表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

消えた駅

作者: せおぽん

私の通勤時間は長い。

無理をしてマイホームを購入したが、都心の家は高すぎて郊外の家を購入したからだ。

朝早い時間だし、電車内は数人。


会社の最寄り駅まで、あと1時間程もある。

最近は残業が続いていて疲れが溜まっている。私は少しだけ眠る事にした。


ガタン。と電車が強く揺れた。私は慌てて目を覚まし、腕時計で時間を確認する。なんだ、まだ30分もたっていないじゃないか。


私はもう一度時間を確認する。

腕時計は止まっていた。



急に、私は子供の頃に友達と大喧嘩をしたことを思い出した。友達は歯が折れ母が相手の親に謝っている。俺は悪く無いのに、母は頭をペコペコ下げている。初めての彼女の顔が浮かんだ。初めてのキスが浮かんだ。彼女と結婚した。嫁の顔が浮かんだ。子供が産まれた。息子の顔が浮かんだ。無理して家を買った。嫁と息子の笑顔が浮かんだ。今まで生きていたすべての思い出がグルグルとグルグルと思い出された。俺の全部が無くなってしまうと思った。


私はパニックになり、叫びながら運転席の方へ走り出した。運転席から見えた光景は、私の乗る列車が別の列車に衝突する瞬間だった。



時計は止まっていなかったのだ。

最後の瞬間の時間をゆっくりと感じていたのだ。


私の目的の駅は、消えてしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
表現方法が素晴らしいですね! ☆5入れておきました! オチも秀逸ですね。 少ない文字数でどれだけ、感情を揺さぶれるかが、短編醍醐味…… 勝手にそう思っています(笑) その魅力が、存分に発揮さ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ