっき寝てる間に姉貴と話したんだけど、姉貴、化粧品店に勤めてるから、ついでに化粧の仕方を教わっていきなよ。」
幸「迷惑じゃないかなあ?」
光志「大丈夫、姉貴さっきキレイって言われて調子に乗ってるから。」
幸「じゃあ、お願いしようかな。」
光志の姉「幸ちゃん、こちらにいらっしゃい。」
幸「はい、おねえさまあ。」




