1-17 情報整理の続きです
残業が続いたため二日ぶりの更新になります。
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「すごい、本当にランダルさんって、ギルドの人なんですか?」
「はい、そうですよ」
無邪気に尋ねるファウナちゃんに、にこやかに答えるランダルさん。
微笑ましい光景だろうけど、私はちょっとイラっとくる、だって、今私がやってる事って実はランダルさんの仕事でしょ?
「らんくびーって、どれくらいなの?」
「たぶん上から2か3番目でしょ」
ちょっと不機嫌になっていた為か、ファウナちゃんの疑問につい言葉が出てしまった。
「え、じゃぁランダルさんって、凄く偉い人?」
「いえ、違いますよ、ランクと言うのは、あくまでもギルドに登録している人の中での話です、本当に偉い人はその上に居ますからね」
ランダルさんの言葉に、ファウナちゃんがへーっと声を上げる。うん、かわいい。
さて、それはそれとして、どうしようか、正直もうランダルさんに任せて寝ていたい。
「アンネさん、言っておきますが、私の仕事は情報を集めてギルドに報告するだけです、多少の自衛は出来ますが、本職は商人ですからね」
っち、先にくぎ刺された、まぁ私も今回の事件に関しては気になっていたし、此処まで来たら最後まで付き合いますか。
「それじゃぁ私たちはもう行くね」
「おや、もしかして泊まる場所がお決まりで?」
「うん、キハナの家」
「おや、あの家に子供とは言え、三人は狭いのでは?」
「大丈夫、キハナはルースさんの家に泊まるから」
「おやそれは、キハナさんはルースさんを慕っていましたからね、泊まる事が出来て喜んでいたでしょう」
「うん、とっても」
私とランダルさんの会話に、ファウナちゃんが微妙な表情になる。
なに? 楽しそうだったでしょ?
「では私は私で泊まる場所がありますので、此処で失礼します」
そう言って軽く手を振ると、ランダルさんは私たちから離れて行く。わたしも手を振り返し、ファウナちゃんと一緒にキハナの家に向かって歩き出した。
「ねぇアンネお姉ちゃん、ランダルさんが言ってた、ランダルさんがギルドの人って事を、皆に伝えていない理由ってなに?」
その道中、ファウナちゃんが私に尋ねてくる、それに答えるか少し考えたけど、この場で言うのは少しためらう。
「家に着いたら話すね」
なのでそう答えるだけにする。そのままキハナの家に向かうけど、そもそもそう広くない村なのだから、キハナの家には直ぐ辿り着いた、そのまま家の中に入り、一息ついた所で話し始める。
「さて、さっきの質問の答えだけど」
「ランダルさんがギルドの人って事を秘密にしている理由だよね?」
「そう、簡単に言うと、この村の中にスパイがいる可能性がある」
「ほ、本当に⁉」
私の言葉にファウナちゃんが驚きの声を上げる、ただ今の段階だと可能性でしかないんだよね、はっきり怪しい人っていうのが居ないから。まぁそのあたりを少し整理しようか。
「スパイがいるって言うのは、ギルド側からしたら、その可能性があると疑う必要があるから、この村の人たちが怪しいって訳じゃない」
「そうだよね、みんな優しいもん」
にこにこ顔で答えるファウナちゃんだけど、でも十分可能性はあるんだよね。
さて、此処から情報整理とは言っても、正直今日の情報だけでは推察すら難しい、強いて上げるならバートさんだけが歓迎していない事だけど、正直その反応が自然なだけ、他の人たちはウォラーさんを信じてるから、ランダルを信じて、その為私たちも信用しているだけだ……とすると、バートさんはウォラーさんを信用していない、いや、いくら信用している人でも、今の状況下でよそ者を受け入れる方がおかしいのか……
「わからん」
「え?」
結局結論は分からない、どちらでも取れる以上もう少し確証となる情報が欲しい。
「いまの状況だと分からないからね、今日はもう休もう」
そう言ってベッドに仰向けに寝る、とは言え寝るにはまだ早い時間、どうしようか。
これ以上考えても分からないし、かと言って今の時間から出来る事なんて無い、端的に言えば暇だ。
「ねぇアンネお姉ちゃん、子供たち大丈夫かな?」
フォルシウェスの子供たちの事かな、そう言えば信頼できる貴族に預けたって言ってたっけ。
「あ、そうか……」
「どうしたの、お姉ちゃん」
「事件とあまり関係無いから、今まで気にしてなかったけど、ランダルさんとこの村の繋がり、なんとなく分かったかも」
ちょと気になっては居た、いくら商人でもフォルシウェス達に物資を提供したり、ここの場所を知ることが出来たりなど。単純にギルドが何かしているのかなって思ってたけど、その貴族で繋がっていたんだ。
つまりフォルシウェス達がその貴族に子供たちを預けた、そして恐らくギルドの人と知っていたその貴族が、ランダルさんに支援を頼んだ、おそらく支援物資の出所はその貴族だ。そしてランダルさんはこの国の情勢を探っていたから、信頼できる貴族が居ればそこと繋がりを持つことは不思議じゃない。
確証はないけど一番納得できる推測、それをファウナちゃんに伝える。
「へぇ、やっぱりアンネお姉ちゃんは凄いね」
無邪気な称賛がちょっと心地いい。
「ねぇアンネお姉ちゃんは記憶喪失なんだよね、何か覚えている事ないの?」
ファウナちゃんの質問で、自分の事に関しての疑問が再度浮上してきた。
そう言えば私についての考察って、そこまで深くしていなかったな、突然この世界に、しかも生贄の祭壇で目が覚めて、あとはこの体は私があのサイトで作成したキャラって事くらい、本当に何も分かっていないね。
「何も分からない」
「そうなんだぁ」
ファウナちゃんはそう答えると、私の隣にぽすんと寝転がる。その姿を見るとちょっと和む。
自分の事か、そう言えば私がこっちに来たって事は、元の世界に居た私って、居なくなったか死んだのかな? だとすると友達やお母さん、お父さんはどう思ったのかな? 居なくなったなら心配してるかな、死んだとしたらあまり考えたくないな……
あれ、ちょっとまって、そう言えば私の本当の名前ってなんだっけ?
こっちに来てから余裕が出来た為か、ふとここに来るまでの事を思い返した、しかし、どんな事をしていたのかは思い出せたけど、自分の名前が思い出せない、疑問に思い学校から帰って寝るまでを振り返ってみるけど、所々で記憶が抜け落ちているのに気づく。
寝落ちする前の事は覚えてる、でも教室出る時に声かけてくれた友達の名前は? 階段で注意した先生の名前は? お父さんとお母さんの名前は?
何も分からない、覚えていない、こっちに来た時に記憶が抜け落ちた?
本来持っている記憶が抜け落ちている、普通に考えれば怖い事だろう、でもそんな事を私自身は第三者であるかのように、冷静に受け止めていた。
読んで頂きありがとうございます。
1-4までの後書きで散々言ってきましたが、
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