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大阪出張編 -7-

あれから、どれだけの時間がたったのだろう・・・・

何度となく電話や玄関のチャイムが鳴っていたのは感じていた・・・・



?「・・・・・」

悠生(誰かが居る・・・誰だ・・・)

そう思った瞬間、胸ぐらをつかみ起こされ、左頬を殴られた。

うっすら目を開けると、そこには一真が立っていた。


悠生「なんだ・・・お前か?」

一真「なんだじゃねえよ、どうしたんだよ。」

一真の怒鳴り声が耳に響く。

怒鳴られたのに苛立ち睨み返す。

一真「なんて目してんだ・・・まるで魚の死んだ目だ・・・」


壁時計の時間は4時を指しているが・・・今日は何曜日だ・・・


一真「あの後、何があったんですか?」

悠生「・・・・」

一真「5日間も仁藤さんと田丸さんが連絡もなしに休むなんて普通じゃないですよ。」

5日間も眠っていたのか・・・今・・・田丸さん・・・

悠生「今、田丸さんって言ったか?」

一真「言いましたよ、住所調べて尋ねてみたら自宅はもぬけの殻でしたよ。大家に聞いたら昨日引っ越したって。仁藤さんの部屋のカギは借りれたから家に入れたけど。」

悠生「・・・そうか・・・」

一真「一体何があったんですか?」

悠生「・・・いいんだ。」

一真「何がいいんですか?」

悠生「いいんだ・・・・俺は来週には出社するから・・・もう少し寝かせてくれ・・・頼む・・・」

一真「分かりました。でも、俺達は仲間なんですから、何かあったら頼ってください。」

そう言うと一真は玄関の方へ歩いて行った。

東京駅で秀秋に似たような事を言われたっけ・・・このままじゃいけない。

悠生「一真、ちょっと待て。」

一真「はいっ!!」

悠生「この5日間何があったんだ?」

一真「こっちが聞きたいですよ。会社は仁藤さんと田丸さんが無断欠勤したから社員全員てんてこ舞いでしたよ。とりあえず、業務の方はなんとかしましたから大丈夫です。」

悠生「すまない。」

一真「いえ・・・田丸さんは何処へ行ったんですか?」

悠生「わからない・・・わからないけど・・・放っておいてやってほしい・・・」

一真「・・・それでいいんですか?」

悠生「今は・・・」

一真「わかりました。でも仁藤さんはちゃんと来週から来てくださいよ。会社が回らなくなりますから。」

悠生「わかった。迷惑を掛けて本当にすまなかった。」

一真「いえ・・・では今日はこれで帰りますから。」

そういうと、一真は帰っていった。


田丸さんは何処へ行ったのだろう・・・病院へ行けばわかるか・・・・何て言って尋ねれば・・・それこそ西村所長の病状を悪化させてしまう・・・


とりあえず、居酒屋樹へ行ってみよう。

シャワーを浴び、着替え居酒屋樹へ向かった。


女将「いらっしゃい。」

悠生「・・・・」

女将「あら悠ちゃん久しぶり、カウンターへおいで。」

悠生「いや、最近田丸さんってお店来てないかな?」

女将「・・・・まあ、こっちに座り。」

言われたとおりカウンター席へ座ると女将が話し出した。


女将「この前の日曜日なんやけどな、閉店間際の午前0時ごろに美樹ちゃんが来たんよ。」

悠生「うん・・・」

女将「来たんやけど、すでに泥酔してて、ずっと「ごめんなさい」って謝っとるんよ。見てられなくて、お店片付けたあとに車で家まで送り届けたんよ。」

悠生「そうか・・・」

女将「何かあったんか?悠ちゃん知ってる事あったら教えてんか?」

悠生「実は・・・」

女将には全ての経緯を話した・・・


女将「そうか・・・おばちゃんには何もでけへん・・・堪忍な・・・」

悠生「いえ。俺は、放っておこうと思います。」

女将「うん・・・」

悠生「俺が言える立場じゃないですが、仕事ほっぽり出して引っ越すなんて・・・やっぱり、あっちゃいけない事だと思います。」

女将「そうやな・・・なんか悠ちゃんと美樹ちゃんは似てるとこあるな。」

悠生「・・・・」

女将「放っておいてやるのも優しさかもしれんな。気が向いたら、また帰ってくるやろ。」

悠生「・・・はい。」

女将「ところで悠ちゃん、今日は飲んでいくの?」

悠生「いや、5日間寝てて何も食べてないから・・・何か食べて帰ります。」

女将「そうか。今おばちゃんが美味しいの作ったるな。」

悠生「すいません。」



食事だけ済ませ居酒屋樹を後にした。

女将にも言ったとおり田丸さんの事は暫く放っておく事にした。








月日はあっという間に流れ、あと1ヶ月で大阪へ来てから1年が経過する。

結局、田丸さんは戻って来ていない。


大阪支所は相変わらず忙しい日々を送っている。

仕事もあり、忙しいという事はありがたい事でもある。

一真「仁藤さん、カルロスさんからお電話です。」

悠生「カルロスから?わかった、こっちにまわして。」

一真「はい。」

カルロスは大阪での展覧会を終え、今は岡山県で展覧会をしている。

岡山へは、うちの社員を2名派遣している。

悠生「もしもし。」

カルロス「My Best Friendお久しぶりだね。」

悠生「久しぶりだな、元気だったか?」

カルロス「うん元気だよ、師匠は?」

悠生「俺も元気だよ、岡山の展覧会はどうよ?」

カルロス「たくさんのお客さんが見に来てくれているよ。2人の社員さんも、とても頑張ってくれているよ。」

悠生「そうか、安心したよ。」

カルロス「今週の日曜日に、写真家の友人の出版記念パーティーが大阪であるから、土曜日に大阪に行こうと思って。」

悠生「そうか。」

カルロス「土曜日の晩に、飲みに行かないかい?」

悠生「おっいいねえ。」

カルロス「土曜日の午後9時に、居酒屋樹でどうかな?」

悠生「うん、いいよ。」

カルロス「うん、それじゃあ週末。」

悠生「うん、それじゃあ。」


週末の土曜日

最近は仕事も忙しく、土曜日に休みはない。


時計の針は午後8時を指し示していた。

悠生「わるい、今日少し早めに上がらせてもらうわ。」

一真「大丈夫ですよ。戸締りは俺がしていきますから。」

悠生「うん、頼むな。」

一真「カルロスさんに宜しくお伝えください。」

悠生「おう、わかった。じゃっ頼む。」


急いで家に帰りシャワーを浴び、居酒屋樹に向かった。

店に入ると、もうカルロスは着いていた。

女将「あっ、悠ちゃんいらっしゃい。」

カルロス「師匠、おつかれさま。」

悠生「こんばんは。おう、カルロス、遠くからお疲れ様。」

カルロス「そんなに遠くはなかったよ。」

悠生「そうか。あっ女将さん、俺生ビールで。」

女将「はいね。」

いつものように、生ビールとお通しが出てきた。

悠生「ありがとう。」


カルロス「じゃあ、とりあえず乾杯。」

悠生「うん、乾杯。」


カルロスは岡山県の倉敷の話を聞かせてくれた。倉敷の町並みが、とてもお気に入りらしい。


飲み始めて1時間ぐらいが経過した。

カルロス「実はね・・・今日はまた仕事の話を持ってきたんだよ。」

悠生「いつも助かります。ありがとう。」

カルロス「そのお客は、岡山で絵画を買いに来てくれたお客さんなんだけど・・・大物なんだ。」

悠生「おう!そうか。」

カルロス「広告を見て、お師匠の会社について聞いてきた。」

悠生「うん。」

カルロス「そのお客の会社は、本社は大阪で全国にチェーン展開している大手の飲食店だよ。ただ、今少し売り上げが落ちているんだ。」

悠生「うん・・・」

カルロス「売り上げが上がれば、師匠の会社の広告は全国に知ってもらえるだろう。でも、失敗したら全国の会社から信用を失うだろう。まさに、ハイリスクハイリターンだよ。」

悠生「・・・・」

カルロス「お師匠の会社の東京本社は広告関係はやってないって聞いてたから、仕事を請けたら動くのは大阪支所だろ。」

悠生「まあ下請け業者には入ってもらうけど、大阪支所が取り仕切るだろうな。」

カルロス「いずれにしても長期ビジネスだよ。東京から大阪へ社員が派遣されるのだと思うけど、この仕事に手を出せば、師匠は暫く東京へは戻れないよ。」

悠生「・・・・」

カルロス「先方には師匠の会社の事は、まだ伝えていないけど先方は是非頼みたいと言ってる。」

悠生「少し時間を貰っても大丈夫かな、本社に確認を取りたい。」

カルロス「わかった・・・でも、なるべく早く結論は欲しい。」

悠生「わかった。」

カルロス「仕事の話ばかりでごめんよ。」

悠生「何言ってるんだよ。カルロスにはいつも感謝してるよ。」

カルロス「ありがとう。今日は飲もう。」

悠生「うん、飲もう。」


その日は盛り上がり、気が付けば午前1時だった。

悠生「カルロス、今日はとても楽しかったよ。」

カルロス「うん、僕もだよ。」


カルロスは宿泊先のホテルへタクシーで、俺は歩いて家に帰った。


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