1-16 探索終了後は情報の整理が基本
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探索で今できる事を全て終わらせ、一度馬車がある広場へと戻る。
できる事を全てと言ったが、正確にはまだできる事はある、しかし空を見ると日は傾いている、これでは時間が足りない。
そう言う訳で今日の探索は此処までだ、残りは明日にして、一度キハナの家に戻り状況の整理をするか。
そう考えながら歩いていたら、馬車の所にランダルさんが居た。お世話になったし、寝る前に挨拶でもしていくかな。
「ランダルさん」
「ん、あぁ、君たちか、どうかね調査は進んでいるかい」
「まぁぼちぼち」
「いろんな人に聞いたけど、みんな分かんないって」
ランダルさんの言葉に私とファウナちゃんが答える。そんな私たちを、ランダルさんが微笑ましい物を見るような表情をする。
これだと本当に子供のごっこ遊びみたいじゃない。とは言え、一応依頼者だから今までの進捗を報告しておくかな。
一応義務として、ランダルさんに今日の調査報告をする。
「なるほど、あの野犬の群れは、こちら側では確認されていなかったのですね、これはまた妙ですね」
ランダルさんが怪訝そうな顔をする。
「妙なんですか? 単に野犬さんたちが、こっちに来ていないだけじゃないんですか」
ファウナちゃんが、キョトンと首をかしげて聞き返す。
まぁ単純にそう考えてもいいんだけど、そう単純な話ではないと思う。
「ええ、妙ですよ、あれだけの規模です、しかも襲われた場所もこの村の近く、気付かない方がおかしいですよ」
「そう、つまり野犬たちは潜伏している」
「え、隠れているって事ですか?」
そう、あの時の野犬は少なくとも15、6匹居た、そして恐らくだけど、あの集団にリーダーとなる野犬は居なかったと思う、だとすると最悪もう一グループ野犬の群れが居るかもしれない。
「と言う訳です」
ランダルさんがファウナちゃんに同じような事を説明していた。
「なるほど、アンネお姉ちゃんは分かってました?」
「もちろん」
「わぁ、さすがアンネお姉ちゃん」
ファウナちゃんの尊敬の眼差しがちょっと気持ちいい、まぁついでだし情報整理しますか。
「今ランダルさんが言ったように、野犬は意図的に潜伏している可能性がある、つまりはほぼ確実に人為的」
そう、村周辺で野犬について何も情報が出なかった時点で、人為的な意図があるとは思った。そして今日の聞き込みで分かった情報、何もないとも言えなくもないけど、気になった事は基本フォルシウェス達が寛容的な事、普通はバートさんの様に歓迎しない。ちょっと聞いてみるかな?
「一つ質問、此処のフォルシウェス達は、基本的に私たちを歓迎している、なんで?」
「そうですね、私が信頼を勝ち得ているでは納得出来ませんか?」
「出来ない」
ランダルさんが信頼されているのは本当だと思う、でもだからと言って私たちまで歓迎するだろうか? 物資を支援してくれる恩義がある以上、拒みはしないだろうけど、歓迎まではしないはず。
「ふむ、それはちょっと悲しいですね…ですが本当の事ですよ」
本当の事か、なるほど、だいたい分かった。
「それはランデルさんの職業に関して教えたから? この場合ウォラーさんに」
おそらくランダルさんはそれ程長くこの村に来ているわけじゃないと思う、その理由は逆算になってしまうけど、ランダルさんが来ているのに、亡命の使者を隣国に出しているから、つまりランダルさんがここに来たのは、少なくとも最初の使者が出た後。
その短い期間に信頼を勝ち得た事を前提とするなら、この村の中で一番信頼されている人から絶対の信頼を得られればいい。
そしてこの村の中で一番信頼されているのは、国境越えの主要メンバー、その中でウォラーさんとルースさんが私たちに対して好印象、その二人でどちらがこの村に影響力があるかを考えると、今日話をした感じ恐らくウォラーさん。
「おかしな事を言いますね、私の職業は商人ですが?」
ふむ、そろそろいいかな、いい加減私もランデルさんに関してははっきりさせたいと思っていた。
「ランデルさん、あなたギルドの人でしょ?」
「えぇ⁉」
私の言葉にファウナちゃんが驚きの声を上げる、ランデルさんも少し驚いた顔をしていた。
「なぜそう思いに?」
「単純、ギルドについて詳しすぎる」
そもそも最初に違和感を持った、ギルドは正式名称でさえ知らない人が多く、通称としてギルドと言っているだけ、それなのに、ランダルさんのギルドに関する知識が多すぎる。
正式名称も知られてなく、ギルドとしか認識されていないなんて、一般的にはせいぜい冒険者や商人、生産者の組合程度としか認識されていないと言っているような物でしょ。
それなのにランダルさんの説明だと、ギルドって国際機関でしょ? 元の世界のような情報社会ならともかく、こんな中世ファンタジー世界で、そんな組織の内情を少しでも知っているって、明らかに関係者でしょ。
そう、ランダルさんがギルドの人と言う事は、早い段階で気付いていた、さっきのはそれを前提とした推測になる。
「ふむ、まぁ言いたい事は分かりました、ついでに言いますと、ギルドに登録している人でも、ギルドは冒険者や商人、生産者の組合と認識している人が多いです」
自ら自白した! 確定でしょ、つまりランデルさんはギルドでも結構上の方に居る人ってことでしょ。
「では改めまして、ギルドで商人として登録していて、ギルドのBランクを貰っているランデルと申します。
私の本来の仕事は、商人としてこの国に入り、情勢をギルド側に報告、そしてフォルシウェス達について知った後は、亡命を受け入れるかの判断材料をギルド側に流す役割を担っています。
実を言うと、私一人だけなら国境を気付かれずに超える手立ては用意して貰っています」
なるほど、それにしてもこんな重要な依頼を任されるなんて、Bランクは結構上のランクみたい、そうするとランク上限はAか最大でもSかな?
「そしてアンネさんの予想通り、ウォラーさんにはギルドから来た事を教えています、全員に伝えていない理由は分かりますよね?」
その言葉に私は無言で頷く。
ランデルさんは言っていた、亡命した人は最終的にギルドに流れ着く、そこに内通者、つまりはスパイが居るのはまずい、そして今回の事件、最悪は……
思った以上に面倒な事になりそうで、私は深くため息を付いた。
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1-4までの後書きで散々言ってきましたが、
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