1-18 探索の最後は情報交換が定石
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今後の更新について、
今後残業が多くなる為、更新は2、3日に一度となります。
その代わり、今までのように無理に間に合わせようとせず、じっくりと書いていきます。
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本来あるはずの記憶が無い、その事に普通は恐怖を感じると思うけど、なぜか今の私はそれを冷静に受け止めている。それ自体が怖いと思うけど、パニックになるよりかは幾分かましだと思えてしまう。不思議な感覚だけど、今は都合がいい、このままもう少し自分について振り返ってみる。
一日の行動は、大丈夫、詳細までは覚えていなくても、どんな授業をしたか、どんな会話をしたかは思い出せる、でもやっぱり相手の名前が出てこない、各科目の教師の名前、話をした友人の名前、じゃぁ他は?
一般常識レベルの記憶はある、文明機器の名前や使い方、よく見ていた漫画の内容、直前までしていたゲームの内容……あ、サードキャラのカンスト出来てなかったな……って違う、そんな感想は後回し、他は……あれ、前の日の授業は何していたっけ?
日をさかのぼる程、記憶が曖昧になってくる、これって知識と直前の記憶だけしか無い? ここから推測できるパターンは、異世界転移した際に障害があって、記憶が抜けてしまった、もう一つは死んで異世界転生をしたけど、前世の記憶の一部を思い出した。
この二つのパターンが予想出来るけど、持ち物と服装からして、あのWEBコンテンツで作成したキャラクターが今の姿、だとすると転生はあり得ない。となると異世界転移して障害があったパターンか、それだと元の世界に戻る事が出来たとしても、かなりリスクがある事になる。
まぁ姿が変わってしまった以上、戻ってもどうする事も出来ないでしょうしね。
そこまで考察して、考えるのを止めた、結局は現状どうする事も出来ないと言う事だ。
自分の考えにそう割り切ると、家のドアをノックする音が聞こえた。
「アンネさん居ますか? ランダルですが夕方の炊き出しが始まりましたよ」
どうやらランダルさんがご飯のお誘いに来たようだ、気付かない内にどっぷりと思考にはまってしまって、かなりの時間が経った様だ。
「……いく」
「ではお待ちしております」
短く発した私の言葉に、ランダルさんが返すと、そのまま広場に行った様で、足音が遠ざかって行く。
一緒に行かないのか、ってか小さく言ったのに、よく聞こえたな。
私は少し関心しながら、隣のファウナちゃんを見る。すると小さな寝息を立て、いつの間にか寝てしまっていた。
寝顔が凄くかわいいから、このまま眺めていたいけど、そうするとご飯に遅れてしまう。私は泣く泣くファウナちゃんの肩を少し揺らして起こす事にした。
「むぅ……うみゅぅ……はれ、お姉ちゃん?」
「おはよ、寝ている所悪いけど、ご飯だよ」
「うん、だべゆ……」
うわぁ、かわいい思いっきり抱きしめたい、でもこの体で出来る事は頭を撫でるだけ、うん、それでも十分に幸せだよ。
私に撫でられ、気持ちよさそうに目を細めるファウナちゃん、ちょっと名残惜しいけど、ファウナちゃんの手を取り、一緒にベッドから立ち上がり、そのまま手を引いて広場まで向かった。
広場に着くと既に炊き出しは始まっていて、受け取る場所にはそれなりに並んでいる人がおり、私たちもその後ろに並ぶ。並んでいた人がそれなりだった為、暫く待っていれば順番が回って、自分達の分を受け取り、適当に座れる場所に腰かけて食べ始めた。
「よう嬢ちゃんたち、バートからは何か聞けたか?」
ファウナちゃんともくもく食べていると、ウォラーさんが話しかけて来た。私は軽く頷くだけで、食べる事を再開した。それに対しファウナちゃんは、返事をしようと頑張って口に入ったご飯を飲み込もうとしている。
「ああ、食べた後でいい、ゆっくり食べてくれ」
その言葉に甘えて食べる事を優先する、まぁ元々食べる事を優先しようとしていたから問題ない、けどファウナちゃんにはありがたい提案だった様だ。
ウォラーさんは本当に食べ終わるまで待つようで、私たちが食べている間、ただ黙って座っていた。
どうでも良いけど、食べている姿を見ていないで欲しい。中身がこんなんでも、乙女心はまだあるつもりだ。表面に出ないだけで恥ずかしいんだぞ。
とりあえず食べ終わった後、ウォラーさんに向き直る。
「それで、バートさんからの話だっけ?」
「ああ、やっぱり気になってな、こっちでも一応他の奴らに聞いてみたけど、やはりこの村の中では野犬に気づいた奴は居なかった、まぁビンスとバートから話が出ていない以上、村の中で気付く奴は居ないと思うがな」
ウォラーさんの方でも聞いてくれていたんだ、でも今日聞き込みした感じ、この村で気付く事は無いとは思っていた。
「バートさんからの話でも特に収穫は無かった」
「やっぱりか……」
「明日ビンスさんにも話を聞くけど、バートさんでさえ知らない事から、一つ推測出来る事がある」
「ん、なんだ?」
「多分だけど、野犬達は人為的、そして普段は潜伏している」
「本当か⁉ いや、でも言われてみればそうだな、嬢ちゃんが言っていた様な規模の群れが近くに現れたのに、俺たちが知らないなんてどう考えてもおかしい」
ウォラーさんも言われて気付いた様だ、しかし私の証言が正しい事が前提だけど、ウォラーさんは疑わないのだろうか。
私がそんな事を思いながらウォラーさんを見ていると、その視線にウォラーさんが気付いて笑顔を浮かべる。
「もしかして俺が嬢ちゃんの言う事を信じているのが不思議か?」
「うん、バートさんはかなり警戒していた」
ランダルさんについて気付いたとは言え、やっぱりバートさんの反応の方が自然だと思ってしまう。
「あぁ、バードの奴は臆病なんだよ、まぁランダルの奴が信用しているからな、だったら俺は嬢ちゃんたちを信用しているぜ」
やっぱりランダルさんの信用か、いくらギルドの人とは言え、良く信用するな。
「ランダルさんがギルドの商人ってのは知ってる、けどそこまで信用する理由が分からない」
「ん? あぁ、嬢ちゃんはギルドについて一般的な認識しか無いのか」
一般的な認識、そう言えば一般的にギルドは冒険者、商人、生産者の総合組合みたいな認識だったっけ? あれ、でもこの国にはギルドは無いし、ウォラーさんは知っている様な口ぶりだけど、何処で知ったのかな。
「不思議そうな顔しているな?」
いえ、無表情なはずなのですが。
「まぁ簡単に言えば、子供たちを預けた貴族とは何度か会っていてな、この国には珍しい良識を持った貴族だ、俺たちフォルシウェスにも偏見は無いから、よく話してくれたよ、ただの領主の町の警備隊隊長にだぜ? 騎士様でもないのに民思いの人だったよ」
ウォラーさんは警備隊の隊長だったのか、だからこの村でも信頼されているのかな。
「でまぁ本題に戻すと、ギルドについてはその貴族から聞いたんだよ、その貴族はギルドに加盟する事を推奨していたらしくな、ギルドについてよく調べていた様だ。
それで、ギルドで登録するとランクがもらえるんだが、このランクって何が基準になると思う?」
ランクの基準? 単純に考えれば……
「ギルドへの貢献度」
「だと思うだろ? 確かにそれも基準の一つだけど、それ以上に信用度が重要になってくるんだとさ、まぁ詳しいことまでは分からないけど、ギルドで上のランクになる事は、ギルド加盟国に認められると同義って事らしい」
なるほど、本当によく分からない組織だね、何をやっているんだろうか。
とりあえず情報をくれたウォラーさんにお礼を言って、私達はキハナの家に戻る事にする。そう言えばキハナと出会っていないけど、どうしているんだろうか?
読んで頂きありがとうございます。
1-4までの後書きで散々言ってきましたが、
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