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妹「昨日は楽しかったみたいだね。デートだったのかな?」

悠生「別にそんなんじゃねえよ。おはよ。」

妹の声で目が覚めた。


妹「別に妹に嘘つかなくてもいいよ。」

悠生「そんなんじゃないって。光志と職場の後輩と飲んでただけだよ。」

妹「別にいいけどさ。それと、もう7時30分だよ。ついでにご飯炊き忘れてるぞ。」

悠生「いけねえ!!今日お茶だけでもいいか?」

妹「別にいいけどさ、どうせならコーヒーが飲みたいな。」

悠生「わかったよ、今日だけだぞ。」

妹「ありがとう。」

悠生「そんなに怒らなくても・・・」

妹「別に怒ってないよ。」

悠生「俺、朝飯キヨスクで済ますから。じゃっ行ってくるな。」

妹「いてら。」


なんだろうこの感情・・・

兄貴がちゃんと朝作らなかったから・・・違う・・・

兄貴だけ楽しんできたから・・・違う・・・

兄貴が女の人と会ってたから・・・

何なんだろう朝から・・・



キヨスクでパンとペットボトルのお茶を買い電車に飛び乗る。

電車を降り会社までの距離を走りながら朝食を口いっぱいに頬張る。


間一髪会社へ到着

幸「おはようございます。」

悠生「おはよう。」



午前10時の休憩

いつものように、幸がコーヒーを入れてくれた。

幸「二日酔いっすか?」

悠生「いや、ただの寝坊。酒は次の日残らない体質だから。そっちは。」

幸「私もです。うちの家系は酒強い家系ですから。」

悠生「そうか。」

幸「と言いながら、親父は酒の飲みすぎで私が高校生の時にポックリ逝っちゃいましたけどね。」

悠生「そうだったのか・・・」

幸「典型的な、ろくでなしの親父ってやつです。」

悠生「そんな事ないだろ。お前を立派に育ててくれたじゃないか。」

幸「えっ!」

悠生「お前、たぶん自分が思ってるより立派だぞ。」

幸「悠さん優しいんですね。」

悠生「いや・・。」


悠生「それと悪い、今日弁当作れなかった。」

幸「気にしないでください。お昼は2人して食堂行きましょうか」

悠生「そうだな。俺、食堂ってこの会社入ってほとんど行った事ないや。」

幸「私も初めの1週間ぐらいだけです。」

幸「サプリ飲んでるからいいって言ったのに、ご飯に梅干しだけの弁当見て、次の週から悠さんが弁当作ってくれたからな。」

悠生「そうだったな。」

幸「悠さん母性の塊だからなあ。」

悠生「そうかあ?」




午後12時食堂へ

食堂の入口に社員が一斉に集まりだす。雑談している者も多く、騒がしく活気もある。

悠生「へえ、意外と安いんだね。」

幸「そうっすね。私サバの味噌煮にしよ。」

悠生「俺カレーにしよ。」

幸「この会社ってこんなにたくさん従業員いたんですね。」

悠生「俺もこんなにいるとは思ってなかった。」

幸「でも、みんないい顔してますね。」

悠生「そうだね。」

幸「きっと班長なり部長なりがちゃんとまとめてるんですね。」

悠生「うちの部署も頑張らなきゃだな。」

幸「ですね。悠さん頑張りましょう。」


幸「で、何で悠さん役職就かないんですか?」

悠生「ぶっ!!」

幸「ちょっと、カレー飛ばさないでくださいよ。」

悠生「いきなり変な事言うからだろ。」

幸「徳冶郎さんの事があるからですか?」

悠生「いやっ・・・まあ。俺はあの人には遠く及ばないし、まだ役職もらうには早いよ。」


総務部には1年前まで岡井徳冶郎おかいとくじろうという先輩がいた。

とても尊敬できる先輩だった。


悠生「徳冶郎さんが逝ってから、もうすぐ1年だな。」

幸「そうですね。」

悠生「突然だったからな。」

幸「不健康そのものな人でしたからね。」

悠生「ああいうのはヘビースモーカーじゃなくてチェーンスモーカーって言うらしいね。」

幸「そうなんすか。」

悠生「仕事に厳しい人だったけど、時々褒めてくれた時は嬉しかったな。」

幸「私もです。」

悠生「あの人が厳しくしてくれたおかげで、あの人が逝った後も2人で仕事こなせてるんだろうなって思う。」

幸「私たち仕事が出来るタイプの人間になりましたからね。」(笑)

悠生「でも、もう1人ぐらいパートさんとか欲しい気もするな。」

幸「私と2人じゃ不満ですか?」

悠生「!!そんな事ないよ・・・ごめん。」

幸「いえ、なんとなく突っ掛かってみたかっただけです・・・」


男性社員「手伝い行こうか?」

悠生「立ち聞きか?」

男性社員「いいや座ってますけど何か?」

悠生「・・・まあいいわ。」

この男は、俺と同期で営業部に配属になった大原秀秋おおはらひであき

この男に口喧嘩で勝った事はない。口は悪いが信頼できる奴だ。


幸「出たな、なんちゃって管理職。」

秀秋「おう、幸ちゃん今日もカワイイね。」

幸「○月○日、今日営業部の秀という男にセクハラをうけましたっと。」カキカキ

秀秋「こら、カワイイは褒め言葉だ。」

幸「これは失敬。」

秀秋に口で勝てるのは幸ぐらいなものだ。

彼女のそういう所は尊敬にあたいする。


秀秋「君達さあ、もう少し周りの目を気にした方がいいよ。」

悠生「何が?」

秀秋「一部で君達が付き合ってる噂が立ってるよ。そちらの部署は2人きりだし、お昼はいつも2人で楽しそうだし。」



~いつものお昼の風景~

幸「もっと腕上げなきゃダメです。」

悠生「こう?」

幸「右足も、もっと上げて。」

悠生「あ~、何で昼休みにカンフー教えてくるんだよ?」

幸「そのうち弱肉強食の時代が来るんです。」

悠生「なんでジャッキーのDVD見せてくるんだよ?」

幸「ジャッキーは私の心の師匠なんです。」

幸「そんな事じゃ木人拳の廊下歩けませんよ。」

悠生「何でそんな古い作品知ってるんだよ。」

幸「ジャッキーの作品は、みんな持ってるんです。」

悠生「やってられるか~。」

幸「こら待て~。」

ガヤガヤ



幸「私は悠さんに、もっと強くなってほしいだけです。」

悠生「俺はノリで付き合わされてるだけだよ。」

幸「あっ、ひでえ。」

秀秋「まあ、噂って言っても、むしろみんな祝福モードだから気にするな。じゃっ、

俺今から打ち合わせだから行くな。」

悠生「おう、気を付けて。」

秀秋「おう。」



幸「悠さんはどうなんですか・・・そういう噂立てられて。」

悠生「べつにどうも。勝手に言わせておけばいいと。ただ、俺なんかと噂になっちゃってごめんな。」

幸「いえ・・・むしろ光栄です。」

悠生「・・・お、おおう。」



幸「戻って残りの仕事片付けましょうか。」

悠生「・・・お、おおう。」





午後8時

幸「よし完了。」

悠生「おつかれさま。」

幸「あと、何分ぐらいで終わりそうですか?」

悠生「5分ぐらいかな。」

幸「手伝いましょうか?」

悠生「いや。」

幸「じゃあ、ロビーで待ってるんで一緒に帰りましょう。」

悠生「・・・ああ、悪いね直ぐ終わらすから。」

幸「あせらずミスらずで頼むなby徳冶郎。」

悠生「了解。」(笑)



悠生「待たせちゃって悪かったね。」

幸「いえ。」

悠生「どっか寄って行きたい所でもあるの?」

幸「いえ、ただ悠さんと一緒に帰りたかっただけです。」

悠生「そうか・・・じゃっ帰ろうか。」

幸「ういっ。」


駅までの道のりを歩いて行く。

この時間はまだ人も多く賑やかだ。


駅に到着すると電車は出発してしまったばかりのようだ。

悠生「次の電車まで時間があるなあ。」

幸「そうっすね。」

なんとなく沈黙が続いてしまった。


幸「たまには挨拶に来いよby徳冶郎。」

悠生「そうだ、お墓参り行かなくちゃな。俺、今週の土曜日行くけど一緒に行くか?」

幸「もちろん。もし一緒に行かないと言ったら拉致するつもりでした。」

悠生「拉致というのを味わってみたい気もするけど、生憎その日は予定が無いからなあ。残念だ。」(笑)

幸「拉致できなくて残念だ。」ニヤッ


そうこうしているうちに次の電車が到着した。

車内は空いていたので座席に座ると、幸も隣に座った。


幸「悠さんっ。」

悠生「んっ?」

幸「今日の昼に言った事は、深く考えないでくださいね。」

悠生「ん・・・?ああ。」

また、なんとなく沈黙が続いてしまった。


悠生「じゃあ、次の駅で降りるから、おつかれさま。」

幸「お疲れ様でした。」


電車から降りると、今日も幸はホームに向かっていつまでも手を振っていた。

今日は、なんだか少し寂しそうに見えた。


少し寂しい気持ちになりながら自宅へ帰る。

「ただいま。」

また今夜も1人か、あいつは何で朝だけ出てくるんだろ。


スーツを脱ぎ捨てそのまま風呂場へ直行する。

「家事を済ましたら早く寝よう・・・」


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