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日めくりのカレンダーは、あっという間に枚数を減らし、
気が付けば土曜日を迎えていた。
結局、幸とは何も話さないまま、出発の日を迎えてしまった・・・
大家に挨拶を済ませ、タクシーで東京駅へ向かう。
東京駅到着
タクシーから降りると、秀秋が駅前に立っていた。
見送りに来てくれたようだ。
悠生「悪かったな、付き合わせちゃって。」
秀秋「気にするな。」
そう言うと、秀秋は黙って俺の右手の荷物を持ってくれた。
秀秋「こんな事、恥ずかしくて言いたくねえが、お前頑張ってるんだから、もっと人に頼っていいんだぞ。」
悠生「・・・ありがとう。」
改札をくぐり階段を昇ると、指定席の搭乗口は、すぐそばだった。
出発までにはまだ時間があるようだ。
少しベンチに座ることにした。
秀秋「社長から概略は聞いてる。お前の抜けた穴は2名補充するつもりらしい。とりあえず、うちの部署から村上を派遣するから。後は社長がもう1名選ぶだろ。」
悠生「そうか、ありがとう。」
秀秋「おうっ、気にするな。」
秀秋「大阪は食べ物うまいから、食う物には困らねえだろ。食べ過ぎに注意しろよ。」
悠生「ああ。」
お互いに何か話そうとしても、会話が続かなかった。
男って、こういうとき不器用だな・・・
秀秋「結局、佐倉は来ないのか・・・」
悠生「ああ、そうみたいだ。最後に怒らせちまった・・・」
秀秋「しょうがねえよ。どう繕ったって現実は変えられねえ。」
悠生「・・・ああ。」
悠生「今日はありがとう。お前は俺の数少ない親友の1人だよ。」
秀秋「馬鹿野郎、照れるじゃねえか。とりあえず頑張ってこい。」
プルプル プルプル
ズボンのポケットで携帯電話が鳴りだした。
秀秋「おっ!佐倉から電話か?」
悠生「いや、数少ない親友のもう1人からメールだ。」
(成功を祈る。 光志)
発車を伝える場内アナウンスが流れ、新幹線に乗り込む。
秀秋「メールでも何でもいいから連絡よこせよ。あと必要な物とかあれば直ぐ送るから。」
扉がゆっくりと閉まった。
少しずつ新幹線が動き出す。
秀秋がその場からずっと手を振っていた。
悠生「ん?」
駅の階段を走って駆け上がる人影が見えた。
悠生「あっ!!!!」
その人影は幸だった。
何かを叫んで手を振って走ってくる。
悠生「馬鹿野郎、危ないから走るな・・・」
泣けてきた、理由もわからず、ただただ涙が溢れてきた。
段々と新幹線は駅から離れ、幸の姿は見えなくなってしまった。
幸「負けんじゃねえぞ。」




