1-15 探索一日目の収穫
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さて、キハナがドナドナされた事だし、私は私で探索を再開しますか。
スープの最後の一口を飲み込み、満足した所でファウナちゃんに目を向ける。そこで丁度ファウナちゃんが食べ終わった所だった。
「それじゃぁ行こう」
そう言って手を差し出すと、満面の笑みを浮かべて手を握り返すファウナちゃん。二人一緒に立ち上がると、まずはスープ皿を返しに行く。
「それでアンネお姉ちゃん、この後どうするの?」
スープ皿を返し終わった後、ファウナちゃんが私に尋ねてくる。できればビンスさんかバートさんに話を聞きたいけど、顔知らないのよね。
「ウォラーさんに話を聞く」
なのでまずはウォラーさんから話を聞く事にする。
広場の中央に移動し周りを軽く見渡すと、ウォラーさんは直ぐに見つかった。どうやら荷物を運んでいる様子だけど、声を掛けるだけ掛けてみる事にする。
「ウォラーさん、ちょっといい?」
「お、今日ランダルと一緒に来た嬢ちゃんか、いいぞ」
その場に荷物を下ろして対応してくれるウォラーさん、仕事中なのに対応してくれるのは嬉しいけど、ちょっと罪悪感がある。
けどそんな軽い罪悪感は直ぐに消え、目的の情報を聞き出す。まずはルースさんと同じく、ここに来る途中で起こった事と、さっきのルースさんとの会話を掻い摘んで話した。
「なるほどな、俺も野犬が大量発生したなんて聞いたことが無い、ビンスからも何も聞いてないから、森でもそんな事は無いと思う」
やはり聞ける情報はルースさんと同じか、なら聞くべき情報はビンスさんとバートさんか。
「ビンスさんとバートさんに話を聞きたい、どこにいる?」
「ビンスはたぶん森の中だろう、バートは周辺を見回っている」
「周辺?」
「ああ、あいつは戦闘能力は低いが、危険察知能力が高い事は聞いたか?」
「ええ」
「だから村の周辺を見回って、何か危険があったら知らせてくれるようになっているんだ」
なるほど、そうだ、もう一つ聞きたい事があった。
「もう一つ、なんでここに集まったの? 開拓村跡地なんて、国が把握しているでしょ」
やっぱり気になるのはこの事、国に内緒で開拓なんて無理だから、国の管理下にあるのは直ぐに気付くはず。
「あぁ、その事か、最初は元開拓村だなんて知らなかったんだよ、国境近くの森にちょうどいい空間があったから、一度ここに潜む事にしたんだが、ランダルから聞いて初めて知ったんだよ。
でも今まで国から兵隊なんて来なかったから、気付かれていないか、たとえ気付かれていても、既に国境越えの準備を始めていたからな、今更別の場所を見つける事も出来なかったんだよ」
なるほど、なんともお粗末な計画だ、まぁ実際には余裕が無かったんだろうけど。
「じゃぁバートさんの容姿を教えて」
「バートか、なら分かりやすいぜ、あいつは犬のフォルシウェスだが、人よりも犬の姿に近い、犬が二足歩行した姿と思えば分かりやすいか?」
あぁなるほど、コボルトみたいな姿か、そう言えば今まで見た人は、人間に近い姿だけど、動物に近い容姿って珍しいのかな?
「ありがとう、探してみるね」
「おう、俺も手が空いている時に手伝うよ、だから何かあったら必ず俺に言え、子供だけで危険なことまでするなよ」
ウォラーさんに軽く手を振って別れる。ただもしかして、子供が興味本位で調べている程度だと思っているのかな?
まぁそれはそれとして、バートさんを探して村の周辺に行く。
「ねぇアンネお姉ちゃん」
「なに?」
歩き始めてしばらくした所で、ファウナちゃんから話しかけられた。
そう言えばさっきキハナたちと話した時もそうだけど、ずっと黙ってたな、話についてこられなかったのか、寂しかったのかな?
「モフモフしたらダメだよ」
「しないよ」
多分……
なんか悲しい、ファウナちゃんからの評価が、なんか下がっているように感じるよ。
心の中で泣きながら、町の周辺を歩く、すると前からコボルトのような見た目のフォルシウェスが歩いてきた。この人がバートさんか。
「ん、なんだお前たち、なんで人間がこんなところに居るんだ?」
少し警戒気味に話しかけてくるバートさん、さて、どうやって話を切り出そうか。
「あ、あの、私ファウナって言います、こっちはアンネお姉ちゃん。あの、私たちランダルさんと一緒に来たんです」
「ランダル? あぁ確か一緒に国境越えをしたいって言ってた商人か、子供も一緒にって言ってたけど、お前らか……」
どうやらあまり歓迎していない様子だ、他のフォルシウェスが好意的だから気にしてなかったけど、普通ならこう言う反応になるよね。
「私たちが参加することに反対?」
分かっていても聞いてみる、理由次第では折り合う事も出来るだろうし。
「まぁな、こっちは成功率上げるために、子供を預けてきたんだぞ、なのになんで人間の子供を連れて行かなければいけないんだ?」
あぁ、まぁそうでしょうね、それはごもっとも。
「大丈夫」
「お姉ちゃんはここに来る時に、野犬をたくさん倒しました、私も回復魔法が使えますし、足手まといにはなりません」
ちょっと怒った感じで、ファウナちゃんが言い返してくれた。評価が下がっていたと思っていたのに、これは嬉しい。
「お前が野犬を倒した?」
うん? 確かに見た目は子供だけど、キハナのように子供でも戦える子が居るくらい知っているだろうに、そんなに驚く事なのか?
「まぁ足手まといにならないなら、それでいい」
「それはそれとして、聞きたい事がある」
「聞きたい事?」
この人は本当に私たちが嫌いなのか、あからさまに嫌な態度で返してくる。そんな態度にファウナちゃんが可愛く頬を膨らましている。
「ここに来る時、大量の野犬に襲われた、村の周辺で変わった事は無い?」
「特にないな、聞いてどうするつもりだ?」
「解決する、国境越えに影響ある可能性がある」
「なるほど……じゃぁ勝手にやってくれ」
本当に投げやりで対応するね、国境越えに影響が出る可能性があるなら、人ごとじゃないでしょうに…子供の言う事だから適当に対応しているのかな?
「ビンスさんにも話を聞きたい」
「……分かった、明日の朝ここに来い、ビンスには俺から話しておく」
ちょっと不安だけど、とりあえず大丈夫なのか?
まぁ明日の朝、改めてここに来ればいいか。
「じゃぁ戻ろうか」
「はい」
ファウナちゃんに声を掛けて、一緒に村に戻る。
初日の成果としてはこんなものか、明日ビンスさんに話で収穫があればいいのだけど、たぶん話を聞くだけじゃ何も分からないかな。
そうなった事を考えると気が重くなるけど、もしかしたら明日で進展が出て来るかも。
読んで頂きありがとうございます。
1-4までの後書きで散々言ってきましたが、
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