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運命的必然

どうしてみんな争うんだろう・・・。


どうしてみんな分かり合おうとしないのだろう・・・。


この世界はみんなで手を取り合えたらきっと美しいはずなのに・・・。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

差し込む光が、部屋を照らす。その光に反応するように一人の女性が目を覚ます。いつもの様に水を一口飲み、体は生き返っていく。


「はあ。起きたら戦争が終わってたらいいのに。」


そんな独り言を吐いては、現実はそんなに甘くないのだと勝手に思い知り、ため息を吐く。乱れた髪を正し、素早い手つきであっという間にヘアメイクを終わらせ、外向きのドレスを身に纏う。


「さあニーナ!今日も頑張りますわよ!」


勢いよく扉を開け外に踏み出したニーナ。彼女の想像では意気揚々に外に出て、堂々と歩く・・・予定だった。


「痛ったぁぁぁあい!!」


ドレスを足で踏んでしまい、ニーナは前方に倒れる。顔面を強打しもがき苦しむ。そんな様子を横からメイド服を着た少女が、呆れた目線を送る。


「おはようございますニーナ様。今日も派手な登場ですね。」


「もう、そこにいたなら少しは心配するところでしょ!」


「いや、いつもなのでもうわざとなのかと。」


「んなわけあるかぁ!っといけないいけない。思わずお汚い言葉が。」


ニーナはごほんと息を整える。


「ナノ、今日のやることを教えてちょうだい。」


ニーナの専属メイドであるナノは、メモ帳を取り出し今日の日程を読み上げる。


「本日は・・・・・何もございません。」


「・・・本当に?」


「本当です。ニーナ様考えはご立派なのですが、人前になると何も話せなくなってしまうその性格を直さないと、一生このままですよ。」


「わかってるけど辛辣!これが本当にメイドの言葉なのか・・・!」


容赦のない言葉にグサグサ心を刺されるニーナ。


「まあでも、心中お察しします。今日は私とデートでもしませんか?」


さっきまで悪魔に見えたナノが、急に天使に見え出した。ニーナはちょろいのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「そういえば今日。他国の王子殿下が来訪されるそうですよ。」


「ふーん。そうなんだ。興味ないかなぁ。私は一生ナノとこうしていられれば良いよ。」


なのは不意打ちを受けたかのように、少し怯む。しかしそれを悟られないように毒舌責めをする。


「何言ってるんですかニーナ様もいつか婚約して子を成してゆくゆくはこの国を担っていかないといけないのですよそんな能天気なこと言ってたら・・・・・」


「わかった分かりました!一目見に行くだけだからね。」


きっと無限に続くであろう説教をぶった斬り、折れて他国の王子を見に行く事にしたニーナ。


「でも、どこの国の王子様なの?」


「あまり大きな国ではないのですが、アルスタットという国の王子様だそうです。」


「アルスタット!あの大英雄ヴァイシュの生まれ故郷の!少しだけ興味湧いてきた!」


「ニーナ様は物知りですね。それほどの知識量があるのになぜもっと表舞台に立とうとしないのか・・・。」


ニーナは学問において昔は天才と呼ばれていた。だがあまりの天才さに姉と妹は虐げられていた。私が前に出なければ。無能でいれば姉様も可愛い妹もそんな扱いを受けなくて済む。それがいつしかニーナの性格にまで影響を及ぼし、誰かの前で何かをしたりすると吐き気を感じる様になってしまった。


「良いのよ私は。自分の求めたものが手に入る!それだけでも十分に幸せでしょ?」


ニーナはニコニコしながらそう言った。しかし目の奥は真っ暗なままだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「もうすぐです。ここは絶対に通るはずですので。」


城へとつながる道はこの一本のみ。近くの木に身を隠しながら王子がくるのを待つ二人。すると門が開く音がした。


「来ましたわ!どんなお方なのでしょうね。」


続々と門から入ってくる兵士。おそらくアルスタットの兵だろう。そして馬に乗り、一際豪華な装いをした男が現れる。銀の髪に絵に描いたような美形の顔。身長は190センチほどあるだろうか。完全無欠のイケメン王子だった。しかしニーナは顰めっ面をしていた。


「完璧すぎてタイプじゃない。大英雄の末裔なら、もっとムキムキで男らしいかと思ったのに・・・。」


「ニーナ様って意外と強情ですよね・・・。」


「まあでも、これでスッキリはしたかな!今日は楽しかった!部屋に戻るわ。」


王子を一目見て満足し部屋に帰るニーナ達。いつもの様に食事を済ませお風呂に入り、着替えて読書をする。そして眠りにつく・・・はずだった。


部屋に視線を感じ、ルーナは近くに置いてあった剣を構える。


「何者ですの?」


「・・・感が鋭いお方のようだ。」


暗闇から現れた、黒い装束を身に纏う男。殺気を隠そうともしない男にルーナは震えながらも剣を強く握る。逃げようとして背中を見せてもすぐに殺される。だったら無駄な抵抗でも、抗おうとしていた。


「その命、貰い受けます。ニーナ王女。」


容赦なく斬りかかってくる男の一撃をなんとか受けるが、剣を吹き飛ばされ、いとも簡単に無力化される。首を掴み持ち上げられるニーナ。ああ、ここで終わるんだと死を悟る。王族が暗殺に遭うことは珍しい事じゃない。姉や妹じゃなくてよかったと少し微笑んで目を閉じる。


ーーぐさっ!


刺された様な音が鳴るが、痛みは感じない。そして私の首を掴む手は次第に力を無くし、地面に落ちる。何が起きたのか。ゆっくりと目を開け前を見る。



そこには昼間に見たアルスタットの王子がいた。


「ニーナ様。ご無事ですか。」


王子は手を差し伸べる。私は少し困惑したが、助けられたのだとすぐに気付き、差し伸べられた手を掴んだ。


ーーーこれが私の運命の出会いでした。


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